『Football Manager 27』は戦術面の新要素「戦術的有効性」とUI改善でシリーズ本来の姿に近づいた
2026年10月29日 | #レビュー | Eurogamer
Eurogamerのレビュアーは、『Football Manager 27』を、前作『Football Manager 26』で「こうあってほしかった」と感じたゲームだと評価しています。プレイ時間は導入部、役員会議、最初の移籍市場を含めて半日ほどで、確定した最終評価ではありません。スコアも示されていません。それでも、大きな理由として挙げているのは、前作で不評だったカードとタイルのUIを大幅に減らしたことと、新しい戦術システム「戦術的有効性」がロールプレイ面を大きく広げたことです。レビュアーはシリーズに対して、ここしばらくで最も前向きな気持ちになったと述べています。
前作の課題と、開発側が見た原因
『Football Manager 26』は、初めてUnityに移行したことで、前例のない1年の発売延期を経ています。ヘッドオブデザインのRémy Boicherot氏によると、エンジンへのインターフェース移植や新しいグラフィックデータへの対応など、技術面の課題が多く、前作はそこに注力せざるを得ませんでした。その後のプレイヤーからのフィードバックでは、UIの問題と、世界に入り込めていない感覚という2点が大きな改善点として挙がったそうです。
今作は、技術的な課題を乗り越えたうえで、ゲームプレイの改善に集中した「整理の年」だったとBoicherot氏は説明しています。シニアフィーチャーマネージャーのAnt Farley氏は、すべてをゼロから作り直したため改良を重ねる余裕がなかったと振り返りました。前作は自分のチームに集中する分には良いものの、広い世界を見て回ろうとすると摩擦が大きかったという認識も、かなり早い段階で開発チームにあったそうです。タイルは本来、ナビゲーションと情報提示を兼ねるものでしたが、実際には多くの場面でナビゲーションが主目的になり、画面の情報バランスが崩れていたと、同氏は語っています。
UIは大きく改善、ただし課題も残る
改善の効果は、プレイ開始直後から分かるといいます。ナビゲーションバーは整理され、ポータルは従来の受信箱に近い形になり、色分けも加わりました。行き止まりの画面に迷い込む回数が、前作よりはるかに減ったそうです。
一方で、カードとタイルの仕組みは一部が残っています。レビュアーは「一部」ではなく仕組み全体をやめるべきだと考えており、ポップアップがフルページへの移動より便利な場面はほとんどないとしています。Boicherot氏は、ゲーム内の人物からのメッセージなどはポップアップが向くという立場です。レビュアーは、これを2種類のUIが重なって競合している状態だと受け止めています。
レビュアーにとって、従来のFMは表計算ソフトというより、ウェブブラウザに近い存在です。受信箱兼やることリストから、ハイパーリンクで相互につながった記事のような画面へ、シームレスに移動できるからです。下線付きの文字で該当ページへ移り、ドロップダウンメニューで主要なハブへ行くという、一貫して直感的な視覚言語を、レビュアーは今も最良のものだと考えています。タイルはそれを濁らせるだけだという評価です。
Boicherot氏も、プレイヤーはUIについて考えたくないはずで、FMでは慣れ親しんだ感覚を取り戻したかったと話しています。専任の「ストライクチーム」を置いてこの問題に当たり、あわせて没入感を高める方針で、各画面の構成も見直したそうです。選手の成績、直近の試合、好調・不調の選手といった動的な要素に焦点を当て、ゲーム内の記者やニュース記事も強化したとのことです。
戦術的有効性が変える考え方
今作で最も高く評価されているのが、戦術的有効性です。従来の戦術浸透度のゲージは、やや無視されがちなものでした。それに代わるこのゲージは、戦術理解、選手の能力、選手の納得度、次の試合の情報という4つの要素から影響を受けます。
各要素の下には、さらに別の層があります。たとえば戦術理解は、攻撃時の陣形、パススタイル、ビルドアップ、チャンスメイク、守備時の陣形、プレスをかけるラインの高さ、プレス強度、プレストラップといった項目への選手の理解度で決まります。チャンスメイクはさらに、トレーニングでの貢献、試合経験、選手の戦術能力、要求する戦術の複雑さに左右されます。戦術能力には、適応力やチームワークなどの能力値が関わるとのことです。
開発側は、プレミアリーグなどプロの現場とのやり取りを踏まえたと説明しています。従来の仕組みは、実際の監督が考えていることに比べて単純すぎたそうです。Boicherot氏は例として、マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督を挙げています。多額の資金で選手を獲得し、準備ができるまでしばらく起用しませんが、ピッチに出れば彼のビジョンをすぐ理解して機能するという流れです。旧来のシステムでは、これを表現できなかったと同氏は語っています。
画面そのものは、要素を並べた地味な数列の表示で、レビュアーは「少し物足りない」としています。それでも、わずか数時間のプレイで考え方に大きな影響があったと言います。FMでの戦術の考え方と、現実の監督の考え方との間をつなぐ、ロールプレイの仕組みだという評価です。
