『Dungeons & Dragons: World of Warcraft』のシグネチャーキャラは従来より強力で、HP430以上、イニシアチブ加算値も高く設計されている
2026年11月05日 | #ゲーム紹介 | Polygon
『Dungeons & Dragons: World of Warcraft』がアーリーアクセスで公開されました。Wizards of the Coastが『WoW』のシステムをD&D 5.5e(5版2024年改訂)のルールに落とし込んだ本作では、登場するシグネチャーキャラクターたちが、これまでのD&Dのボスとは一線を画す強敵として作られています。ここでは、そのデータ上の特徴を紹介します。
発売前から検証が進むルールと、強敵として描かれたキャラクターたち
D&Dを代表するボスキャラクターといえば、約40年にわたってマルチバースを脅かしてきたヴェクナです。直近の『Vecna: Eve of Ruin』では、20レベルのパーティーにも勝てる唯一無二の脅威として設計されました。しかし、アゼロスでは数多い顔ぶれの1人にすぎないだろう、と原文は述べています。
アーリーアクセス公開から数日がたち、ファンやプロ、コンテンツクリエイターが、ルールの勝ち組と負け組を探る検証を進めています。議論は続いていますが、現時点ではクレリックのサブクラス「Discipline Priest」がきわめて強力と見られています。一方で、議論の余地が少ないのは、Wizardsの制作チームが『WoW』の象徴的なキャラクターを手ごわい存在に仕上げた点です。
本書に登場するスタットブロックと、その理由
本書は『WoW』の第10拡張『The War Within』前後の時期を舞台にし、現行拡張『Midnight』にも触れています。スタットブロックが用意されたのは、現在の物語の中心にいるアレリア、アンドゥイン、ジェイナ、スラルに加え、人気の高いイリダンとシルヴァナスです。アーサスは、Icecrown Citadelのマップパックの主要な敵であることから加わりました。なお、アーサスは『Shadowlands』以降の『WoW』では完全に死亡している人物の1人です。
「プレイヤーキャラクターが倒してよい相手にしかデータを与えない」という古くからの考え方からすると、意外に見えるかもしれません。ただ、『WoW』では名前のあるキャラクターが、いずれレイドやダンジョンのボスになる可能性が高く、本書の全員がこれまでに戦利品を落とす敵として登場しています。アンドゥインも、Sepulcher of the First Onesのレイドで、精神支配された状態ながらプレイヤーと戦いました。
従来のシグネチャーキャラを上回る体力と先制力
さらに珍しいのは、全員が最初から手厚い備えを持っている点です。想定されるCR(挑戦度)は、アンドゥインの20からアーサスの25までです。比較として、『Eve of Ruin』のヴェクナはCR26のアークリッチで、HPは272、イニシアチブへの加算値もありません。強力な能力で「ノーコスト」の自己回復と大ダメージを与えられるものの、5eでは272というHPは見た目ほど多くないとされています。
これに対し、本書のシグネチャーキャラはHPが430(イリダン)から500(アーサス)で、イニシアチブの固定加算値も+11(ジェイナ)から+21(シルヴァナス)まであります。単純な数値ですが、先に行動できる確率を高めることは、どのテーブルトークゲームでも大きな強みになります。
そのうえで、伝説的抵抗、ボーナスアクション、呪文に似た能力といった、5eのシグネチャーキャラらしい固有能力も備えています。
- アレリアは、周囲の全員を恐慌状態にしうる「闇のオーラ」を持ちます。
- アーサスは、30フィート以内の全キャラクターを減速・消耗させる冷気を常に放ちます。
- アンドゥインは自己回復に特化しています。
- イリダンは悪魔に変身する、本物の第2フェーズを持ちます。
- スラルは、1ラウンドに最大6回のLava Burstを放てます。
突出して強力だが、無敵ではない
原文は、彼らが必ずしも強すぎるとは言えないとしています。たとえばジェイナには有用な完全耐性があり、Mind Blankも使えますが、熱心なD&Dファンなら、彼女の勢いを大きくそげる「セーブ・オア・サック」(セーブに失敗すると行動が大きく制限される呪文)を知っているはずです。それでも、Ice Prisonで1ラウンドに最大3人のPCを石化させられる高い可能性を持つなど、多くのパーティーを苦しめる手段があります。『Eve of Ruin』で作り直された高CRの呪文使いアルストリエル・シルバーハンドと比べても、ジェイナは別次元の強さだと評されています。
「張り子の虎」になりがちなボスへの対策として
これは、Wizardsがこれまで、数値の印象より弱いモンスターを作りがちだった傾向からの転換だといいます。ルール通りの5版、特に2024年以降は、手ごたえのある戦闘を作りにくいとされます。行動経済、あまり知られていない呪文、低いセーブ、時にはダイスの目が重なり、DMが用意した最後の黒幕が張り子の虎になりうるためです。
『World of Warcraft』のスタットブロックでは、潜在的なレイドボスを倒しにくくする試みがなされています。体力が多く、反応が速く、もっとも強力な者には自動的なセーブ・オア・サック効果も備わっています。『Warcraft』を知らなくても、高CRの敵役を強化するヒントを得るために、手に取る価値があるかもしれません。
『Dungeons & Dragons: World of Warcraft』は11月17日に発売されます。