『Dungeons & Dragons』アンダーダークを舞台にした新たな製品の可能性が浮上
2026年09月02日 | #噂・リーク | Polygon
『Dungeons & Dragons』で、長らく公式製品の主舞台になっていなかった地下世界アンダーダークが、近く再び扱われる可能性が浮上しています。根拠となっているのは、プレイテスト資料で示された「Underdark Options」と、Gen Con 2026の基調講演で発表された新企画D&D Iconsです。特に、アンダーダークとその住人を40冊の小説で描いてきたR.A.サルバトーレが企画に参加することから、同氏が関わる新製品ではないかとの見方が出ています。
プレイテスト資料と新企画が示す地下世界の再登場
Wizards of the Coastが公開した最新のUnearthed Arcanaプレイテスト資料には、アンダーダークをテーマにしたキャラクターのサブクラス「Underdark Options」が含まれていました。これは正式な製品の発表ではありませんが、今後のラインナップにアンダーダーク関連の内容が登場する可能性を示す手がかりと受け止められています。資料だけで新キャンペーンの内容や発売時期が確定したわけではなく、現時点ではあくまで予告的な要素です。
もう1つの手がかりが、Gen Con 2026のD&D Vision Keynoteで明らかになったD&D Iconsです。俳優・プロデューサーのジョー・マンガニエロが主導するこの企画は、シリーズの歴史を築いてきた著名クリエイターたちを集め、オリジナル製品を制作するものとされています。参加者として、Dragonlanceを手がけたマーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマン、ゲイリー・ガイギャックスの息子でGreyhawkに詳しいルーク・ガイギャックス、そしてDrizzt Do’Urdenを中心とするThe Legend of Drizztシリーズの著者R.A.サルバトーレが挙げられています。
ワイスとヒックマンがDragonlanceの本を担当し、ガイギャックスがGreyhawkを扱うことは明らかになっています。一方、サルバトーレの担当分野はまだ公表されていません。原文筆者は、同氏がアンダーダークを担当する可能性は推測にすぎないとしつつも、過去の実績を考えれば予想は難しくないと見ています。サルバトーレは多数の小説を通じて、地下世界やそこに暮らすドロウ、そしてその代表的なレンジャーであるDrizzt Do’Urdenを広く知らしめてきた人物だからです。
アンダーダークとは何か
アンダーダークは、複数のD&D世界に存在する地表下の広大な領域を指す名称です。Forgotten RealmsではUnderdarkと呼ばれ、GreyhawkではUnderoerthまたはDeepearth、EberronではKhyberという別名が使われています。初期のゲイリー・ガイギャックスによる冒険作品の1つ、1978年のHall of the Fire Giant Kingに登場した後、冒険モジュール群DシリーズやQueen of the Spidersシリーズの主要な舞台となりました。名称と設定が詳しく整理されたのは、ダグラス・ナイルズが1986年に執筆したDungeoneer’s Survival Guideです。
この場所の特徴は、冒険者が安全に休める町や、情報を教えてくれる宿屋が存在しない、極端に敵対的な環境にあります。危険なのは敵だけではなく、地下世界そのものの環境や独自の生態系も生存を脅かします。その一方で、地上とは異なる生物相や文明が広がっているため、未知への恐怖と異質な驚きが同居する舞台にもなっています。
代表的な存在として、ビホルダーやマインド・フレイヤーがアンダーダークの固有種として知られています。ドロウ、すなわちダークエルフの社会や、ドワーフに似た種族であるデュエルガルの文明も、この地下世界を象徴する要素です。なかでもドロウの大都市メンゾベランザンは、対立する貴族家門の評議会によって支配されています。各家門は悪の女神ロルス、通称「蜘蛛の女王」に仕える高位の女祭司が率いており、従来の設定ではロルスがドロウに絶対的な影響力を持つ存在として描かれていました。近年の設定変更では、ダークエルフの描写がより複雑なものへ見直されています。
サルバトーレは1988年のThe Crystal ShardでDrizztを登場させ、その後、彼の出自を描くThe Dark Elf Trilogyを執筆しました。同シリーズは、文学作品におけるアンダーダークやドロウ社会の描写に大きな影響を与えています。サルバトーレの描いたメンゾベランザンや地下世界の荒野は、長年にわたって読者に親しまれ、D&D本編のイメージ形成にも影響を及ぼしました。
次の製品は大型キャンペーンか設定資料集か
アンダーダークを正面から扱った最新のD&D製品は、2015年の第5版キャンペーンOut of the Abyssです。この作品では、プレイヤーがドロウから逃れながら、アンダーダークで進行するデーモンの侵攻を生き延びることになります。それから約10年が経過しているため、今回のプレイテスト資料は、同じ舞台を使う新たな展開への期待を高めています。
ただし、近年の5.5e製品で見られる設計傾向を踏まえると、Out of the Abyssのような大規模な長編冒険がそのまま登場する可能性は高くないと原文筆者は分析しています。より考えられるのは、アンダーダークを専門に扱うキャンペーン設定集です。新しいキャラクター・オプションに加えて、地域、都市、住人をまとめたガゼティアを収録し、短めの冒険を組み合わせる形式であれば、近年の製品構成にも合います。
もっとも、D&D Iconsが通常のメインライン製品と同じ方針で作られるとは限りません。マンガニエロは、この企画が大きな創作上の自由を持つことを示唆していますが、その自由が具体的にどの範囲まで認められるのか、既存の製品ラインとどのように関わるのかは明らかになっていません。そのため、設定資料中心になるのか、物語を重視したキャンペーンになるのかも現段階では判断できません。
ディープ・インマスカーが物語の中心になる可能性
今回の推測をさらに強めているのが、プレイテスト資料で扱われたDeep Imaskarです。この都市はアンダーダークの中でも比較的詳しく描かれてこなかった場所で、資料では新たな魔法「unlight」も紹介されています。これは、Deep Imaskarの初期の住民が過酷な地下世界の中に安全な避難所を築くために使ったとされる力です。
都市を守るGreat Sealの存在自体は以前から設定されていましたが、「unlight」という名称でこの魔法が示されたのは今回が初めてとされています。既存設定に新しい用語と機能を加える必要があるのは、D&DチームがDeep Imaskarを今後の物語や設定で利用する準備を進めているからではないか、というのが原文筆者の見立てです。Deep Imaskarはアンダーダークの最深部に位置するため、これまで十分に掘り下げられていない領域を舞台にできる点も注目されます。
サルバトーレが実際にこの製品を担当するかどうか、またD&D Iconsの企画が既存のメインライン作品とどのように並行するかは、まだ不明です。現時点で確定しているのは、アンダーダーク関連のプレイテスト要素が示され、同地に深い縁を持つ作家が新企画へ参加するという事実までです。それでも、ドロウ、メンゾベランザン、ビホルダー、マインド・フレイヤーなどが待つ地下世界が、久しぶりに公式製品の中心へ戻る可能性は、長年のプレイヤーにとって大きな話題になりそうです。