『StarCraft』テーブルトップミニチュアゲームは短時間でも戦略性を楽しめる
RTSとして知られる世界を舞台にしたテーブルトップ・ウォーゲーム『StarCraft』は、ミニチュアを使った本格的な戦闘と、プレイヤー同士が交互に動くテンポの良さを両立させています。原文筆者は、長時間の待ち時間が生じやすい従来のウォーゲームと比べ、本作は2〜3時間で緊張感のある対戦を楽しめる点を高く評価しています。一方で、今後も新しいユニットやプラスチック製品の追加に頼らず、ゲームを新鮮に保てるかどうかを課題として挙げています。
対戦ごとに変化するミッションと配置
標準的なゲームは5ラウンドで進み、プレイヤーまたはチームが提示された目標の達成を目指します。ゲーム開始時には、各プレイヤーがミッションの候補を2つ、部隊を配置するデプロイメントゾーンの候補を2つ用意します。その後、片方のプレイヤーがミッションを選び、もう片方が配置エリアを選ぶドラフト方式で、実際に使用する組み合わせを決定します。
この仕組みでは、自分に有利な候補だけを出せるわけではありません。各プレイヤーは自陣営に利益がありそうな選択肢を提示しますが、最終的には相手がその中から選ぶことになります。そのため、どちらの側も完全に理想的とはいえない条件で戦うことになり、対戦ごとに異なる判断を迫られます。原文筆者は、あらかじめ用意されたシナリオを選ぶだけでなく、両者が候補を持ち寄ることで、ゲームの種類に幅が生まれているとしています。
マップやミッションカードに加え、プレイヤーは自軍の構成や購入した強化要素を示すカードも用意します。ゲーム開始前に選ぶファクションカードは、基本ユニット、エリート、ヒーローなど、編成に使える各種スロットの数と種類を決めるものです。レイナーやケリガンのようなヒーローを含められるかどうかも、この編成ルールに関係します。さらに、陣営固有の能力やタグもファクションカードに記載されています。
タグは、戦術カードを購入する際に必要になる場合があります。戦術カードは、RTSに登場する建物や、部隊に特別なボーナスを与える強化要素として機能します。能力の強化、バフの付与、軍勢が利用できる補給スロットの増加など、カードによって効果は異なります。ユニットの能力値、コスト、必要なルールがそれぞれの情報カードにまとめられているため、プレイのたびに分厚いルールブックを参照する必要がありません。原文筆者は、カードの束を持ち歩くだけでよく、対戦相手に能力を確認してもらうときも該当カードを渡せば済む点を便利な設計として紹介しています。
交互のアクティベーションで待ち時間を短縮
本作の大きな特徴は、プレイヤーが自軍の全ユニットをまとめて動かすのではなく、交互にユニットをアクティベートするルールです。配置から移動、射撃、近接戦闘まで、片方のプレイヤーだけが長時間行動し続けることがありません。原文筆者は、友人が1ターンを終えるまで1時間近く待つような状況が起こらず、数分以上ゲームから離脱せずに済む点を評価しています。
この方式では、かなり前に考えた作戦を長い待ち時間の後で思い出して実行する必要もありません。相手の直前の動きを見て、すぐに自分の対応を決められるため、戦況の変化がそのまま判断に影響します。ウォーゲームにおける手番待ちを負担に感じるプレイヤーにとって、参加意識を保ちやすい構造です。
部隊の初期配置にも、RTSを意識した仕組みが取り入れられています。すべて、あるいは大半のユニットをゲーム開始時に戦場へ並べるのではなく、各ユニットはまずリザーブに置かれます。戦場に出せる部隊の数は、選ばれたミッションによって定められる補給上限に左右され、ユニットごとに必要な補給値も異なります。
たとえば、テランのマリーン部隊は、構成員を失うと補給値が減少します。ラウンド開始時には補給上限が増加するため、ゲームが進むほど新しい部隊や、より強力な部隊を投入しやすくなります。最終となる第5ラウンドまでゲームが続いた場合は、この上限が完全に取り払われます。
