『GTA 6』拡張映像、Netflix独占が示すRockstarの自信と誇り
Rockstar Gamesが『GTA 6』のExtended Look(拡張映像)をNetflixで先行公開したことは、単なる宣伝手法にとどまらないようです。映像配信サービスを選んだ背景には画質へのこだわりがあり、同時に本作をゲームの枠を越えた映像作品として見せようとする、Rockstarの自信と誇りが表れています。
Netflix先行公開は画質を重視した選択か
原文筆者は、今回の大型映像がNetflixを公開先に選んだ理由について、複雑なマーケティング戦略よりも「動画エンコード」の違いが大きかったのではないかと考察しています。実際にNetflix版とYouTube版を見比べると、Netflix版のほうが黒が深く、色彩が鮮やかで、輪郭もきれいに見えるとのことです。映像の圧縮によるノイズや破綻も少なく、背景にいるキャラクターの顔のような細部まで、より明瞭に確認できると原文筆者は説明しています。
Netflixの画質も決して完全ではないものの、ストリーミング映像の品質ではAppleのサービスに近く、Prime VideoやYouTubeを大きく上回ると原文筆者は評価しています。Rockstar Gamesにとって、作品がどのように見えるかは重要な問題です。Netflixは、本作の映像を最も魅力的な状態で見せられる、いわばショーウインドーとして都合のよい場所だった可能性があります。
Netflix側にも大きな利点がありました。Extended Lookは同サービスのランキングでトップ10入りし、1位にもなったとされています。両社の提携には金銭面を含む別の狙いもあったと考えられますが、映像品質の差をRockstarが見逃していたとは考えにくい、というのが原文筆者の見方です。
独占公開が生んだ「その場」の設計
Extended LookはNetflixで一定期間先行公開され、その後にほかの視聴環境でも見られる形になりました。原文筆者は、この施策が視聴者に、スマートフォンや不安定なWi-Fi環境で急いで見るのではなく、スマートテレビやゲーム機のNetflixアプリを使って楽しむことを促したのではないかと推測しています。実際に本作をプレイすることになる画面で、友人や家族と一緒に鑑賞してもらう狙いです。
一方で、ゲームのトレーラーに近い映像を、サブスクリプションサービスで期間限定独占することには、明らかな思い上がりもあると原文筆者は指摘しています。誰もが自由にアクセスできる動画サイトではなく、加入者向けのサービスを選ぶのは、作品の知名度と期待感を前提にした大胆な判断です。13年ぶりとなる新作への希少性を利用し、映像そのものをひとつのイベントに仕立てたといえます。
映画のようでありながらゲームである映像
Rockstarの作品が映画的な表現から強い影響を受けてきたことも、Netflix公開の意味を考えるうえで重要です。同社はこれまでも映画の語法やイメージ、演出技法をゲームに取り込んできました。映画The Warriorsをゲーム化したほか、William Friedkin監督のTo Live and Die in L.A.や、Clint Eastwood主演のThe Outlaw Josey Walesに通じる、無造作な格好よさや鋭い雰囲気を別の媒体で再構成しようとしてきたと原文筆者は述べています。
本作の映像は、Netflixに並ぶ映画作品の中に置かれても違和感がないほど、豊かな映像表現を備えているとのことです。人であふれるロケーションや、膨大な数の登場人物によって構成された世界は、Christopher Nolan以降の大作映画や、ストリーミング配信用の予算で制作される作品の多くがうらやむ水準だと原文筆者は見ています。JasonとLuciaの姿を3分程度で切り上げず、より大きな画面と長い時間で描きたいと考えたとしても不思議ではありません。
ただし、Extended Lookは本作を映画としてだけ見せようとはしていません。映像は映画的でありながら、ゲームの仕組みを隠さずに提示しています。ナレーターが物語やシステムを説明することはなく、ゲームプレイ、カットシーン、モンタージュが時系列を崩した形で切り替わります。視聴者に細かな説明を与えず、自分で映像を読み取るよう委ねている構成です。
物語も、JasonとLuciaの関係や2人が抱える「問題」を軸にしながら、複数の方向へ広がっていくように描かれています。原文筆者は、こうした大きな物語を断片的なゲームプレイや演出の中に織り込む手法こそ、ゲームにおける物語の作り方だと指摘しています。映画の表現を借りながらも、ゲームとしての見せ方を手放してはいません。
Rockstarが示したシリーズの立ち位置
Extended Lookから受ける印象は、圧倒的に壮大でありながら、同時に極めて馴染み深いものでもあります。車を盗み、人を撃ち、危うい人物たちと出会うという基本構造は、これまでのGTAから大きく離れていません。世界最大級のゲームシリーズとして、常識そのものを塗り替えようとしているわけではないと原文筆者は分析しています。
それでもRockstarは、シリーズを置く場所を変えようとしているようです。13年ぶりの新作という希少性を利用し、Extended Lookの内容だけでなく、公開方法そのものによって特別な瞬間を演出しました。ゲーム業界の新情報として見せるのではなく、映画を含むより大きな映像文化の中に本作を置こうとしたのです。
これは自信なのか、それとも思い上がりなのか。原文筆者は、恐らくその両方だと結論づけています。ただ、最もふさわしい言葉として挙げているのは「誇り」です。Rockstarは、自分たちのゲームがどのように見られ、どのような場で語られるべきかを強く意識している。その姿勢が、今回の配信形式と映像の作り方の両方に表れているという見立てです。