『Gears of War: E-Day』レビュー、移動の自由度が増した銃撃戦がキャンペーンの楽しさを引き上げます
2026年10月01日 | #レビュー | VGC (review)
『Gears of War: E-Day』のキャンペーンは、手応えのある銃撃戦と迫力ある映像を存分に楽しめる作品です。ジャンプやスライディングによって従来の戦闘がより軽快になり、最後まで敵を倒す快感が続きます。一方、期待されたマーカスとドムの関係描写は物足りず、戦闘や舞台の繰り返しも目立ちます。アクションの充実ぶりに対し、物語には不満が残る仕上がりです。
原点の戦闘に戻った前日譚
Gears of Warシリーズは、新しい試みよりも、確立された持ち味を磨くことで力を発揮してきました。シリーズに明確な駄作はなかったものの、定番の構成から離れた部分では評価が分かれることもありました。
その代表例がGears 5のオープンワールド区間です。風力で動くそりのような乗り物「スキフ」で広い土地を進む構成は、気分転換として歓迎された一方、内容が乏しく、シリーズらしい直線的な戦闘の流れを妨げるとも受け取られました。
開発元のThe Coalitionは、今回のキャンペーンで基本に立ち返っています。探索できる区間は残っていますが、Gears 5ほど大きく構成を変えるものではなく、大部分ではファンが期待する従来のアクションを楽しめます。
舞台は初代の14年前です。地下からローカストが初めて襲来した「エマージェンス・デイ」を描き、ペンデュラム戦争が終わって除隊し、帰還したばかりのマーカスとドムが、新たな脅威に立ち向かいます。
マーカスとドムの関係は期待ほど掘り下げられません
物語の重要な背景となるのが、ドムの兄であり、マーカスの親友でもあるカルロスの死です。過去作でも明かされていた出来事ですが、今回は戦争終結時の死から間もなく、2人はまだ喪失を受け止めきれていません。
Xboxは事前に、カルロスの死によって心の距離ができた2人が、ローカストの襲来を受けて再び手を組むことになると示唆していました。原文筆者も先月の試遊では、同じ人物を失った悲しみに結ばれながら、その悲しみに隔てられた2人が、後の作品で見られる絆を築く物語になると期待していました。
しかし、実際のキャンペーンでは、その関係が十分に掘り下げられません。2人は大半の時間を、自分の気持ちを話すことを避けながら過ごします。人物の振る舞いとしては理解できても、長年のファンが望むような、2人のやり取りをじっくり描く内容にはなっていません。
人物描写の中心になるのは、4人編成のブラボーチームに加わる新キャラクターです。COGの新人候補生Lucas Reyesと、15年の軍歴を持つMags Carterは、最初の襲撃時に近くにいたことからマーカスたちと行動を共にします。不名誉除隊となったMagsも、襲撃を受けて、ためらいながら再び銃を取り、務めを果たそうとします。
この2人の背景は興味深く、それぞれの過去が訪れる場所にもつながっています。その分、マーカスとドムの描写の薄さが際立ちます。
物語は、本作で最も弱い部分です。シリーズの重大な出来事を題材にしているだけに、失望も大きくなります。前半の多くは正体不明の敵への戸惑いに費やされ、その後もアクション映画で見慣れた展開が続きます。NPCが「家族に愛していると伝えてくれ」と口にする場面では、原文筆者も首を振ったといいます。
終盤には、マーカスとドムの関係にようやく感情的な見返りを与える場面があります。カルロスについての場面ではありませんが、シリーズ全体でも屈指の心を揺さぶる瞬間です。ただし、約10時間にわたって勇ましく戦う姿を見せてきた後で、2人が本心を明かす時間はわずか45秒ほどです。強く響く場面だからこそ、そこまでの描写が乏しいことが惜しまれます。
動きやすさが増し、撃ち合いはさらに爽快に
10〜15時間のアクション映画のような作品と考えれば、定番の演出が多いことにも納得はできます。そして、巨大な怪物に大量の弾丸を撃ち込む体験については、本作はしっかり成功しています。
過去作のカバーを使った銃撃戦を受け継ぎつつ、今回は好きなタイミングでジャンプできます。段差に登ったり、隙間を飛び越えたりでき、一部の戦闘では高低差を使った動きも広がっています。走りながら床を滑るスライディングや、伏せて低い遮蔽物に身を隠す動作も加わりました。
