← 最新記事一覧

『Forever Ago』は感傷的で先の読める物語ながら、人生の寄り道を肯定する思いが心に残ります

2026年10月07日 | #レビュー | Polygon

『Forever Ago』は感傷的で先の読める物語ながら、人生の寄り道を肯定する思いが心に残ります

『Forever Ago』は、喪失と記憶を描く物語のありきたりさや、感動を強く促す演出が気になるナラティブアドベンチャーです。ゲームとしての仕組みにも掘り下げが足りません。それでも、予定どおりに進まなかった人生の中に喜びを見いだすという誠実なメッセージは、結末が読めても心に届きます。今回のレビューでは、Annapurna Interactiveから提供された発売前のダウンロードコードを使い、Steam Deckでプレイしています。

喪失を抱えた旅は、序盤から行き先が見えます

Annapurna Interactiveが販売する本作は、開発元Third Shiftにとって、長く発売を待たれていたデビュー作です。主人公は、年老いた気難しい男性のAlfred。悲しみを抱えて旅する彼の現在と、道中に挟まれる回想を通して、思いがけない出来事に何度も進路を変えられてきた人生が描かれます。

物語は、カメラ越しの光景から始まります。若いAlfredと恋人のAudreyは、一緒にハイキングへ出かけ、互いの写真を撮っています。そうした思い出を収める写真アルバムも、デジタル化が進んだ今ではすっかり見かけなくなりました。

そこから数十年後、白髪になったAlfredは、同乗者のいないキャンピングカーを運転しています。この時点でも事情は察せますが、立ち寄ったコンビニで、身近な人を失った悲しみに関する案内が掲示されているのを見れば、物語の方向はほぼ明らかです。Third Shiftが彼の旅に謎を持たせたかったのかは定かではありませんが、その後の展開に驚くプレイヤーは少なそうです。

本作は、心を揺さぶる物語を数多く送り出してきたAnnapurnaの作品群に、少し収まりがよすぎます。懐かしさを前面に押し出した感動ドラマのような作風で、よくある喪失の物語を一段引き上げるほどの工夫は見当たりません。

写真と旅の道具を、もっと生かしてほしかった

AlfredはAudreyとのかつてのデートスポットを巡り、思い出を再現しようとしています。プレイヤーが行うのは、丁寧に作られたいくつかの場所を歩き、任意で写真を撮って日誌に収め、散らばった花びらを見つけて時折記憶を再構成することが中心です。

多少の謎解きはあるものの、基本的にはMixtapeと同じように、映画的な物語を体験させる作りです。約3時間というまとまった長さを考えれば、この構成自体に大きな問題はありません。ただ、Alfredのカメラやキャンピングカーを、物語の意味を深める遊びへとつなげられていないのは残念です。旅と記憶に密接に関わる道具なのに、その可能性を十分に引き出せていません。

世代の衝突を描く場面は、古くて浅い笑いに終わります

本作は、悲しみからの回復や自分自身の再発見を描く一方で、テーマの扱いには当たり外れがあります。特に弱いのが、Alfredに昔のよさを語らせる場面です。そこでの彼は、若い人が想像した老人のように見えてしまいます。

最初に立ち寄るコンビニでは、若い店員と衝突します。店員は鼻につく調子で自分がヴィーガンだと宣言し、「ハッシュタグ、車中泊生活!」といったせりふを口にします。こうしたやり取りは、本作が最初に発表されたのが2020年だったことを、気まずい形で思い出させます。

かつて趣のあったダイナーが、無機質なチェーン店に変わっている場面もあります。Alfredは、お気に入りの席を利用するには専用席の特典が付く会員登録が必要だと告げられ、ウェイトレスと言い争います。しかし、その話は深い考察につながらず、1980年代の暮らしがどれほどよかったかを懐かしむ口実にとどまります。

現代社会への批評を狙っているのでしょうが、実際にはうんざりする場面もあります。Alfredはやがて自撮りを知るなど、変化した世界の一部を受け入れます。それでも、こうした安易な笑いは、彼を単に文句ばかり言う平板な人物にしてしまっています。

偶然が生む出会いには、確かな温かさがあります

より心を引かれるのは、Alfredの人生を形作ってきた偶然を描く場面です。突然の嵐が大切な瞬間を台無しにしたかと思えば、もっと忘れがたい思い出を生みます。野良犬との遭遇は長く続く絆になり、車の故障は、傷ついた心を癒やすために必要な場所へと彼を導きます。

こうした優しいエピソードには、人生の予測できなさを呪うのではなく、受け入れる価値があると感じさせる説得力があります。旅先の見知らぬ人々と関わるAlfredにも共感できます。彼は古い写真の中だけに生きるのではなく、新しい思い出を見つけていきます。

一方で、本作は、偶然がいつも人に優しいわけではないことも描きます。何かが起きる理由があったとしても、それが本人に都合のよい理由とは限りません。ただ、その側面を描くとき、物語は涙を誘おうとしすぎる大げさなドラマへ傾きます。

静かに伝えられるはずの細部まで強調し、慰めの言葉も飾って掲げるように差し出すため、繊細さには欠けます。感傷的な表現が苦手な人の心を動かすには、本作の力は足りないかもしれません。

気恥ずかしいほど誠実な言葉が、最後には残ります

結末は早くから見え、感傷的な見せ方にも全体として煩わしさがあります。それでも本作は、肝心なところでわずかながら心を動かします。

その感触は、「人生とは、別の計画を立てている間に起きることだ」という、使い古された言葉に触れるときに似ています。1957年のReader’s Digestに由来し、後にJohn Lennonが広めたこの言葉は、あまりに繰り返されて陳腐になりました。それでも、そこにある真実は否定しにくいものです。

Alfredを通して本作が伝えようとする思いにも、同じことが言えます。気恥ずかしいほど素直ですが、計画が崩れたことばかりに気を取られると、その代わりに巡り合えた素晴らしい寄り道を見落としてしまう、というメッセージは簡単には切り捨てられません。孤独な旅の痛みと悲しみの中にあるのは、自分の人生がずっと豊かだったと初めて気づく男性の、希望を感じさせる物語です。

『Forever Ago』は10月8日にSwitch 2、PS5、Windows PC、Xbox Series X向けに発売されます。