Jon Batiste、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』Switch 2版の発売イベントで音楽の魅力とゲーム音楽への思いを語る
2026年11月07日 | #ゲーム紹介 | Game Informer
グラミー賞を8回受賞し、アカデミー賞、BAFTA賞、ゴールデングローブ賞も手にしているミュージシャンのJon Batiste。Game Informerは、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のSwitch 2向けリメイクの発売イベントに合わせて、同氏に短いインタビューを行いました。ゲーム音楽への愛や任天堂との歴史、そして「ガイルのテーマ」がどんな映像にも合うと言われる理由が語られています。
発売イベントに招かれたゲーム好きの音楽家
Jon Batistはこれまで、Alicia Keys、Lenny Kravitz、Prince、Stevie Wonder、Willie Nelsonらと共演してきました。Super Bowl LIXでは国歌を披露し、『The Late Show with Stephen Colbert』では音楽面を率いています。
ルイジアナ州出身でジュリアード音楽院の卒業生でもある同氏は、約30年にわたるゲーム好きです。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ファイナルファンタジーVII』の楽曲が、音楽を始めたころの原動力になったといいます。SNSでは、『ファイナルファンタジー』シリーズで知られる植松伸夫氏と並んで座る姿や、ゲーム音楽を演奏する姿の動画も見られます。
『時のオカリナ』の音楽を愛していることでも知られ、今回のイベントには任天堂がニューヨークに招き、スペシャルゲストとして登場しました。インタビューの冒頭では、画面越しに歌って挨拶したあと、取材担当者が持つ『NBA Jam』と『ストリートファイターII』の筐体に反応しています。『NBA Jam』のメニュー曲を口ずさみ、地元の『ストリートファイターII』の筐体に何枚もコインを入れた思い出も語りました。
『時のオカリナ』の音楽が持つ魔法
『時のオカリナ』の音楽で印象的な点を問われると、Jon Batistは音楽理論の視点から説明しました。七の和音を使わず、根音・三度・五度だけで作られた長和音と短和音が交互に現れる点に注目しているそうです。この響きは、物悲しくてシンプルで、太古を思わせるといいます。さらに、考えを巡らせているときや想像力が働いているときに頭の中で流れる音楽のようにも感じるそうです。
長和音は短和音の直後に、逆の動きで現れます。そのため音楽は広がったり縮んだりしているように聞こえ、これがLinkのいる世界の広がりを音楽で表現したものになっている、という見方です。Jon Batistは、近藤浩治氏がゲームプレイの本質だけでなく、魔法のような感覚とシンプルさまで捉えたと評しました。その力があるから、ゲーム内で聴いてもゲームから切り離して聴いても魔法を味わえる、とのことです。
最も音楽的に洗練された曲を尋ねられると、Jon Batistは全体をひとつの組曲として捉えていると答えました。曲ごとの難しさに差があるというより、すべてのテーマが互いに関連しながら、それぞれ独立している点が見事だそうです。個人的なお気に入りは「嵐の歌」で、よく演奏するといいます。子どものころは何時間もゲームで遊んだあと、ピアノでゲームの曲を弾いていました。その習慣は11歳のころからだそうです。
ファミコンから始まったゲームとの付き合い
任天堂との付き合いは、ファミコンまでさかのぼります。クリスマスの朝に遊んだ『ダックハント』が最初だったかもしれないと振り返りつつ、実際に最初に遊んだのは『ドンキーコング』で、次が『ダックハント』、その次が『スーパーマリオブラザーズ』だったと語りました。1990年代初頭、青いシャギーカーペットを敷いた自分だけの部屋で、カーペットに溶け込むようにして何時間も遊んでいたそうです。
Jon Batistは、自分の心が渦や竜巻のようになることがあると話します。そのころから、勝ち負けに関係なくゲームの世界に入ることが、心の渦を整理し、アイデアやインスピレーションを与えてくれると気づいていたそうです。
『ストリートファイターII』は、姉やいとこたちと一緒に遊ぶようになってから夢中になりました。同氏は、共演したこともあるYoko Shimomura氏が各キャラクターに素晴らしいテーマ曲を書いたと語り、このころから格闘ゲームが本当に好きになったといいます。『ファイナルファイト』『ダブルドラゴン』『ロックマン』など、さまざまなシリーズも遊びました。中でも『ロックマンX』は、今も変わらぬお気に入りだそうです。
そこへ登場した『時のオカリナ』は、音楽、戦闘、『ドンキーコング』や『スーパーマリオワールド』のような直線的な構成といった要素を併せ持ち、世界をさらに広げた作品だと評しています。「衝撃的だった」と振り返り、自分の好きなゲームの傾向が固まったとも話しました。
「ガイルのテーマ」がどんな映像にも合う理由
最後に、「ガイルのテーマ」はどんな映像に付けても引き立てるというネットミームについて、その理由を聞かれました。Jon Batistは、この曲には勢いがあり、聴き手を引き込む力があると答えています。何かを始めるときや映像を見始めるときには引き込まれることが大事で、この曲はコール&レスポンスの形でそれを実現しているそうです。
ブラスによる冒頭の力強い宣言に、ベースが応える形で曲が始まります。そのため、何かが起きているから注目しなければ、という感覚がすぐに生まれるといいます。テンポも素晴らしく、1980年代の格闘映画の主人公のテーマに通じる雰囲気があると分析しました。Jon Batistは、Shimomura氏がそうしたアクションヒーローの典型像を参考にしたのではないか、と推測しています。