ほかのアクションゲーム、特にFPSでは以前から見られる機能なので、ゲーム全体の歴史に新風を吹き込むものではありません。それでも、Gearsの戦闘への効果は大きく、撃ち合いながら位置を変える動作が格段に躍動的になっています。従来のような、大きなトラックを動かしているかのような重さが和らぎました。
プレイの約90%を占める射撃そのものも、非常に満足度が高いです。Prototype Lancerで突進してくるローカストの脚を撃ち抜く感触は痛快で、Longshotで戦場の向こうにいる敵の頭を撃ち抜く楽しさは、第1幕の序盤から第5幕の終盤まで衰えません。
敵の種類も十分にあります。おなじみの敵に加え、口にフラググレネードを投げ込めば素早く倒せるBilefrogや、Gorehookという武器で遠くからプレイヤーの体を貫く巨大なFlayerが登場します。相手ごとに有効な倒し方が異なるため、複数の敵が混ざる大規模な戦闘では、機関銃、チェーンソー、手榴弾を使い分ける、血みどろで鮮やかな攻防が生まれます。
楽しい戦闘でも、繰り返しは隠せません
敵を倒す快感は、エンドロール直前の最後の一撃まで続きます。しかし、戦闘に楽しさが集中しているため、途中で単調に感じる区間があることも否定できません。遮蔽物が並ぶ広場で戦い、次の広場へ進んでまた戦う、という流れが続く場面があります。
特に気になるのが、大きな橋の区間です。キャンペーン中に3回訪れ、そのたびに制御室へ向かい、橋を上げるか下げるかする展開になります。3回目ともなると、同じ場所と仕掛けを再利用して、キャンペーンの長さを引き延ばしているのではないかという疑念が生まれます。
こうした一本道の連続を和らげるため、一部の章では街の一画を自由に探索する構成を採用しています。マップを開いて気になる地点を探せるほか、本筋の目的地を示すマーカーとは別に、サイドクエストも点在します。
サイドクエストの多くは、敵の群れから市民を守る内容です。大きく異なる遊びではありませんが、進行に多少の変化を与えています。
探索を促す強化アイテムと、親切な案内
探索できる章にも一本道の章にも、世界設定を補う収集物や、防具・武器の強化アイテムが入ったケースが配置されています。特に強化アイテムは、周囲を調べる動機になります。
一方で、その場所への案内はかなり手厚いです。設定資料などの収集物に近づくと音が鳴り、マップがある章では位置も表示されます。強化アイテムのケースでは、近くにあることを知らせる文章が画面に出て、LBを長押しすると壁越しでも輪郭が見え、正確な場所が分かります。
ここまで教えるのは行き過ぎだと感じる人もいるでしょう。ただ、実績やトロフィーのために20年以上、ゲーム内の風景を隅々まで調べてきた原文筆者は、この仕組みを大いに歓迎しています。
色彩豊かな景観がアクションを引き立てます
美術面も特筆すべき出来です。初代Gears of Warは、Xbox 360やPS3の時代に「最近のゲームはどれも灰色だ」といわれた際、その代表として挙げられた作品の1つでした。今回も破壊された街が主な舞台なので、彩度を抑えたがれきの中で戦う時間は多くあります。
しかし、街を離れると、The Coalitionの色彩表現が際立ちます。不気味で美しい赤い光に包まれた地下、青い月明かりが照らす夜の森、豊かな緑に囲まれた丘の上の無線局へ向かう道など、印象的な景観が続きます。PCの最高設定で見栄えが優れているのはもちろん、Xbox Series Xでも十分に美しい映像を見せています。
キャンペーン全体としては、絶え間ないアクション、手応えのある射撃、目を奪う映像によって、ファンが期待する遊びを届けています。操作して楽しむアクション映画としては、見事な出来です。
ただし、そのアクションへの集中が、物語の薄さや戦闘の反復にもつながっています。マーカスとドムの関係を深く描く物語を期待すると、終盤の短い名場面だけでは物足りません。同じ場所を再訪する構成も、いくら戦闘が楽しくても単調さを感じさせます。
それでも、本作にはプレイする価値があります。シリーズらしい銃撃戦を楽しみたい人にとって、動きの自由度が増した戦闘と迫力ある景観は強い魅力です。感情の描写には不足が残りますが、激しいアクションの充実ぶりは、それを上回る楽しさを生んでいます。