『Humankind 2』のAmplitude Studios、早期アクセスと4X市場の課題を語る
2026年09月02日 | #ゲーム紹介 | GamesRadar+
『Humankind 2』やEndlessシリーズを手がけるAmplitude Studiosが、4Xストラテジーの開発を取り巻く環境について語りました。Early Accessの先駆者としてプレイヤーと作品を作り上げてきた同スタジオは、現在のEarly Accessには当時とは異なる厳しい期待が寄せられていると説明しています。また、Civilization 7の評価をめぐる状況については、競合作品の成功が4Xジャンル全体の利益になるとの考えを示しました。
Humankindのプレイヤー増加と今後の展開
Amplitude StudiosのChief Creative Officer、Romain de Waubert de Genlis氏によると、Humankindでは新規プレイヤーの流入が大きく2度ありました。最初は発売時で、もう1度はCivilization 7の登場直後です。後者では、予想を大きく上回る100万人のプレイヤーが加わったといいます。
Humankindは、数十種類の文化を組み合わせながら人類の歴史全体を形作ることを目指した4Xストラテジーです。文明を固定されたひとつの国家として扱うのではなく、時代ごとに異なる文化を選び、プレイヤー自身の歴史を作る仕組みを特徴としていました。その作品にCivilization 7の発売後、多数のプレイヤーが流れ込んだことは、同ジャンルの大型タイトルの動向が競合作品にも直接影響することを示しています。
同スタジオは現在、最新作Endless Legend 2の開発を終える段階にあり、その後は新たに発表されたHumankind 2へ取り組む予定です。一方で、Amplitude Studiosは、かつて自らも形作ったEarly Accessの変化と、要求の多い4Xファンの期待という2つの課題に向き合うことになります。Endless Legend 2について原文で示されている対応プラットフォームはPCで、発売日は2026年9月17日です。
先駆者だったEarly Accessの現在
Amplitude Studiosは、2012年のEndless Spaceで、アルファ段階の作品をプレイヤーに公開した最初期のスタジオのひとつだったと振り返っています。当時は、完成前の作品をプレイヤーと一緒に作っていくという考え方が、コミュニティにも受け入れられていました。ゲーム内に存在する要素は完成版と同じ品質を目指しつつも、作品全体の半分ほどがまだ不足している状態でも問題視されなかったとのことです。
de Waubert de Genlis氏は、初期のEarly Accessでは「完成したゲームではない」ことをプレイヤーが理解しており、開発に参加すること自体を楽しんでいたと説明しています。そのため、当時は否定的なレビューや悪いフィードバックが寄せられることも少なかったといいます。プレイヤーとの対話を重視するこの手法は、Amplitude Studiosにとって非常に有効でした。
しかし、2015年ごろからEarly Accessが開発者にとって重要な手段として定着すると、参加するプレイヤーの数が増え、作品に対する期待も高まりました。現在のEarly Accessでは、単に未完成の作品を公開するだけでは不十分です。de Waubert de Genlis氏は、現代のEarly Accessについて、完成版に近いゲームを頻繁に更新し、バランス調整や磨き上げにプレイヤーの意見を反映するものになったとしています。
失敗を試すことが難しい理由
現在のEarly Accessで難しいのは、公開後にゲームを完成させたり、問題のある大部分を作り直したりすることではないと同氏は語ります。プレイヤーは公開された要素を完成版の一部として評価するため、気に入らない部分があると、後の改善を待たずに否定的なレビューを投稿する可能性があります。開発側が後から修正しても、そのレビューが変更されるとは限りません。
その結果、Early Access中に新しいアイデアを試したり、大きなリスクを取ったりすることが難しくなります。否定的なレビューが増えすぎれば、Steam上の評価が「非常に好評」とされる水準を下回り、作品の印象や販売にも深刻な影響が出ると同氏は指摘しています。試行錯誤のために公開するはずのEarly Accessが、実際には初期段階から完成品に近い安定性を求められる場になっているという見方です。
これは、開発途中の作品を公開するかどうかという単純な問題ではありません。プレイヤーからの意見を取り入れながら方向性を変えることと、公開時点で大きな不満を生まないことを同時に実現しなければならないためです。Amplitude Studiosにとって、Early Accessは現在もコミュニティとの接点である一方、創造的な挑戦を阻むリスクも抱えた仕組みになっています。
Civilization 7をめぐる4X市場への考え
Civilization 7がSteamで賛否の分かれる評価にとどまっていることは、Amplitude Studiosにとって機会にも見えます。しかし、同スタジオは競合作品の不調を単純に歓迎しているわけではありません。de Waubert de Genlis氏は、4Xジャンルに多くのプレイヤーが訪れるほど、自分たちの作品にもプレイヤーが来るため、Firaxisには成功してもらう必要があると話しています。「素晴らしいゲームが増えれば、私たちも含めて全員が利益を得られます」との考えです。
同氏は、Civilizationが新しいことに挑戦し、従来の仕組みを変えようとする姿勢自体は好意的に見ています。ただし、長年続くシリーズでは、プレイヤーの求めるものがひとつではありません。革新を望む人がいる一方で、既存の仕組みを変えず、修正パッチだけを望む人もいます。しかも、シリーズを30年間遊び続けてきたプレイヤー全員が同じ意見を持っているわけではありません。
この状況を、同氏は「新しいものが欲しいが、何も変えてほしくない」と求められるような難しさとして説明しています。長期シリーズの開発者は、従来作への期待を維持しながら、変化を求める層にも応えなければなりません。Civilization 7をめぐる賛否は、個別の作品の問題だけでなく、長期運営される4Xシリーズが抱える構造的な難しさも浮き彫りにしています。
4Xジャンルにはまだ革新の余地
Amplitude StudiosのGame Director、Benoît Humbert氏は、Civilization 7の成否にかかわらず、4Xジャンルには改善や革新の余地が残されていると語りました。同氏は初代からCivilizationのファンだったため、同作の状況には残念さを感じているものの、シリーズの将来そのものを心配してはいないとのことです。
Humbert氏は、4Xにはまだ取り組むべきことが数多くあり、他作品の問題から学ぶことも重要だとしています。大手シリーズが新しい方向性を試した結果、プレイヤーからどのような反応を受けたのかを見れば、自分たちが何を改善し、どのような挑戦を行うべきかを考える材料になります。
Amplitude Studiosは、競合作品の失敗を利用するのではなく、ジャンル全体が成長することを重視しています。そのうえで、Early Accessの運用やコミュニティとの関係を見直しながら、Endless Legend 2とHumankind 2で4Xの新たな可能性を探ることになります。