新監督効果を例にした面白さ
導入説明で挙げられた例は、「新監督効果」です。成績不振の監督が解任された直後に、チームの成績が一時的に上向くという現象を指します。データ上は、平均すると短期的な成績向上は見られず、一種の神話とも言われています。ただ、実際に起きる場合は、新監督が「基本に戻り」、指示を単純にして、士気の低い選手たちにより自由にプレーさせるためだと考えられています。
レビュアーは、自身が長年苦労してきたマンチェスター・ユナイテッドを例に挙げています。ルベン・アモリム前監督の戦術は複雑で、選手に高い体力と戦術の理解・遵守を求めるものでした。暫定で就任したマイケル・キャリック氏はより単純な形に戻し、ブルーノ・フェルナンデスを10番の役割に戻して、4-2-3-1の布陣を採用しました。創造性のある選手に大きな自由を与え、流動的なミドルブロックからのカウンターを軸にしたといいます。当初は結果が出ましたが、今季は相手に夏の間に分析され、いわゆる「見破られた」状態になり、成績は悲惨な方向へ転じているそうです。
戦術的有効性も、これに近い仕組みを狙ったものです。ターゲットフォワードへのロングボール、コンパクトな守備からのカウンターといった単純な戦術は、選手に理解されやすく、短期的な結果につながります。複雑なプレス、偽サイドバック、緻密なティキタカは習熟に時間がかかり、シーズン序盤に苦戦する可能性があります。レビュアーはここに、戦術の理想を貫いて将来の上限を高めるか、短期の安定を優先して徐々にチームを変えていくかという選択が生まれると言います。ロングボール中心の戦い方をファンが受け入れるか、選手が快適にプレーできるかといった問いも、同様に発生します。
トレーニング、補強、試合中の新機能
戦術的有効性は、ほかのシステムとも連動しています。トレーニングは大きく作り直され、戦術理解、試合準備、サッカーの成長、フィジカルと回復という新しいカテゴリーに分かれました。従来は主に能力値を伸ばす手段と見なされており、「ディフェンス:エンゲージド」ならタックルやヘディングが伸びる、といった位置づけでした。戦術面や試合の疲労に効くものもありましたが、効果を測る明確なゲージはありませんでした。
今作では、「戦術理解」に属するセッションが、戦術的有効性の戦術理解の項目に直接効きます。たとえばパススタイルの理解度が低いとゲージで分かれば、パススタイルの練習を増やすべきだと判断できます。そのうえで、成長のためのセッション、試合準備、回復とのバランスを取ります。セットプレーは、コーナーキックやフリーキックなど個別のセッションに分かれました。Farley氏は、試合に似せた練習を行う「戦術的ピリオダイゼーション」が現代サッカーで重視されていることに触れ、1点ビハインドや リード後の守りといった「ゲーム状態」を想定した練習の例を挙げています。
補強にも影響があります。スカウトによる選手の戦術適性の評価を考慮する必要があり、ハイプレスで技術の高いグアルディオラ風のスタイルに合うか、といった判断が求められます。ジェームズ・ターコウスキーは高いディフェンスラインに合うのか、ライアン・シェルキは引いて守るサッカーを望むのか、といった具合です。Boicherot氏は、ティエリ・アンリがアーセナルからバルセロナへ移籍した際に、適応に大きな時間がかかった例を挙げました。適応力などの能力値によって、役割ごとの順応しやすさも変わるそうです。レビュアーはこれを、人心掌握という感覚的な要素と、現代的な分析の要素を融合させる試みだと見ています。
試合中には、タッチラインからの指示が戻りました。前作では後から謝罪的にパッチで追加されたものです。今作ではこれと並んで、「Tweaks」という機能が加わりました。試合画面を離れず、ワンタッチでチームのライン上げやプレスの緩めを指示できる戦術ショートカットで、レビュアーが特に気に入ったのは、セットプレー時にゴールキーを前線へ上げる指示です。Tweaksはタイマーでは終わらず、自分で解除するまで有効です。開発側は、解除する判断も、実行する判断と同じくらい面白いと考えています。Boicherot氏は、相手監督との「決闘」のような体験を狙ったと述べています。
その他の変更
代表チームの監督業では、トレーニングが正式に実装されました。2Dエンジンは見た目が刷新されつつ、レトロな雰囲気を残しています。選手の走る速度の仕組みが見直され、疲労や試みるランの種類とも連動します。あわせてフォワードがペナルティエリアへ侵入する方法を指定する新しい指示が加わり、足の遅いフォワードの影響力が高まることが期待されています。スタジアムの見た目も更新され、カップ戦の抽選演出も復活しました。導入部分では、監督のカスタマイズ項目が増え、特性や能力の設定も調整されています。
総評
レビュアーによると、『Football Manager 27』は遊びやすく、移動もしやすく、「楽しさまでが速い」状態になっています。シリーズで戦術面が最も面白く、繊細なゲームになる可能性があるとも評価しています。残るカードの要素を取り除けば、非常に良い年になり得るという見立てです。なお、この評価は半日ほどのプレイに基づくものです。