『マジック:ザ・ギャザリング』ネットミーム化したカード10選をランキング
2026年09月02日 | #ゲーム紹介 | Polygon
『マジック:ザ・ギャザリング』には、意図的にインターネット文化を取り込んだカードだけでなく、イラストや効果の組み合わせが偶然ミーム化したカードも存在します。原文筆者は、Garfieldやスポンジ・ボブ、マーベル作品、ファイナルファンタジーなどとのコラボレーションを含め、対戦で使える“オチ”のようなカードから特に印象的な10枚を選出しています。
作品やネット文化をカード化したコラボレーション
10位はCounterspellです。2026年のSecret Lair x Garfieldで登場したこのカードは、GarfieldがJonを巨大な「SLAP!」の擬音とともに叩くイラストになっています。Counterspellは青2マナで対象の呪文を打ち消す定番カードで、相手の行動に対して「いや、それは認めない」と突きつけるような効果です。何事にも無関心なGarfieldのキャラクター性と、相手の呪文を即座に否定するカードの性質が重なり、単なるコラボアート以上の面白さを生んでいると原文筆者は見ています。このSecret Lairには、Dark Ritual、Fog、Earthquake、Sword to PlowsharesのGarfield風アート版も収録されました。
8位のForce of Despairは、スポンジ・ボブのSecret Lair企画Internet Sensationに含まれる1枚です。イラストでは、Squidwardが窓越しに沈んだ表情を浮かべる一方、外ではSpongeBobとPatrickが楽しそうに騒いでいます。カードの効果は、そのターンに戦場へ出たクリーチャーをすべて破壊するというものです。楽しい出来事を一瞬で台無しにするような効果と、窓の外を見ながら絶望するSquidwardの姿がよく合っています。同じ企画にはCounterspell、Daze、Inevitable Betrayal、Night’s Whisperのミーム風カードもありますが、原文筆者はForce of Despairを最も分かりやすく、何度見ても面白い例として評価しています。
6位のImpostor Syndromeは、2025年のMarvel's Spider-Manに収録されたカードです。元になったのは、2人のSpider-Manが互いを指さす有名な場面で、後にはSpider-Manがさらに増えた形でも使われるようになったネットミームです。自分のトークンでないクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えると、そのクリーチャーのトークン版を生成します。同じ姿の存在が次々に現れるため、カード名、イラスト、ルール効果のすべてが「自分と同じものがいる」というミームの内容に直結します。元ネタを描いただけで終わらず、実際のゲームプレイそのものに冗談を組み込んだカードです。
意味不明さそのものが魅力になったカード
9位はIndestructible Auraです。1994年のLegendsにさかのぼる古いカードで、白1マナを支払うと、そのターンにクリーチャーへ与えられるすべてのダメージを防ぎます。ただし、名前から想像しやすい「破壊不能」を与えるカードではなく、現代の基準ではEnchantment Auraでもありません。名前と実際の効果がずれている時点で奇妙ですが、イラストがその印象をさらに強めています。
描かれているのは、Theodarという鳥のような人型の存在です。Theodarは両手から虹色のエネルギーを放ちながら勝ち誇ったポーズを取り、片手ではロックミュージックの“ロックオン”サインを掲げています。フレイバーテキストには、戦場へ乗り込み、敵の剣を素手で奪ったという内容まで記されています。カード名、絵、フレイバーテキスト、効果がそれぞれ別の方向を向いているため、特定のネットミームを再現したものではなく、本作自身が意図せず生み出したミームのような存在だと原文筆者は説明しています。
7位のShark Typhoonも、説明するより名前と絵を見たほうが早いタイプのカードです。2020年のIkoria: Lair of Behemothsで初登場したエンチャントで、クリーチャーでない呪文を唱えるたびに飛行を持つサメ・トークンを生成します。イラストには、サメで構成された竜巻が描かれています。
これは、サメと竜巻を組み合わせた映画シリーズSharknadoを、本作のカードとしてそのまま受け入れたようなデザインです。Sharknadoはカード登場時点ですでにポップカルチャー上の現象になっており、サメと竜巻というばかばかしい組み合わせ自体が知られていました。本作はその発想を遠回しに引用するのではなく、カード名をShark Typhoonとし、文字通りサメの嵐をゲームへ持ち込んでいます。原文筆者は、デザイン会議中の冗談のような案を本当にカードにしてしまう姿勢の象徴として、この1枚を挙げています。
