『Tomb Raider: Legacy of Atlantis』リメイク版、追加要素が古びた印象を強める
2026年09月02日 | #レビュー | Eurogamer
『Tomb Raider: Legacy of Atlantis』は、初代の舞台や雰囲気を受け継ぎながら、単なるグラフィック刷新にとどまらないリメイクを目指しています。しかし、Gamescomで公開されたプレイ映像では、クラフトやスキャナー、スキルツリー、QTEといった新要素が、クラシックな冒険の魅力を補強するどころか、発売前から本作を古びた印象に見せていると原文筆者は指摘しています。ゲームは来年初頭の登場を予定しています。
初代の魅力を残したギリシャ編
今回の映像は、Flying Wild Hog Gamesが手がけ、AmazonのもとでCrystal Dynamicsが監修するリメイク版の“ファーストルック”として紹介されたものです。原文筆者が確認したのは操作体験ではなく、Crystal DynamicsのエクスペリエンスディレクターであるJeff Adams氏が解説するアルファ版のプレイ映像でした。舞台は初代のゲーム中盤手前に登場したギリシャのエリアで、聖フランシスの愚行(St. Francis' Folly)の地下にある「ダモクレスの部屋」の剣パズルが中心に取り上げられています。
巨大な縦長の空間には、崩れかけた中央の柱と、周囲の異なる階層に設けられた複数の扉が配置されています。プレイヤーは柱や残された足場を利用して4つの部屋へ進み、それぞれから鍵を持ち帰って先へ進みます。本作では鍵が宝石に置き換えられているものの、複数の部屋を攻略して必要なアイテムを集めるという基本構造は維持されています。
光の差し込む古代遺跡や、石造りの建物を覆う植物、色鮮やかな花々など、ビジュアル面は初代の舞台が持っていた神秘性を現代的に表現しています。新たなララ・クロフト役を務めるAlix Wilton Regan氏の演技も、軽妙なやり取りを交えた快活なキャラクター性を打ち出しているとのことです。原文筆者は、Crystal Dynamicsのリブート3部作に見られた重苦しいトーンから、過去作らしい雰囲気へ戻そうとしている点を評価しています。
探索を広げる新要素と、その違和感
Jeff Adams氏によれば、開発チームの狙いは、過去作のロケーションが特別だった理由を残しながら、新しい驚きや発見を加えることです。初めて遊ぶ人には畏敬や驚きを、過去作のファンには新鮮な再体験を届けることを目指しているとしています。たとえば、従来のコウモリの敵は、厚みのある群れとして描かれ、より予測しにくい動きで襲いかかるよう変更されています。
一方で、リブート作品を思わせるRPG的な進行システムも導入されています。スキルツリーやクラフトが存在し、ララは環境中にある物資を拾って、能力を強化する食べ物などを作成できます。映像では、デモプレイヤーが料理のレシピ一覧を開き、大皿いっぱいのシチューや大きな鍋のベイクドビーンズを選択すると、ララが何もない空間から料理を作り出していました。原文筆者は、古代遺跡を探索する場面にこうした要素が割り込むことで、冒険への没入感が損なわれていると見ています。
もう1つの新機能が、周囲を分析するスキャナーです。ララが扉や仕掛けを調べると、進行に役立つ情報を画面上で確認できます。映像では、4つのスロットを備えた開閉機構のそばにある扉をスキャンし、「扉は閉じたままで、開閉機構には4つのスロットがある」と説明していました。経験豊富なトレジャーハンターであるララに、あまりにも基本的な状況説明をさせる仕組みであり、原文筆者はこの演出を不自然で洗練されていないものと批判しています。
Adams氏は、スキャナーは使用しなくてもよいオプション機能だと説明しています。自分で手がかりを見つけたいプレイヤーは、ヒントを避けて冒険できるとのことです。ただし、スキャナーには遺跡や世界の歴史を読み取る機能も用意されています。ララの知識や経験を考えると、携帯型のChatGPTのような装置に歴史を教えてもらう必要があるのかという疑問も残り、原文筆者はこの機能も世界観への没入を崩す要素として挙げています。
戦闘と移動には改善も
本作の新要素がすべて否定的に受け止められているわけではありません。ダモクレスの鍵を探す途中で登場するヒョウとの戦闘では、敵が身を隠してから奇襲を仕掛ける動きが確認されています。原文筆者は、ただ銃を撃ちながら回転するだけではない、より厚みのある戦闘になる可能性を指摘しています。
グラップリングフックにも用途が追加されました。遠くにあるレバーをつかんだり、特定のグラップルポイントから上下に移動したり、壁面に引っかけて大きな隙間を飛び越えたりできます。探索中に地形を利用する場面が増え、縦方向に広がる遺跡との相性はよさそうです。
さらに、集めたアーティファクトによって衣装をアンロックできる仕組みも登場します。衣装の収集はTomb Raiderシリーズのコミュニティに好まれている要素であり、探索の報酬として機能するものと見られます。デモの終盤では、ララが暗いトンネルを抜けた先で、巨大な地下洞窟の壁面に築かれた古代都市を見渡す場面も披露されました。建物群は深い緑の植物に覆われ、周囲には巨大な滝が流れています。Adams氏は、古代ギリシャ文化の美しさを保ちながら、広大な地下の自然環境と融合させた場所だと説明しています。
ダモクレスの部屋に加わった仕掛け
リメイク版のダモクレスの部屋では、巨大な剣を落下させるだけでなく、その剣の上に乗って空間を移動できるようになっています。剣を足場として利用することで、従来とは異なるルートを進めます。危険を避けたい場合は、剣を銃で撃って外すことも可能ですが、そのためにはスキルツリーから「Dead-eye」スキルを解除し、射程を伸ばしておく必要があります。
鍵を仕掛けの台座から回収する場面では、落下する剣を避けるため、3回連続でQTEを入力する場面もありました。原文筆者は、グラップリングフックや敵の行動変化には期待できる部分がある一方、クラフト、スキャナー、スキルによる進行、QTEが同時に追加されたことで、全体の設計が不格好になっていると評しています。
初代のリマスター版とCrystal Dynamicsによる2007年のリメイク版Tomb Raider: Anniversaryは、異なる形でオリジナルの魅力を楽しめる作品でした。そのため原文筆者は、シリーズの復活作がかつての複雑な探索と快活な冒険のリズムを取り戻すことを望んでいます。しかし、今回の映像だけを見る限り、見慣れたアクション部分は楽しめそうでも、その周囲に追加された仕組みが本来のララ・クロフトの冒険にそぐわないとしています。発売前の段階で、これらの要素に納得できるだけの説得力を示せるかが注目されます。