← 最新記事一覧

『Gears of War: E-Day』開発者が語る、今このタイミングでマーカスとドムの物語に戻った理由

2026年11月01日 | #ゲーム紹介 | DualShockers

『Gears of War: E-Day』開発者が語る、今このタイミングでマーカスとドムの物語に戻った理由

『Gears of War: E-Day』は、シリーズ20周年の節目に登場した最新作です。2026年10月6日にThe Coalitionが開発し、Xbox Game Studiosが発売しました。本記事では、Raul Figueroa氏とVee Nyarko氏へのインタビューをもとに、若き日のマーカスとドムを描いた狙い、敵AIの難度設計、続編ではなく前日譚を選んだ理由を紹介します。

発売後の反応と開発チームの受け止め

本作は多額の開発費をめぐる噂もあり、発売前から注目を集めていました。発売後の評価は高く、Metacriticのスコアはゲームの歴史でいえばXbox 360時代のシリーズ最高水準に並んでいます。一方で、大量の低評価投稿(レビュー爆撃)も受けました。

Figueroa氏は、反応について「素晴らしい旅だった」と振り返ります。好きな要素について意見が分かれ、ベストなロードアウトや敵をめぐって議論が起きていることも、何か引っかかる魅力を作れた証拠として歓迎しているそうです。クリア後に何度も遊び直すプレイヤーが多いことも、データから分かったといいます。

Nyarko氏は、イースターエッグが予想以上に早く見つかっている一方、簡単に見つかると考えていたものが見つかっていない例もあると話します。配信で一度話題に出ただけで、「それではない」と受け取られてしまうケースもあるそうです。

敵を「初めて見る怪物」として描くAI設計

プレイヤーから敵AIが手強いという声があることについて、Figueroa氏は、過去作をやり込んだプレイヤーの慣れを崩す狙いがあったと説明します。シリーズでは、自軍の前線と敵の前線があり、側面を取れて、敵の出てくる方向や攻め方も分かるという完成された型ができていました。

そこで本作では、高低差や遮蔽物の高さのバリエーションを増やし、AIも積極的に攻めてくるようにしました。マーカスとドムが出会ったことのない、人類を殺しにきた新たな怪物に見せるためです。以前のように簡単に倒せてしまっては意味がないため、武器や腕前が上達して「ようやく全員を倒せるようになった」と感じられるまでを、きちんと積み上げる設計にしたといいます。

物語面でも同じです。Nyarko氏は、1作目のマーカスとドムは、ローカストに覆われた世界に慣れた約14年後の姿だと指摘します。E-Dayは、足元の地面が裂けて未知の怪物が現れる世界規模の侵略です。そのため、始まりから終わりまで緊張が途切れないようにしたそうです。「E-Dayで死んだ者は幸運だった」という過去作の言い伝えが何を意味するのかを描く狙いもありました。

すでに一度戦争を経験した、若きマーカスとドム

2人は、ペンデュラム戦争やレベラー作戦を終えたばかりで、E-Dayまでの6週間だけ平穏を過ごしていました。Nyarko氏によると、この時点でもマーカスはすでに歴戦の兵士で、自ら志願して従軍しています。2人はCOGや第26RTIで若者として育った兵士でもあります。そのため、若く学ぶべきことがある一方で、兵士としての硬さも感じさせる必要があったといいます。

幼い頃からの友人である2人にとって、本作は友情の始まりではなく、「兄弟」としての絆の始まりを描く物語です。3人組のもう1人だったカルロスがいない世界で、2人が初めて過ごす日々が舞台になります。プロローグでは、マーカスがドムとうまく話せず、ドムが気持ちを引き出そうとします。ゲームを通じて、こうした2人の関係性を掘り下げていきます。

Figueroa氏は、ミッション設計の面でも、ドムが本音を語る場面や、マーカスがカルロスを失った思いを打ち明ける場面を用意したと述べています。2人を分断するミッションを作り、それぞれが胸の内を口にできるようにしたそうです。ストーリーとレベル設計は互いに影響し合って作られました。

Nyarko氏は、カルロスの最期と、彼がマーカスに託した言葉が、マーカスがドムを守ろうとする動機になると説明します。分岐した道で最期の状況を知ると、「人類を救うため」だけの戦いではなくなります。「お前が兄弟だから救う」という個人的な戦いに変わるのです。2人が互いに本音を言えるようになるまでの過程を、しっかり描く必要があったといいます。

続編ではなく前日譚を選んだ理由

『Gears of War 5』は大きな引きで終わっていましたが、続編となる6作目ではなくE-Dayを選んだ理由について、Figueroa氏は当時の状況の変化を挙げます。5作目の完成後には、パンデミックが起き、Unreal Engine 5も登場していました。新技術を生かすために一度立ち止まろうと考えたそうです。

また、物語が長くなり続編も多いため、新規のファンが入りにくい点も課題でした。マーカスやドムの名前は知っていても遊んだことがない人にとって、ローカスト戦争の起点を描くE-Dayは参加しやすい題材だといいます。「情熱の向かう先へ進んだ」と同氏は語っています。

Nyarko氏は、シリーズ全体がEmergence Dayを軸にしているにもかかわらず、1作目から5作目やJudgmentのような形でその物語を見せたことはなかったと話します。頭の中で思い描いた通りに映像で物語を語ることを、Unreal Engine 5で初めて実現できたそうです。

新キャラクターが果たす役割

本作では、LucasやMaxといった新しい仲間も登場します。Figueroa氏は、協力プレイで操作することになるため、脇役ではなく物語上の弧と役割を持つ「完全なキャラクター」として作ったと説明します。新兵のLucasと退役兵のMaxはどちらも街の出身で、カルロスの追悼式のために訪れただけのマーカスとドムには分からない、Kalonaの街の背景を伝える存在でもあります。

Nyarko氏によると、2人はマーカスとドムを映す鏡のような役割も持っています。ドムはカルロスの最期を詳しく知らず、マーカスだけが見た出来事があります。2人はE-Dayの最初の数日間、そのことを語り合えません。そんな中でマーカスは、戦争で人を失う代償を知る退役兵のMaxには心を開くことができます。一方、初めて前線に立つ新兵に対しては、軍曹が打ち明ける話ではないため、同じようにはできません。こうしたやり取りが2人の関係に深みを与え、過去作の設定に詳しくないプレイヤーにも背景を伝えてくれます。

20年を振り返って

20周年を振り返り、Figueroa氏は、シリーズを「銃とチェーンソーを持つ屈強な男たちの作品」と見ていた人が、キャラクターや世界観、物語の奥深さに気づく瞬間が印象的だと語ります。「Gearsがこんな作品だとは知らなかった」と言われることがあるそうです。

Nyarko氏は、分隊の顔ぶれの違いや、彼らの会話の積み重ねがシリーズの特別な点だと言います。お気に入りの場面に挙げたのは『Gears of War 2』の、ネクサスへ向かう途中でローカスト・ハイウェイを見て道が分かれるシーンです。ドムはマリアを探しに行くと言い、マーカスは命令を守ってネクサスへ向かうべきだと主張します。それまでドムは常にマーカスを支えてきましたが、ここでマーカスはドムと共に行く選択をします。Nyarko氏は、このときマーカスがドムの兄弟であることを選んだと語りました。

今後も描き続けたいのは、一人で戦わない物語だそうです。「Never Fight Alone」は20年にわたり、シリーズの中心にある考え方でした。Nyarko氏は、子どもの頃に兄弟と地下室で遊んだ思い出にも触れ、誰かの背中を守ることの意味を語る物語をさらに作っていきたいと話しています。