元ネタと効果が一体になったカード
5位はSwan Songです。Secret Lair版では、He-Manが4 Non Blondesの楽曲「What's Up?」を歌う映像をもとにした、初期インターネットを代表する奇妙な動画のイメージが使われています。He-Manの映像と楽曲を組み合わせた「HEYYEYAAEYAAAEYAEYAA」という絶叫めいた音声は、意味不明でありながら長くネット上で共有されてきた定番ネタです。
Swan Songは呪文を打ち消すカードですが、その代わりに相手へ2/2の鳥・トークンを与えます。つまり、He-Manが理解不能な声で歌い続ける映像が、呪文を打ち消して鳥を出すというゲーム上の処理に変換されています。カードの効果そのものが元ネタを完全に再現しているわけではないものの、打ち消し呪文と鳥という組み合わせがカード名にもつながり、深いネットミームを知るプレイヤーほど楽しめる仕上がりです。
4位のSuplexは、2025年のFinal Fantasyとのコラボレーションで登場しました。元ネタはFinal Fantasy 6で、Sabinが幽霊列車のボスであるPhantom Trainを持ち上げ、投げ飛ばす場面です。人間が巨大な機関車を投げるという時点で十分に現実離れしていますが、同作では多くのボスがこの技への耐性を持つ一方、Phantom TrainにはSuplexを実際に使えるという奇妙な仕様もあり、この場面はシリーズのファンの間で長く語られてきました。
カードの効果は、クリーチャーに3点のダメージを与え、致死ダメージで死亡するなら追放するか、対象のアーティファクトを直接追放するというものです。アーティファクトには列車も含まれるため、元の場面をカード効果の形で再現しています。単にキャラクターや場面を描き直したのではなく、機関車を投げるという冗談をルールにまで落とし込んだ点が、このカードの面白さです。
ミームとして定着したイラストとカード
3位のSavage Punchは、もともと既存のネットミームを再現する目的で作られたカードではありません。2014年のKhans of Tarkirで登場した緑2マナのソーサリーで、TemurのカンであるSurrak Dragonclawが、巨大な熊を素手で殴る場面が描かれています。クリーチャー同士を格闘させ、より強い側をさらに強化する効果も、イラストの内容には合っています。
しかしプレイヤーの記憶に残ったのは効果よりも、殴られている熊の表情です。熊は舌を出したような、どこか間の抜けた反応を見せており、勇ましいはずの場面が妙に滑稽になっています。原文筆者によれば、Wizards of the CoastのMark Rosewaterも、このイラストがプレイヤーから大きな反響を受けたことに触れています。熊を見た人物が、最も効率的な解決策として拳で殴ることを選んだように見える構図が、カード自体をミームへ変えてしまいました。
2位はSauron, Dino Devoteeです。2026年のMarvel Super Heroesで登場したこのカードは、Spider-Man and the X-Men #2に登場する、Sauronの「癌を治したいのではなく、人々を恐竜にしたい」という趣旨の発言を元にしています。悪役が人々を救うよりも恐竜化を優先するという、あまりにも極端な動機がネット上で知られるようになった場面です。
このカードは、その台詞をイラストで再現するだけではありません。3点のライフを得る、つまり“癌を治す”選択肢と、他のクリーチャーを恐竜に変える選択肢をプレイヤーへ提示します。もちろん、元ネタに沿った恐竜化のほうが遊び心のある選択肢です。冗談の中心をカード名やフレイバーテキストにとどめず、実際の選択肢としてゲームへ組み込んだことで、原文筆者は「マナ・コストを持つミーム」のような完成度だと見ています。
1位に選ばれたのはHorn of Greedです。1999年のMercadian Masquesで初登場したアーティファクトですが、Marvel Super Heroes版のアートでは、Doctor Doomがホルンを吹く、マーベルコミック由来の有名な珍場面が再現されています。周囲から吹かないように言われたDoctor Doomが、それでも堂々とホルンを鳴らすという場面は、後にインターネット上でミーム化しました。
本作でのHorn of Greedは、土地が戦場に出るたび、そのコントローラーがカードを1枚引く効果を持ちます。カード効果自体はDoctor Doomの威厳や場面のばかばかしさとはほとんど関係ありません。それでも、ミームになったコミックの一場面を大会で使用できるカードとして残し、さらに名前をHorn of Greedとしたことで、イラストとカード名の組み合わせが強烈なオチになっています。原文筆者は、単に面白いアートのカードではなく、愚かなコミックの瞬間を本作の公式な歴史へ取り込んだ例として、このカードを10枚の頂点に置いています。