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『PlayStation』デジタルゲーム市場の独占をめぐりソニーに785万ドル規模の訴訟

2026年09月02日 | #その他 | Polygon

『PlayStation』デジタルゲーム市場の独占をめぐりソニーに785万ドル規模の訴訟

ソニーがPlayStation向けデジタルゲームの販売を独占し、価格競争を妨げたとして訴えられています。米国の裁判所は、対象となる購入者への総額785万ドルの和解案を暫定承認しており、最終的に認められれば、条件を満たす米国のユーザーにはPSNアカウントを通じて補償金が支払われる見込みです。物理ディスクからデジタル販売へ移行するソニーの方針とも関わる訴訟として、今後の判断が注目されます。

訴訟の対象となる購入者

この訴訟は、2024年に3人のPlayStationユーザーが、自分たちと同じ立場にある購入者を代表して米国で起こしたものです。対象期間は2019年4月1日から2023年12月31日までで、この期間にPlayStation Storeからデジタルゲームを購入したユーザーが関係します。

ただし、すべてのデジタルゲーム購入が補償の対象になるわけではありません。小売店で販売されていたGame Specific Vouchers、つまりゲームごとのデジタルダウンロードコードが過去に存在していたタイトルを購入したユーザーが、対象となる可能性があります。訴訟では、ソニーの行為によって小売店を通じた購入手段が失われ、結果としてユーザーがPlayStation Storeで直接購入せざるを得なくなったと主張されています。

原告側は、ソニーが「PlayStationのデジタルゲーム市場を独占する目的で、反競争的な行為を行った」として、連邦反トラスト法および州法に違反したと訴えています。現時点ではソニーに違法行為があったと最終判断されたわけではなく、裁判所が審理を続けている段階です。

小売店からダウンロードコードを排除

訴訟で大きな争点となっているのが、2019年4月1日に導入された方針です。この方針により、小売店はPlayStation用のデジタルゲームのダウンロードコードを販売できなくなりました。それ以前は、販売店が独自に価格を設定したり、値引きしたりする余地がありましたが、コード販売の終了によって、ユーザーが購入できる主要な窓口はPlayStation Storeに限られることになりました。

原告側は、この変更がデジタルコンテンツの価格競争を実質的に消滅させたと問題視しています。パッケージ版であれば、複数の販売店や中古市場を比較して購入できますが、PlayStation Storeでしか扱えないデジタル版には同じような競争が働きません。ソニーが販売価格を自由に決められる状況になったことで、ユーザーがより安い購入先を選ぶ機会を奪われたというのが、訴えの中心的な主張です。

ソニーが価格を決める契約条項

訴状では、ソニーと開発会社・パブリッシャーの間で結ばれるPlayStation Global Developer and Publisher Agreementの内容も取り上げられています。契約の「Digitally Delivered Products」に含まれる小売価格の条項では、各地域を担当するソニー側の会社が、PSNで販売または購入可能にするデジタル商品の小売価格を単独で決定できると定められています。

この条項では、ソニー側がパブリッシャーに通知せず、デジタル商品の価格をいつでも変更できるとされています。パブリッシャーは希望小売価格を提案できますが、ソニーの価格設定に介入することはできません。ソニーは、合理的な通知を行ったうえで別の流通モデルを採用する権利も保持しています。

原告側は、小売店によるデジタルコード販売を禁止した方針と、ソニーが価格決定権を持つ契約条項が組み合わさることで、競合する販売経路がなくなったと説明しています。つまり、ソニーが販売場所だけでなく価格にも強い影響力を持つ構造が、デジタルゲーム市場の独占につながったという見方です。

和解案と今後の手続き

裁判所が暫定承認した和解案では、訴訟の対象となるユーザーに対し、手数料やその他の法的費用を差し引いた785万ドルが分配されます。和解が最終承認されれば、対象条件を満たす米国在住の購入者には、補償金がPSNアカウントへ自動的に支払われる予定です。個別の申請をしなくても受け取れる仕組みとされていますが、最終的な支払いは裁判所の判断に左右されます。

最終判断に向けた公正性審理は2026年10月15日に予定されています。この審理で和解案が承認されるかどうかが決まり、承認されなければ支払いは行われません。裁判資料はPSN Digital Games Settlementのウェブサイトで確認できるとされています。

この問題が注目される背景には、ソニーが物理ディスクを縮小し、デジタル販売を重視する将来像があります。ソニーは、ディスク生産を終了しても事業への影響はないと説明しており、ゲーム販売の大部分がデジタルであることを示してきました。一方で、物理メディアがなくなれば、店舗ごとの価格差や中古市場を利用できなくなるため、購入費用が高くなることを懸念するユーザーもいます。

ソニーは、合理的な消費者であればデジタルメディアを所有しているのではなく、同社が設定した価格で利用する権利を得ているだけだと理解している、という趣旨の立場も示しています。こうしたデジタル商品の扱いをめぐる説明は、すでに強まっているユーザーの不満にさらに火を注ぐ可能性があります。