『Mass Effect 2』は戦闘と仲間との人間ドラマを一新し、シリーズが独自の個性を確立した続編と評価
2026年10月25日 | #レビュー | GamesRadar+
『Mass Effect 2』は、前作の大きな構想を受け継ぎつつ、戦闘と物語の両面で作り直した続編として評価されています。決め手となったのは、仲間一人ひとりの個人的なドラマを物語の中心に据えたことです。BioWareが「続編でも完全な再発明は可能」と示した作品だと、原文は位置づけています。
冒頭の衝撃的な展開が示したリセットの覚悟
2007年の前作『Mass Effect』はXbox 360の独占タイトルとして期待を集め、善悪の二択にとどまらない壮大なスペースオペラを掲げていました。スケールは大きい一方で、どこか素っ気なく、凡庸な銃撃戦や扱いにくい車両操作が会話パートの合間を埋めていたといいます。スター・ウォーズとは違う作品ではあっても、膨大な設定の中で独自の個性を見つけきれていなかったという見方です。2006年の『Gears of War』の影響で三人称視点のカバーシューターが市場にあふれていたことも、単なる焼き直しでは通用しない状況を生んでいました。
そこで本作は冒頭、ノルマンディー号SR-1を破壊します。前作のセーブデータは経験値ボーナスやクレジット、物語の継続性を引き継げますが、これほど素早く、胸が痛むかたちでリセットボタンが押された例は珍しいと原文は述べています。その後、主人公のシェパード司令官は40億クレジットをかけて復活し、本作は続編ではなく再発明だと印象づけられます。
滑らかな操作と能力の導入で一変した戦闘
シェパードの動きは重厚な戦車のようだった前作から、滑らかなものに変わりました。カバーへ滑り込む挙動は軽快で、初期装備の拳銃でも序盤の戦闘を支配できるほど、射撃の手応えが強化されています。
さらに大きな変化が、パワーホイールで使うバイオティックやテックの新能力です。前作でも敵をカバーから引きずり出すことはできましたが、本作では青い炎をまとって敵陣に突っ込み、至近距離でショットガンを撃ち込むような戦い方ができます。原文は、前作を映画『LUCY/ルーシー』、本作を『フィフス・エレメント』にたとえ、本作を「愚かで痛快な破壊の口実」と表現しています。ただし、愚かなだけではないとも強調しています。
敵のダメージ管理には、シールド、バリア、アーマー、ヘルスの4種類のゲージがあり、種類ごとに有効な手段が変わります。SMGの連射でシールドが削れ、バイオティック能力のReaveはヘルスの回復を止めるため、クロッガンや新登場のヴォーチャのような頑丈な敵にも対処できます。弱点属性を突くだけの従来型RPGの戦いから離れ、敵も回り込みや包囲、火炎放射による追い出しなどで積極的に攻めてくるため、位置取りと火力の両方を考える必要があります。
それを支えるのが、全てのシェパードに備わった時間を止める能力です。状況を読んで作戦を立て直す余裕が生まれ、高難易度では考えさせるカバーシューターとしても、爽快な力の幻想としても成立するといいます。Unreal Engine 3の物理演算を生かして敵を宙に舞わせる演出も評価されています。
本作を忘れがたいものにした個人的なドラマ
射撃面の進化によって、本作は同時代の優れたカバーシューターに並びました。しかし、今なお語られる理由は、シリーズに加わった個人的なドラマ性だと原文は述べます。堅苦しいスペースオペラにメロドラマ的な要素を足したことが、他にない独自性を生んだという評価です。
仲間には、救いを求める元修道士の殺し屋、不安定な刺青の女性サイコパス、1,183のデジタルな精神を宿す機械生命体などが並び、衝突したり、親密になったりできます。本作がシリーズ最高傑作であり続ける理由は、概念よりも人を描いたゲームだからだと原文は述べています。
主要な仲間にはそれぞれ語るべき物語があります。ミランダは完璧であるよう作られた重圧と、押しの強い父親との関係に向き合っています。ギャラスとジェイコブは仕事での無力感を抱えており、ギャラスにはさらに復讐の筋書きもあります。ただしジェイコブは盛り上がりに欠けるとも評されています。忠誠ミッションがキャラクターの掘り下げをいっそう深め、銀河全体が脅かされる最終局面の成否が、仲間の個人的な問題の解決に左右される構造も特徴です。
お使いクエストや資源採掘に頼らず、ジャックがサブジェクト・ゼロとして過ごした日々に区切りをつける手助けをする場面には、意味があると感じられます。こうした哀感と和解の小さな瞬間を通じて、BioWareは壮大な問いを人の営みに結び付けました。原文は、傷ついた多様な仲間が宇宙で居場所を探す世界を、リーパーに奪われるのは悲劇だと思えてくると述べ、BioWareが求めていた人間性への窓をようやく見つけたとしています。
ロールプレイの厚みを増したシェパードとサーベラスの関係
シェパードとサーベラスの不安定な協力関係は、個性の強い仲間たちを爆発させかねない導火線であると同時に、プレイヤーが高潔なパラゴンの道から外れる理由にもなります。原文は、多くのゲームで悪の道は理由なく他人に横柄に振る舞うだけの愚かな選択になりがちだと指摘します。本作では、シェパードが結果を重んじる人類至上主義の組織の一員であるため、レネゲード選択に物語上の筋が通ったとしています。
ただし、繊細な道徳描写を実現したわけではないとも明記されています。それでも、ロールプレイは確実に厚みを増しました。後のボス戦を楽にするため、ガンシップの整備士をテーザーで襲うのか。尊大なヴォルス人と悪徳警官に差別されるクォリアンをかばうのか。会話ホイールの特定の選択肢ばかりを選ぶ遊び方をしなければ、両方を選ぶことも可能です。世界の危機だけでなく日常のいざこざにも関わることで、シリーズに足りなかった親密さが生まれ、遊び方がプレイヤー自身の人物像を映すとしています。
選択の尊重を実感させた作品として
『Mass Effect 3』の結末を巡る議論の影で見落とされがちですが、本作はプレイヤーの選択を尊重するというシリーズの約束を実現した作品に感じられたと原文は振り返ります。前作のプレイ内容に応じてミッションが現れたり消えたりし、見知った顔が思わぬ場所に登場し、銀河の様相を変えることもできました。仕掛けの都合で基本構造が同じになる点は避けられなかったとしています。
今あらためて遊ぶことは、新しい戦闘手段や道徳の選択を試すだけでなく、最も野心的な連続物語が何を目指し、選択を中心にした世界をどこまで実現したかを思い出す機会にもなると結んでいます。続編であっても完全な再発明はでき、そのためには絶頂期にあるスタジオと、あの印象的な効果音が必要だったというのが、原文の結論です。