このルールには、最初のターンで大きな損害を受け、そのまま長いゲームを失う展開を抑える効果があります。部隊をリザーブから出す順番は、その時点の戦況を見て決められるため、途中で方針を変えることも可能です。次のラウンドに大型ユニットを出す予定だったとしても、戦場に数が必要になれば、代わりに複数のザーグリングを投入して数で押す判断ができます。ゲームが進むにつれて軍勢を拡大する流れは、元のPC向けRTSの感覚にもつながっていると原文筆者は説明しています。
陣営ごとのミニチュアと戦闘システム
テラン、ザーグ、プロトスのミニチュアは、それぞれ異なる色のプラスチックで成形されています。さらに半透明のパーツが組み合わされており、塗装をしなくても陣営ごとの個性が出る構成です。スターターセットでは、テランが落ち着いた青、ザーグがピンクがかった紫、プロトスが明るい黄色で表現されています。
テランには爆発を表すオレンジ色のエフェクトパーツや、メディックの回復スプレーを示す緑色のパーツが付属します。プロトスには青いエネルギーシールドやブレードが用意され、さらに大きな透明青色のクリスタルを備えたパイロンのミニチュアも含まれています。モデルは細部まで作り込まれており、原文筆者は本格的な塗装を施したくなる造形だとしています。下地塗装とウォッシュだけでも、細かな造形とアクセントパーツによって各ユニットが目立つとのことです。
移動では実際の距離を測るためにメジャーを使い、戦闘では攻撃と防御のために複数のダイスを振ります。こうした部分は一般的なテーブルトップ・ウォーゲームになじみのある形式ですが、本作にはサージという独自の要素があります。武器の中にはライトやアーマードといったサージタイプのタグを持つものがあり、攻撃対象が同じタグに対応している場合、成功した命中の一部が相手のアーマーロールを無視してダメージを与えます。
このルールによって、単純に最も強いユニットをぶつけるだけではなく、相手のタグに対して有効な武器や部隊を選ぶ意味が生まれます。原文筆者は、適切な対抗ユニットを当てることが明確な利益につながるため、戦闘にじゃんけんのような相性判断が加わると説明しています。ダイスを大量に振る不確実性を残しながらも、攻撃対象の選び方に戦略性を持たせる仕組みです。
価格面と今後の課題
一方で、価格の高さは本作が避けられなかった問題として挙げられています。2人用スターターボックスにはテラン軍とザーグ軍が収録され、陣営ごとのスターターセットとしてザーグ、プロトス、テランが用意されています。さらに、部隊単位のボックスやヒーローのボックスも展開されており、遊べる陣営やユニットを増やすほど負担は大きくなります。原文筆者は、ミニチュア・ウォーゲーム全体に付きまとう問題だとしつつも、気軽に始められる価格帯ではない点を批判しています。
ただし、ルールブックは無料で公開されています。カードを確認できるブラウザアプリも提供されているため、ゲームを始める前にルールやユニット情報を確認できる環境は整えられています。ミニチュアを揃える費用そのものは解決しませんが、ルールブックやカード情報を別途購入する必要がない点は、導入時の負担を抑える要素です。
原文筆者は、平均的なセッションを半日から1日がかりの規模から2〜3時間程度に収めながら、ダイスを使った緊張感のあるウォーゲームとして成立させている点を本作の長所としています。交互のアクティベーション、段階的な部隊投入、タグを利用したサージの相性システムが、テンポと判断の両方を支えています。
その一方で、今後も新たなユニットを追加し続けるだけで、ゲームの魅力を維持できるのかは不透明です。テラン、ザーグ、プロトスにはまだ採用できるユニットが残されているものの、いずれ追加候補が少なくなったとき、プラスチック製品の発売以外にどのような方法で対戦を盛り上げるのかが課題になると原文筆者は指摘しています。現時点では、遊びやすさと戦略性を備えた設計が評価される一方、長期的な展開には懸念も残る作品です。