『Over the Hill』は急がず走ることを促すオフロード探索ゲーム、レースを捨てて『Art of Rally』のフリーロームを突き詰めた
2026年10月17日 | #レビュー | Eurogamer
『Art of Rally』の続編にあたる『Over the Hill』は、レース要素をすべて手放し、のんびりとしたオフロード探索に絞り込んだ作品です。筆者は、前作のフリーロームモードを大きく広げたような内容だと評価しています。急ぎたい人や明確な目標を求める人には向きませんが、寄り道や気ままな散策を楽しめる人には、独特の運転の楽しさがあるとしています。
レースを捨てて瞑想的な探索に集中
筆者は、前作『Art of Rally』がレースゲームだったことをほとんど忘れかけていたといいます。あれだけ楽しい時間を過ごしたのに、レースをした記憶がないためです。心を捉えたのは、フリーロームモードの当てのない散策や、ぼんやりとしたコレクション集めの心地よいリズムでした。
『Over the Hill』はレース要素を完全に外し、その瞑想的な部分だけに力を注いでいます。ゲームは金色の仏像が基本操作を教えてくれるところから始まり、この点だけでも方向性が分かると筆者は述べています。筆者にとっては、まさに好みに合う作りです。
舞台は、様式化された鮮やかな色合いの広大な荒野です。構造は控えめで、全体の雰囲気は「チル」に寄っています。
重くて慎重な運転感覚
最初に乗るのは4x4のトレイル車で、操作感は軽快とはほど遠いものです。仏像からオフロードの心得を教わりながら、岩の上でぎこちなく跳ね、坂をのろのろと登り、ぬかるみではウインチを使って車を引き上げます。地形に応じて低速ギアと高速ギアを切り替え、牽引力を確保する必要もあります。
数時間遊んで新しい車両や強化を手に入れても、進み方は慎重なままです。カナダのヴァルハラ山脈の起伏ある森や、岩がごろごろするアルジェリアの砂漠を進むうえで、基本は用心が最善とのことです。焦れば、森から抜け出すのに65回の切り返しが必要になりかねません。
筆者は、忍耐強い人向けのゲームだと位置づけています。「氷河のよう」と評する人もいるほどの遅いリズムに順応できれば、心地よい世界になるとのことです。ギターやハーモニカの穏やかな音楽が、曖昧で自分で決める次の目的地へ向かう道のりを彩ります。
控えめな仕掛けと、動き続けるための口実
開発元のFunselektorは、このゲームをごく軽い手つきで作り上げています。魅力的なオープンワールドのマップには、謎めいた「?」マークが散らばっており、散策の目印になります。解放できるキャンプはファストトラベル地点として機能します。キャンプでは時間を進めることもでき、雨や砂嵐を避けたいときや、ひやりとする夜のドライブをしたいとき、夜明けの日の出を眺めたいときに使えます。
「?」マークの先にあるものはさまざまです。
- 放置された箱の中に、イエティ柄のアンテナや、屋根に載せるカヤックといった愉快な装飾品が入っている場合があります。カヤックはマルチプレイで仲間と差をつけるのにも使えます。
- 湖畔の岩を慎重に回り込んだり、危うい断崖沿いを抜けて遠い張り出しに向かったりする、コース状のウェイポイントが始まる場合もあります。最後まで進むと報酬を得られます。
- 放置されたトラックを拠点まで牽引して戻すこともあれば、美しい景色に出会うだけのこともあります。
筆者によれば、これらは移動と探索を続けさせるための口実にすぎません。むしろ地図を忘れて気分のままに進み、新しい謎を示す煙が見えたら針路を変えるほうが楽しいと感じているそうです。大切なのは道のりそのもので、荒野の一角一角が小さなパズルになっています。泥に引き込まれそうな川岸を穏やかに縫って進んだり、無理に通ると挟まってしまう岩の障壁を避けたりと、その場で最適なルートを考える小さな勝利があります。
見た目ほど無秩序ではないマップ
遊び進めるうちに、『Over the Hill』は最初に思うほど形がないわけではなく、マップも無秩序ではないと気づくといいます。目的地が見えていても、険しい峡谷を抜け、最後に渡る古びた橋までたどり着く回り道を解かなければ届かない場合があります。
進行の仕組みも控えめながらこの感覚を支えています。探索で得たポイントで車両を強化しなければ、本当に行けない場所もあります。
その間にも、日は昇って星空へと移ろい、雨が荒野を叩いたあとに雲が切れて青空が広がります。キツネ、ヘラジカ、フクロウ、ラクダ、クマなどの野生動物もいて、図鑑用の写真を撮ることもできます。筆者は、速く走る必要がどこにあるのか、力を抜いて深呼吸し、ただ景色を味わえばいいのではないか、と本作が語りかけているように感じたと結んでいます。