『No Law』は太陽と植物が支配する地中海風サイバーパンクゲーム
サイバーパンク作品の定番だった暗闇と雨の都市を、太陽の光と過剰な植物が覆すゲームが登場します。Neon Giantの新作『No Law』は、街の住所や住民の生活まで細かく設定し、プレイヤーの行動が偶発的な形でも世界を変えてしまう没入型シミュレーションです。Gamescom 2026で披露された約1時間のデモでは、同じ任務を異なる方法で攻略できるだけでなく、開発者の想定を超えた結果まで起こりうるシステムが示されました。
太陽と植物が共存する新しいサイバーパンク
舞台となるのは、架空の都市Port Desireです。これまでのサイバーパンク作品では、東京やロサンゼルスを思わせる巨大都市が描かれることが多く、ネオンや広告、雨に濡れた夜景がジャンルの象徴になっていました。対して本作の街並みは、地中海沿岸の都市を思わせる明るい雰囲気が特徴です。曲がりくねった路地や人でにぎわう広場、リヴィエラの街を連想させる景観に、ネオンサインやナイトクラブの広告が組み合わされています。
さらに、Port Desireでは街のあちこちに植物が生い茂っています。作中設定では攻撃的な植物が都市を侵食しており、住民や作業員は毎晩、薬品を使って成長を食い止めなければなりません。放置すれば植物に街を奪われてしまうため、地域によっては完全に植物に覆われた場所も存在するとのことです。スタジオ関係者は、この世界観を「スタジオジブリとジャッジ・ドレッドを組み合わせたようなもの」と説明しています。
この方向性は、単に景色を変えただけではありません。太陽が見える明るい都市、緑に覆われた建物、地中海風の広場を舞台にすることで、暗く閉塞した未来都市とは異なるサイバーパンクを目指しています。Neon Giantの前作The Ascentが、永遠の夜と激しい雨に包まれた垂直都市を描いていたのに対し、本作は同じジャンルでも大きく異なる場所を作り上げようとしています。
住民の住所と行動がゲームプレイを変える
Neon Giantは街の存在感を高めるため、すべての通りに名前を付け、専用の道路標識を設置しています。建物にも個別の番号が振られており、住民はそれぞれ特定の住所にある自宅を持っています。仕事が終わったときや、広場で酒を飲むのをやめたときには、自分の家へ戻る仕組みです。
プレイヤーはミッション中、ウェイポイントに目的地まで案内させることもできます。一方で、資料やNPCから手がかりを集め、街の道路網を把握しながら自力で目的地を探すことも可能です。すべての住民に生活拠点が設定されているため、誰がどこにいるか、時間帯によって何が起きるかが、侵入経路や任務の結果に影響します。
主人公は、元軍人のフィクサーGrey Harkerです。プレイヤーの行動を受け入れる余地を持った、いわゆる白紙に近いタフな主人公として描かれています。たとえば、回復用のソーダや状態異常を与える酒、卵などを購入できる地元の食料品店の店主を殺害すると、その店はプレイの残りの期間ずっと閉店します。
重要なのは、店主を直接狙わなくても同じ結果になる可能性があることです。あるミッションで路地に追い詰められた際、店主が3階の自宅に滞在している夜の時間帯なら、投げた手榴弾が敵ではなく店主の窓に飛び込むことがあります。この場合も店は閉鎖されますが、プレイヤーはその原因に気づかないまま先へ進むかもしれません。個別のNPCと建物を結びつけた設計が、予測できない結果につながっています。
同じ任務でも進入方法と結末が変化
デモの終盤では、開発者が同じミッションを2回プレイし、目的達成までの経路が変わる様子を見せました。任務の目的は、住所だけを手がかりに情報提供者Flinkを探すことです。しかし建物の周囲には、争いを求めるギャングが集まっています。
正面から敵と戦う以外にも、フェンスを越えたり、窓から建物へ入ったり、通気口を通ったりできます。通気口は清潔な金属製のトンネルではなく、ゴキブリやクモの巣に覆われた不快な空間として描写されていました。こうした細部も、整然とした未来都市ではなく、実際に人々が暮らす街を作ろうとする本作の方針を示しています。
別の場面では、Greyが窓から室内をのぞくと、空き瓶を大量に並べた部屋で酔いつぶれている男性を発見します。男性は泥酔してドアを開けたまま眠っており、その部屋が結果的にミッションの目的地へつながっていました。情報収集、住民の生活、時間帯、建物の構造が連動するため、プレイヤーは必ずしも決められたルートをたどる必要がありません。
経験値は任務を完了した時点で得られ、隠密行動を選んだか、金庫の解錠に成功したか、ヘッドショットを決めたかによる追加報酬はありません。没入型シミュレーションでは、ステルスを選ぶほうが得になる設計が多く、結果としてプレイスタイルが偏りがちです。本作は、目的を達成した方法ではなく、達成そのものを評価することで、その問題に対処しようとしています。
物理演算と銃撃戦が予測不能な状況を生む
夜のプレイでは激しい雨が降っていました。銃撃戦は、没入型シミュレーションやRPGでよく見られる重めの戦闘というより、一般的なFPSに近い操作感を目指しているようです。原文筆者は、少なくともデモを操作せずに見た範囲では、Falloutのような戦闘とは異なる印象を受けたとしています。
手榴弾には、敵を数秒間空中に浮かせたあと爆発させる挙動もありました。敵を倒して建物に入ると、棚に置かれていた瓶が床へ落ちています。爆発の衝撃が壁を揺らし、瓶を所定の位置から落としたためです。
この現象は、Gamescom向けビルドのテスト中に開発者が把握していなかったものだといいます。Neon Giantが設定した物理やインタラクションのルールを、ゲーム内のシステム同士の組み合わせが想定外の形で利用した結果です。原文筆者は、こうした「開発者が作ったルールをゲーム自身が破る」可能性こそ、本作で特に期待を感じた部分だと評価しています。
本作は2027年に、PS5、Windows PC、Xbox Series X向けに発売される予定です。