← 最新記事一覧

『No Law』はサイバーパンクFPSの枠を超える、没入型シムとしての自由度を披露

2026年09月01日 | #ゲーム紹介 | Game Informer

『No Law』はサイバーパンクFPSの枠を超える、没入型シムとしての自由度を披露

サイバーパンクFPSとして紹介されてきた『No Law』が、天候や時間帯、NPCの生活習慣まで利用できる本格的な没入型シムとして姿を見せました。Gamescomのプレビューでは、戦闘だけでなく潜入、会話、探索、アイテムの組み合わせによって攻略方法が変わるシステムが明らかになっています。原文筆者は、2027年に最も期待する作品の1つになったと評価しています。

無法都市を舞台にした復讐劇

舞台は、地中海沿岸を思わせる都市ポート・デザイアです。政府による統制が存在しないこの街では、犯罪活動をはじめ、危険な科学実験や闇市場向けの武器開発が横行しています。一方で、治安維持組織のピースキーパーが完全な混乱だけは防いでおり、企業や周辺国にとって都合のいい無法地帯として機能しているとのことです。

共同創設者兼共同クリエイティブディレクターのArcade Berg氏は、ポート・デザイアを「ラスベガスを極端にしたような場所」と説明しています。安全で完璧な都市を目指しているわけではなく、ある程度の混乱と暴力が残されているからこそ、人々は犯罪や娯楽を求めて訪れるとしています。街では欲しいものがほぼ何でも手に入る一方、それを止める政府は存在しません。

主人公は、引退していたGardenerです。物語の冒頭で、彼は自分から奪われたものを取り戻すため、再び危険な世界へ引き戻されます。開発チームは物語の軸を復讐と説明しており、複雑な背景を知らなくても、目的のために敵と戦うFPSとして楽しめる構成です。NPCとの会話や情報収集は任意で、よりシンプルな射撃体験を選ぶことも、街の仕組みを利用する没入型シムとして遊ぶこともできます。

天候と時間が攻略方法を変える

ポート・デザイアでは、動的な天候システムが導入されています。厳重に警備された施設へ侵入する場合、雨が降るまで待つことが有効になる場面があるとのことです。NPCは現実の人間と同じように雨の中へ出たがらないため、警備員が建物内へ集まったタイミングなら、外側から侵入しやすくなります。

昼夜の変化も単なる見た目の変更ではありません。夜になると店が閉まり、買い物や物資の補充が難しくなります。その一方で、NPCが寝室へ移動するため、標的を狙うには都合がよくなる場合があります。目的地へ向かう時間を選ぶだけでも、警備や周囲の人々の状態が変わる仕組みです。

街を歩くと、整備士が車を修理し、工具から火花を散らしている様子や、バリスタが客へコーヒーを提供する場面を確認できます。建設作業員はVRヘッドセットを使い、ドローンを操作して店舗の外壁を修復しています。NPCには仕事の習慣や決まった移動経路があり、街の各所でそれぞれの生活が進んでいるとのことです。

すべての通りには通り名の標識があり、建物には住所が設定されています。専用の「イマーシブモード」を有効にすると、目的地へ向かう際にこうした情報を自分で読み取り、街の構造を頼りに移動することになります。モードを使わない場合は、一般的なゲームのウェイポイントが表示されるため、道順を簡単に確認できます。開発チームは「ゲームを間違った遊び方で進めることはない」という方針を掲げており、プレイヤーがどの情報を使うかを選べる設計です。

店の商品も組み合わせて利用可能

ショップに並ぶ商品は、パッケージ、ロゴ、商品の説明文、成分表示に至るまで、すべて手作業で作り込まれています。デモでは回復アイテムを購入していましたが、代金を払わずに店を出れば盗難となり、店員やピースキーパーに追われる可能性があります。店の出入口には盗難防止装置も設置されており、単なる背景ではなく、プレイヤーが干渉できるオブジェクトとして扱われます。

実際に、後から店へ戻って盗難防止装置を持ち出し、グレネードと組み合わせることで近接グレネードを作成する場面が紹介されました。開発チームによれば、このような組み合わせによって新しい武器やアイテムを作れる仕組みが多数存在するとのことです。店にあるもの、周囲の設備、手持ちの装備を別々の用途に限定せず、状況に応じて組み合わせられる点が本作の特徴になります。

