『GTA 6』元開発者31人の解雇をめぐる最終審理がスコットランドで開始
2026年09月10日 | #その他 | Eurogamer
『GTA 6』の開発に携わっていた元Rockstar Games従業員31人の解雇をめぐる雇用審判が、スコットランドで最終審理に入りました。審理に先立ち、労働組合や元従業員らが会場前で集会を開き、解雇が組合結成を阻止するためのものだったのか、それとも会社側が主張する重大な不正行為に基づくものだったのかが、今後およそ5週間にわたって争われます。審理の終了時期は、本作の11月19日の発売予定日に近い時期となる見通しです。
元従業員らが会場前で抗議
集会が行われたのは、審理の会場となっているグラスゴー・トリビューナルズ・センターの前です。IWGBの組合旗や手製のプラカードが掲げられ、「組合つぶしは不快だ」「Rockstarの労働者への敬意が見つかりません」といったスローガンが示されたと、SNS上で共有された画像や動画が伝えています。
今回の活動は、ゲームのボイコットを呼びかけるものではありません。解雇された従業員らの訴えを支えるため、可能な場合にはクラウドファンディングへの協力を求める内容です。集会では、解雇された元Rockstar従業員のRachel Crawford氏が、職場における恐怖と沈黙をテーマにしたスピーチを行いました。
Crawford氏は、現代の職場は「声を上げること、罰せられること、職を失って生活や住まいを失うことへの恐怖によって動いている」と語ったと、IWGB Game Workersの共同創設者Austin Kelmore氏が記録した映像で伝えています。さらに、2025年10月30日に警告も明確な説明もないまま解雇され、何を理由に処分されたのか分からない状態で職場を追われたと説明しました。
同氏によれば、解雇直後は屈辱と恥を感じ、その日の出来事を何度も思い返しながら、自分が何をすべきだったのかを考え続けてきたとのことです。また、以前の同僚たちも、話しかけることや目を合わせることさえ恐れているように見え、声を上げた人々からも「何かを止めたり、起きたことを取り消したりする力がない」と感じていたと聞いたとしています。
Crawford氏は、恐怖は人の考え方や心、将来の見通しを狭め、人を小さく、悲しく、無力な存在にしてしまうとしたうえで、今回の審理を恐怖に立ち向かう機会だと位置づけました。今後5週間、沈黙させられることを拒み、事実を語り、より良いゲーム業界を求めると表明しています。元同僚の一部が組合活動に加わり、組合の承認や労働者の保護、発言力を求めていることにも触れ、「組合は私たちを強くする」と訴えました。
解雇理由をめぐる双方の主張
今回の審理では、Rockstar Gamesが31人を違法に解雇し、さらにブラックリスト化したのかが焦点になります。IWGBは、対象となった従業員が組合を結成しようとしていたため、会社が彼らを解雇したと主張しています。組合は、労働者が組織化する権利を行使したことへの報復にあたると訴え、解雇は不当だったとの判断を審判に求めています。
一方、Rockstar Gamesは、解雇理由は「重大な不正行為」だったと説明しています。会社側は、従業員がIWGBのDiscordサーバー上で機密情報を共有したことを問題視したとしています。Rockstarは今年初め、今回の訴えを審理に進めないよう求めていましたが、その試みは通らず、今回の最終審理で双方の主張が詳しく検討されることになりました。
解雇された従業員側は、職場への復帰、または補償を求めています。加えて、審判が解雇を不公平なものだったと認定することも要求しています。審判が従業員側の主張を認めれば、Rockstar Games内で正式な組合代表を認める動きにつながる可能性があり、イギリスのゲーム業界全体にとっても大きな意味を持つとされています。
イギリスのゲーム業界にも広がる問題
この問題は、単なる一企業内の雇用紛争にとどまらず、イギリス国内で広く注目されています。議会でも取り上げられ、当時の首相Keir Starmer氏もこの件を「非常に憂慮すべき問題」と表現したとのことです。
また、昨年の解雇を受けてRockstar Game Workersという組織も発足しています。同組織は今回の解雇だけでなく、長時間労働、男女間の賃金格差、ボーナス支給を圧力として利用しているとの疑念についても、会社に対する主張を示しています。これらの問題が今回の審理でどこまで扱われるかは原文では明らかにされていませんが、労働環境をめぐる議論が会社の外へ広がっていることは確かです。
審理は約5週間に及ぶ見込みで、結論が発売予定日に近い時期まで持ち越される可能性があります。従業員側が勝訴すれば、Rockstar Gamesにおける組合の公式な承認に向けた歴史的な一歩となるだけでなく、イギリスのゲーム開発現場で労働者が組合を通じて代表される仕組みにも影響を与える可能性があります。