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『Fire Emblem: Fortune’s Weave』恋愛や性を曖昧にせず描く姿勢がシリーズの新たな魅力に

2026年09月22日 | #レビュー | Polygon

『Fire Emblem: Fortune’s Weave』恋愛や性を曖昧にせず描く姿勢がシリーズの新たな魅力に

恋愛要素を前面に押し出した作品でありながら、最終的なカップリングやペアエンディングを用意しない――『Fire Emblem: Fortune’s Weave』は、登場人物たちが恋愛や性について率直に語ることで、シリーズの人間関係をこれまでとは異なる形で描いています。原文筆者は、プレイ中のLedaルートで、登場人物が恋にまつわる欲望や危険、失敗を隠さず話す姿勢に注目しています。

恋愛を「成立するかどうか」だけで描かない

『Fire Emblem: Three Houses』では、学校を舞台にした設定と人間関係の構築が多くのファンの創作意欲を刺激し、キャラクター同士の恋愛関係を想像する余地も大きな話題になりました。一方、本作には専用の恋愛システムや、特定の相手と結ばれるペアエンディングは存在しないとのことです。それでも、登場人物たちは恋愛や性的な関係について、従来のシリーズ作品よりも踏み込んだ言葉を交わします。

原文筆者が現在プレイしているのは、亡き父の仇討ちを目指すLedaのルートです。追放された貴族であり、現在は酒場で踊り子として働くLedaは、酒場に集まる軽薄で評判の悪い男たちや、過去に関わった相手についてたびたび言及します。また、同年代や年下の女性キャラクターに対して、男性から狙われる危険があるため、1人で旅をしないよう繰り返し忠告します。酒場で働き、そうした男たちを知っているLedaだからこそ語れる現実的な警告として描かれているようです。

その一方で、Ledaは自分の女性らしさを否定していません。他人の美しさを褒め、男性の目を引く方法について助言する場面もあります。幼なじみであり、かつてのライバルでもあるOlympiaとの支援会話では、Ledaが彼女に「恋人にならないか」と持ちかける場面も登場します。これは冗談ですが、女性同士の恋愛そのものを奇妙なものとして笑いにしているわけではありません。Ledaにとっては、恋愛への執着とライバル意識が表裏一体であり、相手が女性であることは本質的な違いになっていない、と原文筆者は受け止めています。

過去のシリーズ作品であれば、Ledaのような人物は恋愛に疎い純粋な女性として描かれていた可能性があります。しかし本作では、恋愛経験や異性への警戒心を持ちながら、他人の魅力や恋心も肯定するキャラクターとして描かれています。この単純化を避けた人物像が、原文筆者にとって新鮮な点です。

Siroccoは奔放さを隠さない魔術師

Ledaの復讐の旅に同行する魔術師兼寺院の従者Siroccoも、恋愛や性的な関係を遠回しに扱わない本作の姿勢を象徴する人物です。Siroccoは美しい女性たちと「同じベッドで過ごす」ことを頻繁に話題にし、相手を褒める言葉も惜しみません。原文筆者は、彼を『Fire Emblem: Three Houses』のSylvainよりさらに10倍ほど軽薄な人物だと表現しています。

ただし、Siroccoは誰かに偽の恋人らしい態度を見せて期待させるタイプではありません。彼の関係は砂漠の風のように一時的で、本人も長続きする関係を求めていないとされます。仲間たちは彼の奔放さに呆れたり、皮肉を言ったりしますが、Sirocco自身はそれを恥じたり、たしなめられて態度を改めたりしません。自分が女性好きで、いわゆる能天気な色男であることを誇りにし、そのままでいようとするキャラクターです。

この描写では、奔放な恋愛をする人物を、最終的に反省させたり、実は純情だったと明かしたりする必要がありません。周囲からのツッコミはあるものの、彼の恋愛観がただちに否定されるわけではなく、本人の性格の一部として扱われています。恋愛をする人物を善悪や純潔の基準だけで評価しない点も、本作の特徴といえます。

Muの性別表現も説明を押しつけない

Ledaの仲間には、男性として振る舞っている若い女性Muもいます。Ledaによれば、Muが男性の姿で旅をするのは、そのほうが安全だからです。ところがSiroccoは早い段階でMuの正体に気づきます。Muは、正体を知られたことでSiroccoから口説かれるのではないかと慌てますが、Siroccoは「誤解しないでほしい。私は年上の女性が好みだ」と返します。

原文筆者が特に評価しているのは、少なくともここまでの展開では、Muのために女性らしい服装へ着替える変身場面や、外見を整えて本来の性別を取り戻すような展開が描かれていないことです。Muは女性でありながら男性の服装や立場で行動し、周囲もそれを過剰に問題視しません。女性が男性として旅をする設定自体はRPGで珍しくありませんが、本作ではその設定を恋愛や外見の劇的な変化に回収せず、自然に扱っていると原文筆者は見ています。

もっとも、原文筆者が確認できているのはLedaルートの序盤に限られます。今後、Muの扱いが変化する可能性までは判断できないものの、少なくとも現時点では、彼女を「本当は女性らしくあるべき人物」として矯正する方向には進んでいません。

他ルートにも通じる率直な恋愛描写

原文筆者はまだ残る3つのルートをプレイしていませんが、恋愛をはっきり言葉にする方針は、ほかの物語にも引き継がれているようだとしています。Ledaの仲間として加入したEsmeraldaは、Deitrichルートの主要人物です。彼女はLedaとの支援会話で、思いを寄せるDeitrichを振り向かせる方法について相談し、「恋人」や「運命の相手」なのかを曖昧にしたまま話を進めるのではなく、彼に夢中になっていることを隠しません。

『Fire Emblem: Three Houses』では、多くの関係が明確な結論を避けて描かれたため、理論上はさまざまな2人を組み合わせて考えることができました。それに対して本作のEsmeraldaは、Deitrichへの気持ちを自分から具体的に語り、恋愛の行方を「2人は結ばれるのか」といった曖昧さだけに委ねていません。

恋愛を扱うゲームでは、関係が進展するかどうかを長く引っ張る展開が多いなか、本作の人物たちは恋に落ちること、その危うさ、相手への執着まで正面から口にします。ペアエンディングの有無とは別に、キャラクター自身が何を望み、誰に惹かれ、どのような関係を求めているのかを明確にする。その率直さこそが、原文筆者が本作を評価しているポイントです。