『Path of Exile』共同制作者、データマイナー対策の偽アセットは「無駄が多い」と説明
2026年09月08日 | #その他 | GamesRadar+
ゲーム開発者がデータマイニングを完全に避けるのは難しい――。『Path of Exile』の共同制作者Chris Wilson氏は、過去に解析対策として偽のアセットを仕込んだ経験を振り返り、情報をかく乱する効果はあっても、開発時間を使う方法としては効率が悪かったと語りました。プレイヤーを驚かせる“いたずら”としては有効だったものの、開発現場の対策としては割に合わないという見方です。
偽アセットは解析者を惑わせるが、開発コストも生む
Wilson氏は自身のYouTubeチャンネルで、Grinding Gear Gamesで初期のアクションRPGを制作していた時期に、データマイニングへの対応に苦労した経験を詳しく説明しました。動画では、長年この問題を扱ってきた影響として、現在の白髪交じりのひげにも触れています。
同氏によると、開発者はデータマイニングによって発見される情報を完全になくすことはできません。ゲームの内部データを調べられること自体は、作品に強い関心が寄せられている証拠でもあります。一方で、データから取り出された要素には本来の文脈がなく、開発中止になった要素や将来の計画と、実際に導入される内容をプレイヤーが区別できないまま受け取るおそれがあります。
過去のWilson氏を含む一部の開発者は、解析された情報を信じてよいのか分からなくするため、実在しないデータやおとりのアセットをゲーム内に加えていたとのことです。しかしWilson氏は、この手法について「かなり無駄の多い工程です。ただ、からかうにはとてもいい方法でした」と説明しています。実際の開発項目を作るだけでも時間が必要ななか、さらに偽物まで用意することになるため、制作の効率という点では合理的ではありません。
事前の暗号化にも限界
Wilson氏は、データマイニングを抑える方法として、プレイヤー体験に不要なデータを自動的に削除する仕組みも挙げました。ゲームに含める情報を、その時点で実際に必要なものに限定すれば、削除済みのコンテンツや将来のアップデートを誤って予告するような状況を減らせます。これは偽アセットを追加するのではなく、そもそも不要な情報を残さないという考え方です。
暗号化も、発売前のゲームを保護する手段としては有効だとしています。ただし、発売後は購入したゲームをプレイヤーの環境で動かすため、必要なデータを復号できなければなりません。そのため、製品版として公開された後まで、暗号化だけで内部情報を隠し続けることはできないとのことです。発売前と発売後では、データを守れる条件が大きく異なります。
完全な防止より、情報を慎重に受け取る姿勢
データマイニングによる情報拡散を抑えることはできても、完全に防ぐのは非常に難しいとされています。特に人気シリーズでは、内部データから見つかった断片がコミュニティで急速に広まり、正式発表前の要素として受け止められてしまう可能性があります。
そのためWilson氏が最終的に重視するのは、発見された情報をそのまま確定事項として扱わないよう、コミュニティ側が慎重に受け止めることです。開発者が不要なデータを残さないようにし、必要に応じて暗号化や自動削除を使ったとしても、公開後の解析を完全に止めることはできません。偽アセットで解析者を翻弄する方法は、開発者にとって効率的ではない一方、コミュニティに冗談を仕込む手段としては楽しめる――というのが、長年この問題に向き合ってきた同氏の結論です。