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『The Witcher 3: Songs of the Past』11年越しでも本編直後のような物語体験を実現

2026年09月02日 | #ゲーム | Eurogamer

『The Witcher 3: Songs of the Past』11年越しでも本編直後のような物語体験を実現

11年ぶりに展開される大型拡張の初公開デモで、CD Projekt Redが得意とするキャラクター描写と、単純な善悪では割り切れないクエスト設計が改めて注目を集めています。Gamescom 2026で披露された『The Witcher 3: Songs of the Past』は、本編や過去の拡張を終えた直後から自然につながる物語として描かれているとのことです。原文筆者は、短時間のハンズオフデモだけでも、本作がThe Witcher 3の物語面における強みを受け継いでいると評価しています。

本編から11年後でも、物語は直後から続く

CD Projekt Redのブースで公開されたデモは、メディアおよびビジネス関係者向けに行われたものです。今回の拡張はベースゲームの発売から11年後に登場する作品ですが、ゲーム内ではその年月が経過していません。本編とBlood & Wine、Hearts of Stoneの出来事を終えたゲラルトが、そのままLettenへ向かい、そこで起きている奇妙な謎と陰謀を追う展開になります。

デモの冒頭では、ゲラルトがLettenの牧歌的な牧草地で二日酔いの状態から目を覚まします。ダンデライオンの姿が見当たらないことに気づいたゲラルトが、思案と不機嫌さの混じった短い「フン」という反応を見せるだけで、長年親しんできた人物が戻ってきた感覚を呼び起こしたと原文筆者は記しています。現実には長い空白がある一方、物語の中では前の冒険の続きとして受け止められるよう、登場人物の振る舞いや会話が作り込まれているようです。

ゲラルトらしさを保つ細かな演技

原文筆者が特に評価しているのは、ゲラルトの人物像が会話の大きな場面だけでなく、わずかな反応にも一貫して表れている点です。ゲラルトは、ぶっきらぼうな態度、皮肉めいたユーモア、独特の間の取り方などによって成り立つキャラクターです。長期間を隔てた新作であり、制作スタッフの顔ぶれや担当が変わっていると考えられるなかでも、そうした特徴を違和感なく維持しているとしています。

デモでは、ゲラルトが耳障りな吟遊詩人のそばを通り過ぎる際にも、短い反応だけで彼の性格が伝わる場面があったとのことです。大げさな説明や長い独白で人物像を再確認させるのではなく、声の調子や表情、ちょっとした相づちに過去作からの連続性を持たせています。原文筆者は、ダグ・コックルが演じてきたゲラルトと約300時間を過ごした経験を踏まえ、こうした細部までキャラクターをつなげることは容易ではないと述べています。

プレイヤーに行間を読み取らせる演出

CD Projekt Redの脚本については、プレイヤーを過度に説明で導かない姿勢も特徴として挙げられています。ゲーム作品のなかには、重要なテーマや展開を見落とされないよう、登場人物に何度も説明させたり、物語の意味を直接言い切ったりする例があります。それに対して本作では、すべてを台詞で説明するのではなく、会話の調子や視線、場の空気から状況を読み取れるようにしていると原文筆者は見ています。

その一例が、ゲラルトがダンデライオンの親族たちの朝食の場に偶然入り込む場面です。彼はダンデライオンのいとこであるリラと、「グランママ」と呼ばれる年長の女性の間に座ることになります。この年長女性は、原作小説でダンデライオンが言及したレッテンホーフ家の伯爵夫人ではないかと示唆されていますが、デモの描写では明確に説明されません。

魅力的な客人であるゲラルトの存在に後押しされたリラは、家の家長に対してダンデライオンについて問いかけます。一方、年長女性は自分の信念を崩さず、彼の不在を吟遊詩人らしい気まぐれにすぎないかのように扱います。しかし、リラがその話題を追及すると、2人の間の空気は次第に冷え込んでいきます。デモでは、緊張が高まるなかでゲラルトの目が2人の女性の間を行き来するカットが入ったとのことです。台詞だけで対立を説明するのではなく、視線とカット割りによって、家族間の感情やダンデライオンをめぐる事情を伝える演出になっています。

伝承と悲劇が絡むクエスト

公開されたクエストでは、リラが不幸な運命をたどった先祖、ウンベルト・ド・レッテンホーフ伯爵の話を語ります。伯爵は、ある魔女への愛によって正気を失った人物とされており、ゲラルトたちは彼が眠ると伝えられる「いばらの寝床」へ向かいます。リラは怪談や恐ろしい話を好むと話しながら、伯爵の過去をたどっていきます。

その伝承によれば、伯爵は心を奪った魔女の望みをかなえるため、遺体を井戸へ投げ込んでいました。その結果、庭は現在に至るまで血を求めているとされています。やがて、骨がいばらの茂みに取り込まれた骸骨が姿を現します。リラが眠る騎士に語りかけると、その騎士は蘇生し、彼女に花を手渡します。しかし騎士は、守るべき淑女が脅かされていると誤解し、ゲラルトを殺そうとします。

単純な怪物退治にしないクエスト設計

原文筆者は、The Witcherシリーズのクエストには、近隣で奇妙な事件が起きていると聞き、現場を調べ、敵や怪物と戦い、報酬を得るという共通の流れがあると指摘しています。それでもCD Projekt Redは、そこに人間の弱さや妥協、怪物の悲哀、報われない愛情を重ねることで、単純な作業に見えない物語へと発展させてきました。

今回のクエストも、最終的には植物の力を操る人型の敵との戦闘につながるようですが、そこへ至るまでに描かれるのは、愛によって壊れた男と、彼をめぐる一族の記憶です。敵を倒して終わるのではなく、ゲラルトが状況に対して意見を示し、プレイヤーがその状態に関わる余地が残される点が、本作でも受け継がれているとしています。

原文筆者は、The Witcher 3がThe Bloody Baronのようなクエストラインで記憶されているのは偶然ではないと述べています。約1時間のデモからも、CD Projekt Redが物語と世界設定を組み合わせる技術は、少数の傑作クエストだけに現れたものではなく、スタジオ全体の強みであることが伝わったとのことです。