街の環境そのものも変化しています。ポート・デザイアでは自然が都市を取り戻そうとしており、一般的なサイバーパンク作品よりも日差しの強い環境のなかで、植物がより積極的に広がっています。作業員が薬品を使って建物や道路を覆う緑を抑え込んでいる様子も描かれました。都市の上層だけでなく、自然に侵食された区域や地下空間まで含めて、場所ごとに異なる雰囲気が作られています。

潜入、戦闘、探索から選べる進行

デモでは、Gardenerが情報提供者を探すため、友人のRoscoに話を聞いてから街を進みます。会話によって後で利用できる情報を得られますが、NPCとのやり取りは必須ではありません。地下へ進むと、明るい地上とは対照的な影の多い空間が広がり、そこに暮らすNPCたちも街の裏側を思わせる雰囲気を持っています。

アパートへ入る場面では、正面から突入して居住者を全員倒すことも、フェンスを越えて忍び込むことも可能です。周囲の木箱を積み上げれば、通常では届かない高さの窓から侵入できます。開発側は、見た目に可能そうな行動は実際にできる可能性が高いと説明しており、環境を使った突破方法を幅広く用意しています。

建物の管理人Rennに行く手を阻まれた際も、殺害して進む必要はありません。近くの部屋を調べ、隠されたパスワードが記された書類を見つければ、別の方法で先へ進めます。Rennは1960年代のニューヨークにおける組織犯罪やフィルム・ノワールを意識した人物で、態度やアクセントにもその影響が表れているとのことです。

本作では、経験値を敵の撃破や特定の操作に対して個別に与えるのではなく、目的を達成したときに獲得します。鍵開けで部屋へ入っても、ヘッドショットで敵を倒しても、それ自体が経験値の条件にはなりません。情報提供者の部屋へ到達できれば、その方法にかかわらず報酬を得られる設計です。Berg氏は、開発チームは「何を達成したかには報いるが、どう達成したかには報いない」と説明しています。特定の行動だけが有利になる状況を避け、プレイヤーが自分の判断で方法を選べるようにするためです。

情報提供者の部屋に到着しても本人は見つからず、Gardenerは探偵のように周囲を調べることになります。コンピューターを調査すると、情報提供者が秘密の会合へ向かったことが判明します。メールには、相手と会う候補地点が3カ所記されており、それぞれ警備の厳しさが異なります。デモは最も警備の薄い地下トンネルへ向かう途中で終了したため、情報提供者との接触や、その後の展開までは確認されていません。

一本道ではない物語と1周ごとの違い

開発元のNeon Giantは、過去作The Ascentを手がけた時点の12人から、現在は24人へとスタッフ数を倍増させています。小規模なチームでありながら、デモでは大規模作品のような作り込みが示されました。Far Cry、Crysis、The Chronicles of Riddickなどに携わった経験を持つスタッフが在籍しており、同スタジオは今回が初めて本格的な没入型シムに挑戦する一方、過去作にも同ジャンルの要素があったとしています。

物語は完全な一本道ではなく、プレイヤーの行動や選択によって世界への影響が変化し、エンディングも分岐します。ほとんど受動的に進めることも理論上は可能ですが、復讐劇である以上、物語上どうしても殺さなければならない人物は存在するとのことです。街にどのような変化を与えたかによって、最終的な結末が変わります。

1回のプレイですべてのスキルを解除し、すべての会話を体験することはできません。Neon Giantは、小規模チームではコンテンツの制作に時間と費用がかかるため、プレイヤーが一部の要素を見ないままクリアすることも受け入れていると説明しています。ただし、何度も遊び直して全要素を回収することを強く求めているわけではありません。重視しているのは、最初のプレイを自分だけの体験だと感じられることです。

Berg氏は、リプレイ性が存在しないという意味ではないものの、設計の中心は繰り返しプレイではなく、最初の1周を意味のあるものにすることだとしています。スタッフが見せた内容を受け、原文筆者は、従来の宣伝から想像していた「よくあるサイバーパンクゲーム」という印象が大きく変わったと記しています。発売時期は2027年で、対応機種はPS5、Xbox Series X/S、PCです。PC版はSteamとEpic Games Storeで配信される予定です。