『Marvel's Wolverine』のアニメ風スーツが重い物語の雰囲気を壊す
『Marvel's Wolverine』で用意されたアニメ風コスチュームが、作品の重く陰惨な物語と合っていないとして注目を集めています。対象となるのはMarvel Tokon: Fighting SoulsスーツとAnimatedスーツで、どちらも見た目自体は印象的ですが、血なまぐさい復讐劇の中では場違いに映るという指摘です。原文筆者は、スパイダーマン作品では機能していたコミカルな衣装が、本作では深刻な場面を台無しにしてしまうと評しています。
明るすぎる2種類のコスチューム
本作はInsomniac Gamesが手がけるAAAタイトルで、PS5向けに9月15日に発売されました。過去3作のスパイダーマン作品よりもはるかに暗いトーンが特徴で、約20時間にわたってジェームズ・ローガン・ハウレットが長い爪を敵の肉体に突き立て、周囲を血で染めながら戦います。ニューヨークを舞台にしたオープンワールド作品ではなく、ミッションを順番に進める直線的な構成を採用し、ローガンの内面や過去に焦点を当てています。
Marvel Tokon: Fighting SoulsスーツとAnimatedスーツは、ローガンをセルシェーディング風に描く、非常に明るく大胆なデザインです。通常の衣装から大きく離れた見た目は、単体で見れば魅力的で、コミック調のファンにとっては楽しめる内容でしょう。しかし、毛の一本一本まで表現する写実的な描画や、血液が飛び散る戦闘演出と並べると、その色合いと質感の違いが際立ちます。
ローガンの葛藤と衣装がかみ合わない理由
物語の中心にあるのは、ローガンが自分の中に潜む悪魔と向き合い、冷酷な殺人機械へ戻ってしまう衝動を抑えようとする葛藤です。彼は長く忘れていた過去を知り、その過去へ戻ることを望んでいません。したがって、深刻な選択や悲劇が描かれる場面に、漫画のような明るい衣装が入り込むと、物語への没入感が大きく損なわれると原文筆者は説明しています。
具体例として挙げられているのが、ジーン・グレイとの関係です。ジーンはローガンの恋愛相手として描かれますが、2人が東京の路上で衝突する場面の直前にMarvel Tokon: Fighting Soulsスーツを解放できます。原文筆者は興味からすぐにその衣装を作成して装備したところ、重々しい照明の下でローガンの姿があまりにも滑稽に見え、感情的な場面から引き離されたとしています。
悲劇的な場面で際立つ違和感
さらに、悪夢の中でローガンがジーンを刺しかける場面や、親友であり同じミュータントでもあるウォルター・ランコウスキー、通称サスカッチを殺さざるを得なくなる場面もあります。こうしたシーンでアニメ風スーツを着ていると、キャラクターの苦悩や悲劇よりも衣装の奇抜さが先に目に入りかねません。ローガンが怒りを抑えきれず、画面いっぱいに血が飛び散る通常のゲームプレイでも同様で、凄惨な描写とポップな外見が同時に存在することが作品の雰囲気と衝突します。
任意要素だからこそ評価が分かれる
これらの衣装は完全な任意要素で、解放された時点で作成する必要はありません。装備せずに進めることはもちろん、そもそも作成しない選択も可能です。ゲームにあえてコミカルな息抜きを用意するのは良い判断だ、という見方もできます。
一方で原文筆者は、スパイダーマン作品では同種のコミック風スーツがキャラクターや物語の軽快さに適合していたのに対し、本作では「ばかげて見える」と厳しく批判しています。本作は発売前後から、クイックタイムイベントや次に進む方向を示す視覚的な案内が多く、プレイヤー自身に行動を考えさせないとしてレビューやSNSで批判も受けていました。そうした作品の設計に加えて、物語の緊張感を損なう衣装の存在も、原文では問題点のひとつとして取り上げられています。