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『Phantom Blade Zero』作曲家が語るサウンドトラックの狙い、カンフーパンクに合わせて伝統楽器に新たな意味を与える

2026年11月06日 | #ゲーム紹介 | IGN

『Phantom Blade Zero』作曲家が語るサウンドトラックの狙い、カンフーパンクに合わせて伝統楽器に新たな意味を与える

『Phantom Blade Zero』のサウンドトラックが、Milan Recordsから発売されました。4枚組・全81曲の作品で、作曲を手がけたのは中国実験音楽の先駆者として知られるCaisheng Bo氏です。IGNによるインタビューでは、中国の伝統楽器に新しい意味を与えた音楽設計や、開発チームとの制作の進め方が語られています。

18年前のインディー作品から続く音楽

Milan Recordsによると、本作の音楽の物語は18年前に始まりました。当時、高校生だったBo氏と大学院生だったSoulframe Liang氏が、インディーゲーム『Rainblood 2: City of Flames』を制作していました。この作品がのちに「Phantom Blade」シリーズへと発展しています。

Bo氏は北京を拠点とし、米国のバージニア大学を卒業した人物です。本作の音楽は、長年書き溜めてきた楽曲を土台にしています。旋律の多くは引き継がれていますが、後述する「ざらついたような音の演出」と、楽器の意味づけの対比は、本作で新たに加えられたものだそうです。

伝統の意味と新しい意味を対比させる

Bo氏によると、伝統的な中国音楽では、楽器ごとに「何を表し、どう使うか」という決まった連想が固定化しています。同氏はこれを型にはまった表現と捉え、本作ではその型に挑んだと説明しています。各楽器に、従来の連想と新しい意味を対にして持たせたとのことです。

  • 二胡:従来どおり英雄的な行動を表すほか、赤い糸が空から降りて敵を吊り上げ操る「操り」の象徴としても使われます。
  • 琵琶:危険や暗闇に潜む危機に加え、時間が止まり空間がゆがむ異界「不協和」と結びつけられています。
  • 馬頭琴とホーメイ(喉歌):「天命」や正義を表す一方で、巨大なものへの恐怖(巨大物恐怖)も呼び起こします。
  • 壎(シュン):伝統的には泣く表現に使われる楽器ですが、本作では絶対的な権威を持つ人物Mu Tianmiaoが登場する場面でも聞こえます。

Bo氏は、これらの対比によってゲームの物語を音楽で豊かにしたかったと述べています。

野心を表す「ざらついた音」の演出

伝統楽器の活用に加えて、ムービーシーンには、音が途切れ途切れに繰り返されるような演出も用いられています。特にZuo Shangが策謀を巡らせる場面で目立ち、物語が進むにつれて音は大きく、存在感を増していきます。Bo氏によれば、これはZuo Shangの膨らむ野心、抑えきれない「殺気」を示すものです。

映像を見ながら音楽を組み立てる制作手法

制作では、完成した脚本とあわせて、あるエリアが6割ほど出来上がった段階で、Soulframe氏からプレイ映像が届けられたといいます。隠し通路の探索、敵との戦闘、宝探しまで、プレイヤーと同じようにエリア全体を遊んだ映像で、4時間に及ぶ録画を定期的に受け取っていたとのことです。

Bo氏はそれをいくつかの区間に分けて、音楽を設計しました。音楽監督と作曲家を兼ねているため、音楽をどこから始め、どんな感情を表現すべきかを把握しているそうです。同氏のデモ音源を受け取った開発チームは、マップや戦闘、ボス戦を音楽に合わせて微調整し、ゲームと音楽がぴったり同期するようにしていると説明しています。

カンフーパンクに合わせた大胆な音楽

Bo氏は、一般に知られる中国の民族音楽について、美しい古い村や神聖な寺院のように、高い山や滝に囲まれた水墨画のような情景を連想させるものだと語っています。これに対し、「Phantom Blade」は「カンフーパンク」という独自のコンセプトを掲げています。このコンセプトがあったからこそ、映像に合わせた大胆な音楽的判断ができたそうです。

本作で目指したのは、中国音楽の現代的な側面です。超高層ビルときらびやかなネオンが並ぶ上海のように、間違いなく中国らしい都市の姿を思い描いているといいます。

さらにBo氏は、音楽は誰もが話せる世界共通の言語だとも述べています。東洋の民族的要素を、ポップ、トラップ、メタルといった西洋の現代的なジャンルと組み合わせれば、可能性は無限に広がります。文化の違いを超えて、その美的に驚くべき結果を楽しめることを示したかったと語りました。