『GTA 6』開発元をめぐる労働裁判の最終審理が開始へ
2026年09月08日 | #その他 | Eurogamer
『GTA 6』の発売を目前に控えるなか、開発元Rockstar Gamesと、解雇された元従業員31人をめぐる労働裁判が最終審理に入ります。組合活動を理由に不当に解雇・ブラックリスト化されたという申し立てについて、Rockstarが法廷で説明を迫られる重要な局面です。審理は2026年9月10日に始まり、10月16日まで続く予定です。
組合活動を理由にした解雇が争点
今回の訴えは、イギリスの労働組合Independent Workers Union of Great Britain(IWGB)が、所属する元従業員に代わって申し立てたものです。IWGBは、Rockstarが組合に関わったことを理由に従業員を「違法に」解雇し、その後の雇用にも影響する形でブラックリスト化したと主張しています。組合側は、解雇が不公正だったとの判断に加え、従業員の復職または補償を求めています。
Rockstarは今年初め、これらの申し立てを労働審判で扱わないよう求めていました。しかし、審判所はRockstar側の主張を退け、今回の最終審理へ進むことを認めています。結論が出れば、31人の元従業員が受ける救済だけでなく、ゲーム業界における組合活動と雇用主の対応をめぐる判断としても注目されます。
Rockstar側と元従業員側の主張
Rockstarは昨年10月、合計34人の従業員を「重大な職務上の不正行為」を理由に解雇しました。そのうち31人は、スコットランドにあるRockstar Northの従業員です。同社は、従業員たちがIWGBの非公開Discordチャンネルで会社について話し、秘密保持契約に違反したと説明しています。
一方、元従業員側は、Discordで話し合っていたのは給与や人事上の問題など、労働組合に関係する場で扱われる内容だったとしています。解雇は即時に行われ、対象者は建物から退出させられました。IWGBによると、オーストラリア出身の従業員1人は、Rockstarが就労ビザを取り消してイギリス内務省に報告したことで、オーストラリアへの帰国を余儀なくされたとされています。
元Rockstar従業員のJason Lewis氏は、これまでの状況について「ほぼ1年にわたり、何が起きたのかという真実はRockstarによって隠され、憶測に囲まれていました。ようやく事実を記録に残す機会を得ました」とコメントしています。Lewis氏によると、従業員たちは労働条件について話し合っただけで、仕事や収入、職場のコミュニティを失い、長年携わってきたゲームの完成を見届ける機会も奪われたとのことです。
社会的な波紋と政治家の反応
この解雇問題は広く報道され、抗議活動にも発展しました。イギリス議会でも取り上げられ、当時の首相Keir Starmer氏も見解を示しています。Starmer氏は「すべての労働者には労働組合に加入する権利があり、組合に加わったことで不公平な扱いを受けないよう、労働者の権利を強化する」と述べ、この件を深刻な問題として扱いました。
ゲーム業界の労働問題を取材してきたPeople Make Gamesも、Rockstar Northの従業員解雇について継続的に報じています。元従業員側は、発売を控えた本作の開発に何年も関わっていたにもかかわらず、完成直前にプロジェクトから排除されたと訴えています。Lewis氏は、今回の裁判について自分たちの救済だけでなく、組合を結成しようとする労働者を攻撃する雇用主に対して一線を引くための戦いだと位置づけています。
Rockstarをめぐる別のDiscord問題
Rockstarおよび親会社Take-Two InteractiveとDiscordの対立は、今回が初めてではありません。Take-Twoは現在、最近流出した本作のゲームプレイ映像に関して、Discordに保存されたユーザーの個人情報を開示させようと法的手続きを進めています。従業員の組合活動をめぐる非公開Discordの扱いと、流出映像をめぐる情報開示請求は別の問題ですが、両社がDiscord上の情報をめぐって法的措置を取っている点は共通しています。
解雇問題を受けて、Rockstar Game Workers Unionも発足し、規模を拡大しています。同組合は、会社が過度な長時間労働、いわゆるクランチを強制していること、ボーナスを労働者への圧力として利用していること、性別による賃金格差に対処していないことなど、複数の問題を新たに指摘しています。IWGBのAlex Marshall会長は、Rockstarが労働者の権利を侵害した責任から逃れようとしてきたと批判し、今回の審理で真相が明らかになることを期待しているとしています。