『ファイアーエムブレム』には物語でもっと描いてほしい人物が10人いる
2026年09月30日 | #ゲーム紹介 | DualShockers
『ファイアーエムブレム』シリーズから、ゲーム内で十分に掘り下げられなかったと感じられる10人を紹介します。物語の重大なネタバレを含みます。
物語でもっと描いてほしかった10人
10位:ジル(暁の女神)
ジルは、物語の序盤では敵として登場するデインの竜騎士です。やがて仲間になり、デインのプロパガンダや、父親への複雑な忠誠心が明らかになります。
しかし、ジルの心の変化は駆け足で描かれます。育った環境で信じてきたことからどう抜け出そうとするのか、十分に見届けられません。父親と戦う場面では、ジルとの支援関係を築いていないと、父の側へ寝返る可能性もあります。その場合、戦闘でジルを倒さなければならず、悲劇的な展開になります。父親から与えられた役割を乗り越えていく道のりを、もっと追いたかった人物です。
9位:シャミア(風花雪月)
シャミアは、仲間になる人物の中でも物語との結びつきが薄いキャラクターです。設定には興味を引かれる点があるものの、本編では発言や活躍がほとんどありません。
物語が始まる前、シャミアはダグザの傭兵でした。大司教レアに迎えられてセイロス騎士団に加わり、レアに恩義を感じています。傭兵としてレアのもとで働く主人公と似た立場にありながら、その理由は異なります。教会やレアをめぐる真実が明らかになるにつれ、シャミアの思いにも複雑さが生まれます。
仲間が多いことで出番が限られ、物語への貢献もあまりありません。弓兵が必要なら頼れる一方、それ以外の面では戦場に連れていく理由を見つけにくいキャラクターです。部外者の視点から物語を見つめる役割を、もっと担ってほしかったところです。
8位:ゼロ(if)
王族と、血のつながりを超えて選ぶ家族を描くifで、ゼロは社会の底辺で生きてきた人々を象徴する人物です。盗賊として育った過去をほのめかしますが、その経験が本編で掘り下げられることはほとんどありません。身の上が語られるのも主に支援会話で、メインストーリーにはあまり影響しません。
暗夜王国ルートでは、ノスフェラトゥを内側から改革しようとします。ゼロが庶民の暮らしを考える役割を担えば、改革に厚みを加えられたはずです。しかし、物語では脇役にとどまります。一方で、シリーズでも早い時期に同性恋愛の相手として選べる人物の1人です。
7位:ステファン(蒼炎の軌跡、暁の女神)
謎めいた剣士ステファンは、特殊な条件を満たすと仲間になります。その加入方法は印象的ですが、彼の背景や登場の意味は、物語の中でほとんど広げられません。
ステファンは、ベオクとラグズの間に生まれ、体に印がある「印付き」です。そのため孤独に暮らしており、彼を仲間にするには通常とは異なる手順が必要です。
ベオクとラグズの対立が世界の大きな軸であるだけに、ステファン自身がその問題をどう見ているのか、もっと知りたくなります。仲間の印付きともほとんど交流せず、寡黙なまま終わるのも惜しいところです。
6位:ディートリヒ(Fortune's Weave)
Fortune's Weaveに登場する4人のフレイムロードのうち、ディートリヒは特に描写が少ない人物です。ほかの3人と比べても動機は単純で、英雄の競技会で強敵と戦うことを望んでいます。ゲームでも、強敵を倒すほど強力なスキルを習得します。
彼が剣士として最強を目指すのは、かつて海の怪物にあっさり敗れた経験がきっかけです。ただ、その背景以外には、彼の行動を支えるものがあまり描かれません。なぜ最強でないことを恐れるのか、どんな価値観を持つのか、貴族の立場を捨てたことが家に何をもたらすのか。主要人物の1人として、そうした物語も掘り下げてほしかったところです。
5位:ルキノ(蒼炎の軌跡、暁の女神)
ルキノはクリミアの騎士で、王女エリンシアを守る有能な護衛であり、親しい友人でもあります。主君に無批判に従う騎士が多い中、ルキノはエリンシアが消極的すぎたり、民の利益を譲ったりすると、ためらわずに批判します。
