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『Over the Hill』レビュー:時間制限も競争もないオフロード探索が心をほぐします

2026年10月15日 | #レビュー | Polygon

『Over the Hill』レビュー:時間制限も競争もないオフロード探索が心をほぐします

『Over the Hill』は、荒野を4WDで走りながら、ゆっくりと心を落ち着かせられるオフロードドライブゲームです。最大の魅力は、時間制限や競争、余分な要素を持ち込まず、目の前の風景と探索に集中させてくれること。険しい道に苦戦する場面もありますが、その難しさも含めて、2026年を代表するくつろぎの1本と呼びたくなる作品です。今回は、開発元のFunselektorから提供された発売前のダウンロードコードを使い、PC版を評価しています。

景色を読み、今この瞬間を楽しむドライブ

本作がもたらす感覚は、Don't Nodの登山ゲームJusantによく似ています。どちらも、自然の中で楽しむ趣味を、心地よく遊べる形に整理した作品です。周囲をよく見て、焦らず進み、その瞬間に意識を向ける。探索には、瞑想にも通じる穏やかさがあります。

見た目にも共通点があります。細部を描き込むより、手触りを感じさせる大ぶりな造形を選び、パステルカラーや深みのある夕焼けの色で風景を彩っています。

一方で、『Over the Hill』はJusant以上に要素を絞っています。Jusantには言葉をほとんど使わない控えめな物語があり、明確な始まりと終わりを持つ一本道の構成でした。本作には、その物語すらありません。用意されているのは、発見や寄り道の目的が点在する広いマップの数々です。どこへ向かうかは自由に決められます。

最大4人の協力プレイにも対応していますが、今回のレビューでは試せていません。仲間と気ままに過ごす場としても楽しそうですが、1人で遊ぶだけでも、静けさに包まれる素晴らしい体験になっています。

走りの厳密さより、風景とのつながりを大切に

開発を手がけたFunselektorは、バンクーバーを拠点に、レトロなモータースポーツを題材とするインディーゲームを制作しているスタジオです。見下ろし視点のラリーゲームArt of Rallyで知られています。

Art of Rallyは非常に洗練された見た目の一方、昔ながらのアーケードレースを成立させるには、車を操る感触に物足りなさがありました。その点では、今年発売された、より荒々しく操作感も鋭いSuper Woden: Rally Edgeのほうが好ましく感じられます。

Funselektorの作風には、車好きの世界で格好ばかりを気にする気取り屋と受け取られかねない危うさもあります。Saber InteractiveのMudRunnerやSnowRunnerのような本格的なオフロードシミュレーターと比べれば、本作にもそうした印象を抱くかもしれません。ただ、本作が目指している体験は別のところにあり、その作風もArt of Rallyよりうまく機能しています。

創設者のDune Casu氏はモータースポーツ愛好家で、自らを冒険好きと表現しています。アメリカ、カナダ、メキシコを旅しながら、ときにはキャンピングカーを仕事場にしてゲームを開発している人物です。本作にも、その感覚が表れています。悪路を4WDで突破すること以上に、移動しながら風景とつながることが大切にされています。

小さな愛車を育て、気になる場所へ向かう

登場する車は正式なライセンス車両ではありませんが、20世紀後半の名車を思わせる、愛らしいおもちゃのような姿をしています。最初の車はランドローバー・ディフェンダー風。進めていくと、トヨタ・ランドクルーザーやフォード・ブロンコ、ウニモグのトラックに似た車も解放できます。

操作は比較的シンプルです。高速・低速ギア、ヘッドライト、ハンドブレーキ、そして立ち往生から抜け出すためのウインチを使い、でこぼこの道をたどったり、道を外れて進んだりします。

探索中に見つかる小屋はファストトラベル地点になり、宿泊して時間を進めることもできます。昼夜の移り変わりがあり、悪天候で進みにくくなることもありますが、条件が変わるたびに美しい景色が違った表情を見せること自体が、大きな楽しみです。

木箱からは、泥よけや自転車ラック、キャンプ用品やビールのケースを積んだルーフラックなど、車の外観を変えるパーツが手に入ります。放置された車を小屋までけん引したり、難しいコースに挑んだりする機会もあります。

こうした発見や活動で得た通貨は、エンジンやタイヤの強化、エンジンへの浸水対策などに使えます。さらに重要なのが、道具を積むための所持枠の解放です。横転した車の向きを直すジャッキ、板、持ち運べるウインチの固定具、天候を回復させるベルなどは、厳しい状況で欠かせない助けになります。

穏やかな旅にも、手ごわい道は待っています

くつろげるゲームではありますが、簡単な道ばかりではありません。特にチャレンジ用のコースでは、難度が一段上がります。沼地に架かる朽ちた木道を渡り、岩だらけの峠を登り、砂漠の崖沿いを危うい傾きのまま少しずつ進んでいきます。地形を注意深く見て、ゆっくり走ることが求められます。

さらに大きな挑戦は、地形そのものの仕組みを読み解くことです。最初のマップであるカナディアン・ロッキーの険しい谷では、それほど意識しないかもしれません。しかし、アルジェリアの砂漠に移ると、マップは幾層にも重なった謎のようになります。

砂丘の上にそびえる台地には、気になる場所が点在しています。そこへどうたどり着くかを考えるには、頭の中で立体的に地形を組み立て、経路を計画し、実際に車を走らせる技術が必要です。

行き先に迷ったときや、新しい車の強化費用を稼ぎたいときには、隕石レーダーも役立ちます。装備するとマップ内のランダムな場所に価値のある隕石が落ち、方角だけを頼りに探せます。

協力プレイでも楽しめそうな遊びですが、1人でも、見慣れた風景を新しい目で眺めるきっかけになります。すでに隅々まで探索したマップでも、その効果は感じられます。このほか、野生動物を撮影して小さな図鑑を埋める楽しみもあります。

要素を絞ったからこそ生まれる、豊かな時間

本作の遊びは、ほぼこれですべてです。そして、その簡潔さこそが最大の長所になっています。機能を際限なく増やすことも、騒がしく注意を引くこともなく、時間制限や競争もありません。頭の中をすっきりさせてくれる場所です。

朝日が昇る豊かな自然の中を、小さな4WDが懸命に這い、跳ねながら進んでいきます。スピーカーからは穏やかなギターの音楽が流れ、眺めているうちに、待つことさえ心地よく感じられてきます。素朴でたくましいこの作品は、心安らぐゲームとして理想的です。急ぐ必要はありません。走り続ければ、やがて目的地にたどり着けます。

『Over the Hill』はWindows PC向けに発売中です。Switch 2、PS5、Xbox Series X版は2027年に発売予定です。