『Castlevania: Belmont’s Curse』レビュー、移動にも使えるムチが戦闘と探索に新たな躍動感をもたらします
2026年10月15日 | #レビュー | Xbox Wire EN
『Castlevania: Belmont’s Curse』は、シリーズの見事な復活を印象づける作品です。Dead Cells譲りの滑らかで素早いアクションを、緻密に構成された固定マップで存分に楽しめることが、評価を決める大きな理由となっています。シリーズに影響を受けた優れた作品が数多く登場するなかでも、その存在感は際立っています。
新世代のベルモンドが受け継ぐ探索と戦い
シモン・ベルモンドの初登場から40年、最後のオリジナル2D作品から18年。今回、伝説のムチを受け継ぐのはローズ・ベルモンドです。舞台は1499年のパリ。街を脅かす謎の邪悪な存在に対処するため、司教に呼ばれたトレバー・ベルモンドと娘のローズが訪れます。
トレバーの役割は、実力を備えた娘に使命とムチを託すことです。ローズは、秘密に満ちた広大なマップを探索し、特殊能力を集め、さまざまな怪物と戦うという一族の仕事を引き継ぎます。両親のトレバーとサイファ・ヴェルナンデスは、Netflixのアニメ版でもおなじみの人物です。
この世代交代は、開発体制にも重なります。本作は、KONAMIがEvil Empireと協力して開発した初の2Dシリーズ作品です。Evil Empireは、Dead Cellsの開発元Motion Twinから独立し、同作のアップデートやDLCを手がけてきたスタジオで、Motion Twinも本作に助言を行っています。
2018年のDead Cellsは、シリーズの仕組みに、ランダム生成されたステージへ繰り返し挑む構造を組み合わせた作品でした。自動生成によって探索の手応えが薄れる部分はあったものの、豊かなピクセルアートの動きと、驚くほど滑らかで高速なアクションがそれを補っていました。本作はその美術と操作感を土台に、固定された世界を築くことで、作品全体としてのまとまりを生み出しています。
鮮烈な映像と、危険へ飛び込むムチのアクション
冒頭で2人を迎えるのは、鮮やかな赤紫色の炎に包まれたパリです。その光景は、すぐに心をつかみます。Dead Cellsが3Dアニメーションをピクセルアートのスプライトへ変換していたのに対し、本作はセルシェーディングによって3Dモデルを絵のような2Dの質感に見せています。その仕上がりは実に美しいものです。
特に印象的なのが、暗い部屋の窓際にいるゾンビでした。逆光の中では赤い縁取りをまとったシルエットに見え、近づくにつれて姿がはっきりしていきます。シリーズが持つ独創的な敵や背景のデザインを、鮮烈で個性的な映像表現がさらに引き立てています。おなじみの怪物や人物に加え、意外なフランスの歴史上の人物も登場し、ゲームと開発スタジオの双方に縁のある舞台を彩ります。
アクションも、シリーズ最高水準の出来です。ローズが扱える武器は、長剣、ムチ、ガントレット、槍、大剣、剣と盾、双剣の7種類。それぞれに固有の技があり、使い方を身につける楽しさがあります。Dead Cellsと同様、敵の攻撃には分かりやすい予兆があるため、動きを覚えて先を読むほど上達を実感できます。パリィも加わり、シリーズ定番の敵との戦いにも新たな駆け引きが生まれています。メトロイド ドレッドで感じられたような、昔からの戦闘を活性化する手応えがあります。
象徴的なムチは、攻撃だけでなく移動にも使います。各所のリングに引っかけてスイングしたり、素早く飛びついたりできるほか、敵へ直接引っかけ、その懐へ飛び込んで強力な攻撃を放つことも可能です。これによって、戦闘も足場を渡るアクションも、過去作よりはるかに躍動的になっています。
ローズは、繰り返し発生するアリーナ戦の冒頭で「ここに閉じ込められたのは、私と一緒にいるあんたたちの方よ」といった強気な言葉を口にします。その自信は、危険へためらわず飛び込む攻撃的なプレイ感にぴったりです。
こうした仕組みが最も輝くのが、壮観なボス戦です。技量を厳しく試されますが、勝利したときの満足感は格別です。最初のボスから予想以上に容赦がなく、倒すために相当な集中を求められた点には少し驚かされました。それでも、不公平だとは感じません。最初は不可能に思えた相手の仕掛けを理解し、渡り合えるようになる過程には、いつも興奮があります。特に中盤のあるボスは、近年でも指折りの苦労と高揚感を伴う勝利になりました。
