『GTA 6』のVice City化構想にマイアミ・デイド郡保安官らが反発
『GTA 6』の舞台となる架空都市Vice Cityに合わせ、マイアミをゲームの広告で彩る構想に、地元のマイアミ・デイド郡保安官と郡政委員が反発しています。犯罪や暴力を特徴とする架空の街を行政自ら宣伝することになり、現実の地域イメージや法執行機関の取り組みを損なうというのが主な理由です。構想はまだ正式決定に至っていませんが、発売に向けた大規模なタイアップの行方に影響を与える可能性があります。
現実のマイアミをVice Cityとして演出する構想
本作のVice Cityは、フロリダ州マイアミをモデルにした都市です。Rockstar Gamesは、マイアミを象徴する実在の場所や建築をゲーム内に忠実に再現しており、公開済みの最新トレーラーからも現実のロケーションに似た場所が見つかっています。
8月下旬には、マイアミ・デイド郡の関係者がRockstar Gamesと、本作の発売を記念した地域ぐるみの展開について協議したと現地メディアが報じました。案として挙がっていたのは、Metroの路線をVice City仕様の広告でラッピングすること、Vice Cityのロゴを使ったマンホールのふたを設置すること、マイアミ国際空港に「Welcome to Vice City」の表示を掲げることなどです。なかでも、空港を一時的に「Vice City Airport」として演出する案は、公共施設の名称やイメージを大きく変える内容でした。
保安官と郡政委員が犯罪の美化を問題視
マイアミ・デイド郡保安官のRosie Cordero-Stutz氏は、こうした演出が犯罪を中心に描く作品の世界観を、行政が地域の公式イメージとして広めることにつながると指摘しています。NBC Miami 6によると、同氏はGrand Theft Autoについて、殺人、強盗、 drug trafficking、カージャック、法執行機関への暴力などを扱うゲームシリーズだと説明しました。
同氏は、保安官事務所が現実の地域で暴力犯罪や強盗、自動車盗難、薬物密売の抑止に取り組み、住民との関係づくりも進めていると説明。そのうえで、「政府が、現実に減らそうとしている犯罪を中心に据えた架空のアイデンティティを宣伝することで、どのようなメッセージを送るのかを真剣に考える必要がある」との考えを示しています。ゲーム内の表現そのものだけでなく、行政が公式キャンペーンとして扱うことに問題があるという立場です。
郡政委員のJuan Carlos Bermudez氏も、空港など重要な郡の資産を一時的にVice City仕様へ変更する案に疑問を呈しました。同氏は、マイアミ・デイド郡が観光、ビジネス、投資、機会に恵まれた世界的な目的地としての評価を築くため、何十年にもわたり取り組んできたと説明しています。そして、宣伝すべきなのは犯罪と暴力で定義された架空の地域ではなく、住民や行政が築いてきた現実のマイアミ・デイドだと主張しました。
タイアップの実現性は不透明に
これまでの報道では、地域側が本作との協力に前向きで、大規模な広告展開は発売を盛り上げるだけでなく、経済的にも有益な企画になると見られていました。しかし、保安官が公に反対を表明したことで、郡の施設や交通機関を使った演出がそのまま進むかは不透明になっています。現時点で、構想の具体案はいずれも正式承認されていません。
本作の発売日は11月19日とされており、ゲーム史上でも最大級の発売になるとの見方があります。そのため、実現すれば大きな宣伝効果が期待できる一方、現実の犯罪対策や地域のブランドと衝突するリスクも表面化しました。なお、ソーシャルメディアでは、主人公のJasonとLuciaの関係性を理由に、ゲームをプレイすることは浮気に当たるのではないかという議論も起きているとのことです。