暁の女神では、エリンシアが王位を退かなければ処刑すると脅され、ルキノは捕らえられます。エリンシアは考えた末に退位を拒み、ルキノには見せしめの公開処刑が言い渡されます。そこへアイクたちが駆けつけ、反乱軍を倒してルキノを救います。
エリンシアの指導者としての覚悟を試す劇的な場面ですが、ルキノとエリンシアの関係に大きな変化は起きません。親友であり主君でもあるエリンシアが自分の処刑を受け入れたことについて、ルキノ自身がどう感じたのかも、ほとんど描かれません。
4位:ドゥドゥー(風花雪月)
ドゥドゥーは各学級の従者の中でも興味深い人物ですが、その可能性を十分に生かしきれていません。ダスカーの悲劇はディミトリとドゥドゥーの人生を大きく変えた重要な出来事です。しかし、青獅子の学級のルートを選ばないと、この背景を見逃すことがあります。
ドゥドゥーはディミトリにすべてを捧げる一方、青獅子の学級では主君を支えるだけの存在になりがちです。フェリクスとの支援会話では、自分で考えることが苦手な様子が描かれ、時間経過後のディミトリの変化も予感させます。ドゥドゥー自身の成長につながる展開が期待されますが、その決着は描かれません。
また、ドゥドゥーはダスカーの人々に向けられた偏見を内面化し、ファーガス王の死をめぐる自国民への扱いを当然のことのように受け止めています。それでも、悲劇を彼自身がどう経験したのかは明らかになりません。多くのルートでは、ディミトリを守れず命を落とす役回りにとどまり、悲劇性が際立っています。
3位:レオニー(風花雪月)
レオニーは、風花雪月で特に可能性を生かしきれなかった人物の1人です。主人公の父ジェラルトに弟子入りしており、そのことを何度も口にします。父の弟子という設定から、主人公とのライバル関係や兄弟姉妹のような絆が描かれそうですが、実際には軽く触れられるだけです。
ジェラルトを尊敬する理由もほとんど掘り下げられず、弟子であること以外に、レオニーを形作る要素が少なく感じられます。故郷の村人たちが修道院への学費を出し合ったという過去はありますが、ジェラルト以外の人物や場所との結びつきは薄いままです。金鹿の学級でも明確な役割を見つけにくく、もっと丁寧な描写がほしかったところです。
2位:クリムゾン(if)
クリムゾンはifの中でも見過ごされがちな人物ですが、シリーズを代表するキャラクターになる可能性がありました。シュヴァリエの反乱軍を率い、ノスフェラトゥ王国の支配に抵抗する彼女は、従者というより対等な立場の人物として主人公たちと関わります。ただし、ルートによっては厳しい結末を迎えます。
暗夜王国ルートでは、ノスフェラトゥの改革を目指す中、第13章の終わりに主人公の意に反して殺されます。改革後のノスフェラトゥが認められるに足る国かを問い続ける、政治的なライバルとして再登場できたかもしれません。
透魔王国ルートでは、深淵の谷を進む途中で、待ち伏せから主人公を守って命を落とします。主人公と結婚していた場合は特に悲しい展開ですが、物語はその死を悼む時間をほとんど与えず、恋愛の結末としても物足りません。さらに後にアンデッドの敵として現れ、戦闘で倒すことになります。結婚相手だった場合も、安らかに眠らせる場面に特別な会話がなく、見逃せない機会損失になっています。
1位:ヒューベルト(風花雪月)
ヒューベルトは、初登場から主人公の敵対者として描かれます。いかにも策略家の側近という風貌で、エーデルガルトを取り巻く勢力や、彼らが物事に及ぼす影響を鋭く見抜いています。それでも主君を信じ続けるところが、人物としての興味深さにつながっています。
しかし、エーデルガルトと一体になって行動するため、主人公に敵意を見せないのは黒鷲の学級ルートだけです。そのルートでも、動機はエーデルガルトへの献身にとどまり、人物像の広がりは限られています。
闇に蠢く者たちとの関係を深めたり、物語後半で彼らを倒すうえで重要な役割を担ったりする展開も考えられたはずです。実際には後半で存在感が薄れ、助言役のまま物語への貢献が少なくなってしまいます。