ボスの力と人物像を引き継ぐアルカナ
ボスを倒すことは、もう1つの中核となる仕組み、亡き母サイファから託されたタロットのアルカナにもつながります。ボスの撃破や、特定の謎解き・課題の達成によって、対応するアルカナの魔法を獲得します。新しい能力には、その力を得た相手とのつながりがあり、単なる機能の追加にとどまらない味わいがあります。伝統的な22枚の大アルカナにはない独自の象徴を、タロット風のカードに仕立てている点も魅力です。
魔法の強化には「Works of Mercy」という仕組みを使います。各アルカナには2~3個の達成目標があり、特定の方法で魔法を使ったり、世界の中で別の行いを成し遂げたりすると、強化に使えるポイントが手に入ります。例えば、十字架型のブーメランをもう1つ投げられるようになります。達成目標がゲームへの深い関わりを促し、その成果を成長へ結びつける、巧みな仕組みです。
ボスをカードに取り込むことには、物語上の意味もあります。ローズはその魂をドラキュラの影響から解放し、以後は頭の中で声を聞けるようになります。感謝して協力する者もいれば、主にローズをからかう者もいます。倒したボスたちが、その後の冒険に口を挟む役として残るのは楽しく、人物像を掘り下げる機会にもなっています。
声の演技も全編を通して魅力的です。演者たちはシリーズにふさわしい大仰さを心得ており、芝居がかったやり取りを存分に楽しめます。
また、アルカナには、ボスの居場所を探す手がかりを集める役割もあります。霊や彫像から聞いた城内の噂が蓄積され、探索の指針になります。手当たり次第にマップの隅を調べる展開に陥りがちなジャンルに、目的と道筋を与えている点が優れています。
同時に、その噂はボスがどんな人物で、何をしてきたのかを伝えます。出会う前から期待が高まり、探索中に偶然遭遇するだけの相手よりも、世界とのつながりを感じられます。各アルカナのWorks of Mercyをすべて達成すると短い会話が発生し、その人物の物語にも区切りがつきます。
探索を支える配慮と、試しやすい装備構成
マップの各エリアは、音楽、映像、独自の仕掛けや環境を使った謎解きによって、明確に描き分けられています。仕掛けもその場所の特徴と結びついており、探索する楽しさがあります。レビュー時点でも、各エリアの達成率に残ったわずかな数%を埋めるため、見つけにくい最後の秘密を追い続けています。
隅々まで調べたくなるのは、現代的な遊びやすさへの配慮が行き届いているからでもあります。マップのピンは最初から使え、進行すると移動手段も複数増えていきます。ジャンルの核となる難しさを保ちつつ、不要な手間を減らしています。
武器と魔法に加えて、装備構成を支えるのが3枠のレリックです。Hollow Knight以降、このジャンルで定着したように、限られた枠へ効果を組み合わせることで、さまざまな戦い方を支えます。特に便利なのは、ポーズ中ならレリック、武器、魔法をいつでも変更できることです。状況に応じた試行錯誤を後押ししてくれます。難しい足場のアクションに繰り返し挑む場面では、罠から受けるダメージを75%減らす効果が大いに役立ちました。
こうした配慮の積み重ねから、最も近い印象を受けたのは、十分に評価されていないプリンス オブ ペルシャ 失われた王冠です。ジャンルが蓄積してきた工夫を丁寧に取り入れている点が共通しますが、本作にはさらに力強く、一貫して形にされた創作上の方向性があります。
主人公ローズと同じく、『Castlevania: Belmont’s Curse』は豊かな伝統を受け継ぐにふさわしい作品です。受け継いだ長所に、若々しい勢いと独自の表現を加えています。自らが発展に貢献したジャンルの最良の作品群に並ぶだけの力があり、シリーズの新たな時代の始まりであってほしいと思わせます。
本作は10月15日にXbox Series X|SとXbox on PCで発売されます。Xbox Play Anywhereに対応し、追加費用なしでコンソールとPCの両方でプレイできます。