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『Silver Pines』は不気味な雰囲気と探索が魅力のサバイバルホラーだが、コインに縛られたセーブ方式が筆者には重い

2026年10月31日 | #レビュー | Eurogamer

『Silver Pines』は不気味な雰囲気と探索が魅力のサバイバルホラーだが、コインに縛られたセーブ方式が筆者には重い

Wych Elm Gamesの『Silver Pines』は、昔ながらのサバイバルホラーにメトロイドヴァニア的な探索を組み合わせた作品です。筆者は5時間ほどプレイした時点で、雰囲気作りや世界観を高く評価しています。一方で、弾薬や回復、セーブまでを限られたコインに結び付けた設計が、昔のサバイバルホラーのセーブ制限を思い出させて苦手だと述べています。評価は「優れた作品だが、相性は良くない」というものです。

1950年代の食堂から始まる、リンチ風の物語

物語は1950年代の食堂で幕を開けます。照明は落とされ、窓には板が打ち付けられ、町は迫り来る嵐を待っています。主人公は私立探偵のレッド・ウォーカーです。神経質な態度とバリウム(精神安定剤)を飲んだような話し方からは、レッド自身も状況をよく分かっていないことがうかがえます。駐車場の電話ボックスが鳴り、行方不明のミュージシャンとモーテルの部屋をめぐる謎めいた話が語られ、プレイヤーは町の中心へ向かいます。

ネオノワールや心理ホラーの要素もありますが、デヴィッド・リンチ、とくに『ツイン・ピークス』からの影響ははっきりしています。ロトスコープで描かれた風変わりな住人たちが、唐突でちぐはぐな会話を交わします。怪しい扉を抜けると、現実がねじれて時間の外にあるような薄汚いナイトクラブに出る場面もあります。筆者によると、しゃべる巨人は出てきませんが、歌は聴けます。

借り物に終わらない雰囲気と、探索中心のテンポ

『ツイン・ピークス』の意匠は登場から36年でさんざん借用されてきたため、オマージュは創造性の行き詰まりに陥りがちです。筆者は、それでも本作が独自の空気をまとっていると評価しています。ただし、その空気はリンチと『サイレントヒル』の交差点にあるものだとも指摘しています。『サイレントヒル』自体も『ツイン・ピークス』の影響下にある作品です。

町の雰囲気は、荒れ果てた憂いに満ちたものです。何層にも重ねた絵画的な2Dアートで描かれた世界は、くすんで荒涼とし、常に湿っぽく、計算された影に沈んでいます。悲しげな怪物たちは、輪郭が揺らぐようにぼんやりと現れます。風や雨、亡者の嘆きの下では、ごく淡いシンセの旋律が流れ、サウンド全体がASMRに近づくほどだといいます。

ペースはゆったりしていて、筆者はそれを欠点とは見ていません。不気味さが入り込む余地を作る作りだとしています。散発的に暴力的な場面はあるものの、意図的にぎこちない銃撃と、よろめくような近接戦闘をはさみながら、中心になるのは探索のリズムです。

メトロイドヴァニア的な町の探索

町は広大でつながり合った空間です。雨の降る屋外から薄暗い屋内へ入ると、新しい道が開けたり、通れなかった場所に戻れたりします。レッドが「扉は向こう側からしか開かない」とつぶやく場面が、夢に出てきそうなほど繰り返されると筆者は書いています。パズルに出会うこともありますが、進行で多いのは、かなり前に見た場所が新しい道具で開くのではないかと考えることです。プラスチックで封じられた通路を開けるボックスカッターや、錆びた南京錠を壊せる拳銃がその例です。

筆者は、メトロイドヴァニアであまり使われない仕組みとして、気になる場所を撮影してマップにピン留めできる機能を挙げ、お気に入りだと評価しています。後の自分への備忘録になるからです。

コインにすべてを縛る設計が緊張と疲れを生む

ここまで探索の流れは静かな雰囲気に合っていると評価していますが、5時間遊んだ筆者は、意図的な旧作風の設計に苦戦していると明かしています。見た目は豪華で陰鬱ですが、中身は古風です。旧作風の冒険を旧作風に作ったことを批判するつもりはないとしつつ、ジャンルが進化したことをありがたく感じたそうです。

本作は多くのサバイバルホラーと同じく、物資の乏しさと消耗で緊張を作ります。弾数は限られ、近接武器は壊れ、補充に必要な資源も少なめです。武器がなければ、よろめきながら敵をかわすしかありません。その上で本作は、世界に置かれた有限のコインに仕組みを集約しています。弾薬、ダクトテープ、回復アイテムなどはマップ上では貴重ですが、自動販売機では比較的たくさん買えます。ところが、コインは電話ボックスでのセーブにも必要です。あらゆる選択がより危うくなり、常に悪循環へ陥る危険があります。

筆者はサバイバルホラーが大好きだと断った上で、限られたセーブは昔から嫌いだったと語ります。『バイオハザード』のタイプライターのリボンを最後の1つ使うかどうか悩むような賭けのストレスもその理由です。運が尽きて同じ区間をやり直すことになったときに、雰囲気がしぼんでいく点も挙げています。現代のサバイバルホラーにも課題は残るものの、セーブ用の通貨という恣意的な制限をなくすことで、勢いを保ちやすくなっているという考えです。

本作では、武器の故障や死の危険といった生存のための仕組みがコインにきつく結び付いているため、筆者はセーブにいっそう執着し、無駄遣いにいっそう慎重になりました。雰囲気が仕組みに変わってしまい、効率的なルート作り、敵の位置の把握、弾数の計算、ボックスカッターを振る回数の節約と、頭の中で表計算をするような状態になって、謎に没頭できなくなったといいます。オープンな構造も問題を悪化させています。長く静かな区間のあとに不意に死ぬことがあるため、やり直しがとくに骨の折れる作業になるからです。

評価と結論

筆者は、昔ながらのサバイバルホラーへの苦い記憶を呼び起こすのは本作のせいではないと認めています。破滅へ向かうかもしれない不安と、計算が外れたときの厳しい罰を愛する人がいることも承知しているそうです。

それでも、気が合わない部分があっても本作には敬意を抱いています。筆者は『Silver Pines』を、雰囲気の面で見事に陶酔的な作品だと評しています。不満はあっても、釣り糸のように引っ張り続ける謎が、先へ進ませてくれるとのことです。謎めいたバーが「ザ・ラビット・ホール(うさぎの穴)」と呼ばれるのも、あながち偶然ではありません。エディ・ベルベットの捜索が続くなか、筆者は再び迷路のような巣穴で迷っています。

雰囲気重視の探索型ホラーが好きな人には魅力的ですが、限られたセーブ資源や、やり直しの負担が苦手な人には厳しい作品になりそうです。