『Valor Mortis』は剣と超能力を組み合わせる一人称視点の戦闘が光るものの、前半の難易度調整に課題を残します
2026年10月12日 | #レビュー | Game Informer
One More Levelが手がける『Valor Mortis』は、一人称視点の戦闘と、悪夢のような18世紀のフランスを探索する楽しさが光るソウルライクです。今回のレビューでは、作品全体を通して、その緊張感と独自性を高く評価しています。ただし、前半は難易度の調整が厳しすぎて理不尽に感じる場面が多く、魅力的な物語の設定も期待ほどには発展しません。欠点を抱えながらも、死んでは挑み直したくなる戦闘と探索が、作品を支えています。
死から戻った兵士を導くナポレオン
主人公のウィリアムは、ヨーロッパ各地へ進軍するナポレオン軍の一兵士です。一度命を落としたはずが、荒れ果てた戦場で目を覚まし、頭の中に直接語りかけてくるかのような皇帝の声に導かれて進み始めます。
約25時間にわたる冒険では、左手で炎や時間などを操る、BioShockを思わせる超能力を獲得していきます。能力の種類は少ないものの、主力となる剣や銃をうまく補っています。終盤にはピストルや長距離向けのマスケット銃などもそろい、さまざまな刃物と超能力を組み合わせながら、ゾンビと化した兵士や、戦争によって傷つき呪われた住民たちと戦います。
ナポレオンの声が頭の中に響く理由、時間を止められる理由、不気味な魔力を帯びた化学物質が死体を蘇らせる理由。こうした謎への答えは、設定から想像が膨らむほどには面白くありません。物語は分かりやすく、同ジャンルのほかの作品ほど理解に労力を要しない点は長所です。サイドクエストにも人間味や謎を添える小さな物語があります。それでも、刺激的な導入に対して、結末の印象は平凡なものにとどまります。
前半の即死が、失敗から学ぶ機会を奪う
手強いボス、死亡時に落とす主要通貨とその回収、休息すると敵が復活する仕組みなど、ソウルライクの基本要素はそろっています。これらは、優れたGhostrunnerシリーズで磨かれたOne More Levelの一人称視点の戦闘ともよくかみ合っています。しかし、難しさが理不尽さに変わる場面は少なくありません。
このジャンルに慣れている筆者にとっても、特に前半の難易度調整は厳しすぎるものでした。本来、ボス戦は手持ちの能力を理解し、使いこなせているかを試す場であるはずです。ところが、一撃を受けただけで死んでしまうと、敵の動きを学び、反応する余地がありません。何が悪かったのか理解できないまま再挑戦することになり、通常の敵にさえ、不意に即死攻撃を繰り出されたように感じる場面がありました。
後半になると、もう一度挑みたくなる手応えに落ち着いていきます。ただ、それが後半の調整によるものなのか、スタミナや体力、武器の強化でようやく十分に戦えるようになった結果なのかは、筆者にも判断できませんでした。
剣、銃、超能力を使い切る戦闘の面白さ
戦闘で最も頼りになるのはパリィです。体力を一部失いながら攻撃を防ぐことも、ダッシュで回避することもできます。巨体の兵士やゾンビ犬のような怪物、実験によって異形と化した敵への対処を覚え、反撃を決める過程には確かな満足感があります。
炎で敵を燃やしたり、ステイシスで動きを止めて爆発効果を伴う攻撃につなげたりと、超能力を使う楽しさもあります。サーベル、レイピア、クレイモアといった剣に、散弾銃のようなブランダーバスや左手の炎を組み合わせる戦闘は、勝つために手持ちの装備や能力を総動員したくなる作りです。実際、使える手段をすべて活用せずに最後まで進むのは不可能であり、この戦闘への開発陣の自信が伝わってきます。
得意の高速アクションと、孤児たちの物語
冒険の途中には、壁走りやグラップル、棒を使ったスイング、縮んでいく足場を渡るジャンプなどを駆使する場面もあります。普段は意図的にゆっくりと、集中して進めるゲームだけに、こうした場面の速さと高揚感は鮮烈です。
この種のアクションを巧みに作る技術は、Ghostrunnerの魅力を支えていたものでもあります。ただ、その楽しさは同時に、筆者が『Valor Mortis』よりGhostrunnerを好む理由を思い出させました。開発側が望んだ効果ではないでしょう。
物語で最もよくできているのは、「Mice」と呼ばれる孤児たちを描く脇筋です。ナポレオンによって故郷を壊された子どもたちは、彼とは違う指導者を求めています。主にサイドクエストで展開するこの物語には、BioShockのリトルシスターをめぐる物語の影響がはっきりと見られます。
子どもたちを助けるための、生死に関わる仕組みもあり、その詳細は意図的に分かりにくくされています。これは後のいくつかの小さな場面に影響します。うまく作られている一方で、着想元のBioShockほどの出来には届いていません。
寄り道に報酬がある、荒廃したフランスの探索
「Mice」の物語に出会いやすいのは、本筋から外れた道にも魅力と報酬が用意されているからです。手榴弾や強力な弾丸などのアイテムが各地にあり、数多くの中ボスやサイドクエストも待っています。それらにたどり着くには、目的地へ直行するだけでは経験できない方法で、荒れ果てた土地を探る必要があります。
こうした探索の面白さには、章ごとの設計の巧みさが表れています。各章は新しい場所へと舞台を移し、前の章で築いた体験を発展させながら、ウィリアムの冒険にそれぞれ異なる印象を残します。
理不尽さを越えた先に、努力が報われる手応え
筆者は最初から最後までに、確実に100回以上死亡しました。そのうちかなりの死については、もっと納得できるものであってほしかったと感じています。失敗から学ぶ楽しさよりも、いら立ちが積み重なる場面が多かったためです。
それでも後半、さまざまな仕組みがかみ合い始めると、本作は多くを要求しながら、その努力に見合う満足感を返してくれるゲームになります。苦戦を乗り越えた報酬はもちろん、待ち望んでいた休息用のランタンにようやくたどり着くだけでも、安堵を味わえます。
One More Level初のソウルライクは、物語の設定が抱かせた期待には届きませんでした。しかし、スタジオがこれまで培った技術を生かし、緊張感と新鮮さのある体験を作り上げています。前半の理不尽さは大きな欠点ですが、戦闘と探索には、このチームによる新たな世界をもっと見たいと思わせる魅力があります。