『GTA 6』初トレーラー公開時点では未完成、楽曲が開発の指針に
2026年09月09日 | #ゲーム紹介 | GamesRadar+
『GTA 6』の第1弾トレーラーは、主人公や舞台を紹介しただけでなく、開発チームが目指す作品の方向性を示す“指針”としても機能していたようです。Rockstar Northの共同スタジオ責任者Rob Nelson氏によると、トレーラー公開時点でゲーム全体はまだ完成形になっておらず、映像で使用されたTom Pettyの「Love is a Long Road」が、本作の雰囲気を固める重要な存在になったといいます。
トレーラー公開時点でゲームは「完全な形」ではなかった
第1弾トレーラーでは、主人公のLuciaや、後にJasonと確認された人物、Vice Cityを思わせる舞台の様子が描かれました。一方で、当時示されていた発売時期は2025年でした。現在まで長い待ち時間が続いていることもあり、トレーラー公開時点で本作がすでに完成形へ到達していたわけではない、という説明は、開発初期から中盤にかけての制作状況をうかがわせるものです。
Nelson氏はフランスのメディアTroisCouleursのインタビューで、新しいゲームを作り始める段階では、チーム全員が最初から同じ完成イメージを持っているとは限らないと説明しています。開発の出発点になるのは、ある風景のイメージである場合もあれば、チームが共通の感覚を持つための1曲である場合もあるとのことです。
本作の第1弾トレーラーで使われた「Love is a Long Road」について、Nelson氏は、まだゲームが完全に形になっていない段階での“ミッションステートメント”だったと説明しています。つまり、完成した内容を単に紹介するための楽曲ではなく、チームがこれから作品をまとめ上げていく際に、どのような感触を目指すのかを示す役割を担っていたということです。
Rockstarの制作では舞台を実際に体験する
Nelson氏によれば、Rockstarが新作の舞台を決めた後にまず行うのは、実際にその場所へ行くことです。現地を車で走り、周囲の雰囲気を感じ、写真を大量に撮影しながら、何がチームの興味を引くのかを探っていくとしています。
そのうえで、現地で得た印象をチーム内で共有し、ゲームに取り入れたい要素について話し合います。最初からすべてが明確に決まっているのではなく、場所のイメージや音楽など、いくつかの断片が徐々に結びつき、ゲームが目指す方向を形作っていく流れです。
Nelson氏は、制作の初期段階では、チームが追いかけているものが少し手の届かない場所にあるように感じることもあると話しています。しかし、そこに合う風景や音楽を見つけ、それらがうまく作用し始めることで、作品全体の感覚がまとまっていくとのことです。第1弾トレーラーも、その時点でチームが持っていた素材やアイデアを最大限に組み合わせたものだったとしています。
「Love is a Long Road」が示したもの
トレーラーでは、映像だけでなく楽曲の選択も大きな印象を残しました。原文筆者は、歌詞が映像内で明確に描かれていなかったLuciaとJasonの関係や、物語が向かう方向について、いくらかの手がかりを与えていたと指摘しています。
楽曲の存在によって、第1弾トレーラーは舞台や登場人物を見せる映像にとどまらず、本作がどのような感情や関係性を扱うのかを想像させるものになりました。Rockstar側もこの曲を制作上の刺激として利用していたのであれば、開発チームが作品を形にする際に重視した音楽を、ファンも同じ形で受け取っていたことになります。
Nelson氏の説明からは、トレーラーが必ずしも完成版の内容をそのまま切り出したものではなく、開発中の作品が目指す“感触”を先に伝えるためのものだったことが分かります。公開時点でゲームの全要素が固まっていなくても、その時点で用意できる最良の映像、音楽、アイデアをまとめることで、作品の方向性を示す役割を果たしたという位置づけです。
長期開発で風刺の題材を見極める難しさ
Rockstar側は本作における風刺の扱いについても、題材選びには注意が必要だとしています。Nelson氏は、社会には常に風刺できるものが存在する一方で、開発期間が長くなるほど、取り上げた題材が発売時には消えていたり、状況が変わっていたり、古く感じられたりする可能性があると説明しています。
本作の開発が11年に及ぶなかで、制作開始時には意味のあった出来事や流行が、完成時には別の状況になっていることも考えられます。そのため、風刺の対象を選ぶ際には、何を取り上げるのが適切かを慎重に判断しなければならないとのことです。今回のインタビューは、楽曲が作品の方向性を支えたという話に加え、長期開発ならではの制作上の難しさも示しています。