『Stupid Never Dies』レビュー、良作の域を出ないものの、PS3時代を思わせる奇妙なアクションとして試す価値あり
2026年10月23日 | #レビュー | VGC (review)
『Stupid Never Dies』は、ローグライクアクションとしてあらゆる要素が「悪くない」水準にまとまっている一方、それを超える決定打に欠ける作品です。ただし、大作中心の現在では珍しい風変わりな作りが魅力で、レビュー筆者は「試してみる価値はある」と評価しています。スコアは示されていません。
本作は、15年前のゲームを思い出させるような作品だと筆者は述べています。説明されても、数年後には名前を思い出せないかもしれない「カルト的な隠れた名作候補」という印象です。
ゾンビのDavyが魔法のトイレを下るローグライク
プレイヤーが操作するのは、地元のモールを永遠にさまようよう運命づけられたゾンビのDavyです。マッドサイエンティストに誘われ、魔法のトイレから地下へ降りて大量の悪魔と戦い、世界を終わらせかねない大災厄を食い止めることになります。その合間には、冷凍庫に入っている恋人を解凍するため、たびたび様子を見に行きます。
ゲームの流れは、地下迷宮の階層を降りながら敵を倒していくものです。各回には制限時間があり、時間切れになると最初に戻されます。また、ボスの撃破やアイテムの回収といった目的が設定されており、そのストーリー上の区切りに達した場合も最初に戻ります。後半の探索では複数の階層を一気に飛ばせるため、1回の探索は長くならず、新鮮さが保たれているとのことです。
選択肢の多さがもたらす飽きにくさ
戦闘そのものは平凡だと筆者は見ています。ただ、選択肢が絶え間なく提示されるため、基本の動きに飽きる前に次の要素が現れ、自分の気に入ったビルドに絞り込むのも難しいほどです。
Davyはエリート敵を食べるとその敵に変身できます。たとえば人狼を倒せば、以降3階層は人狼の能力を使えます。変身できる能力の数は意外なほど多く、最終ボス直前まで新しいものが登場します。
一方、「Stupid Parry」と名付けられたパリィは、ほとんど成功しないという点で名前どおりだと筆者は指摘しています。パリィがあるから付けただけのように感じられ、終盤では強力な能力のおかげで、パリィをするとかえって動きが遅くなったそうです。一般の敵を噛んで体力を回復する手段もありますが、役立つのは序盤だけで、終盤は力が圧倒的になり、ゴールまで100メートル走のように駆け抜ける状態になります。
次々に与えられる報酬と、効果の薄い強化
本作は常にプレイヤーを前へ進ませようとします。レベルアップは頻繁で、最初の階層を出る頃にはレベル30に達します。数階層ごとに得られる一時的な能力強化「スキルステッカー」も大量に増え、画面の隅が使い物にならなくなるほどです。
モールに戻るたびに、10人の住人と会話でき、それぞれから能力をわずかに上げるアイテムをもらえます。しかし上昇幅は小さく、この要素をまったく無視しても違いに気づく人は多くないのではないか、と筆者は疑問を呈しています。数字が増えるのを眺めるだけの画面に感じられ、満足感を与える仕掛けがお菓子のように次々と出てくるという評価です。
この慌ただしいペースは、速度を緩めれば見せかけが剥がれてしまうという開発側の自覚かもしれないと筆者は推測しつつ、効果的ではあると認めています。モールでも新しい店が次々に開き、それぞれに何ページ分もの目的と報酬が用意されています。筆者はこれを、近年の大作ゲームに感じる停滞感への口直しだと表現しています。
突き抜けた要素はないが、こうした作品は必要
最大の問題は、本作が「良い」というラインを超えないことだと筆者は述べます。ストーリーのばかばかしさを除けば、ほぼすべての要素が悪くない出来ですが、心をつかむものはありません。長年コスプレされそうな象徴的なキャラクターは見当たらず、音楽も耳に残るほどではなく、見た目は楽しいものの、あちこちに明らかな影響元が見つかるそうです。
それでも筆者は、こうした作品は業界に必要だと考えています。現代の名作を手がけた開発者たちも、過去にはこのような作品で腕を磨いてから傑作に至っており、本作が愛されるシリーズになるとは思わないものの、土台には将来性があるとしています。
開発のGPTRACK50は、カプコン出身者と新人で構成されたスタジオです。筆者は、本作を初期のXbox 360時代にカプコンが作っていたようなタイプのゲームだと見ています。何かに挑戦した作品は、すべてが完璧でなくても開発者を切り捨てる理由にはならないと述べ、そうでなければ似たようなエクストラクションシューターばかりになってしまうと指摘しています。
結論
『Stupid Never Dies』は、飛び抜けた要素こそないものの、時間を無駄にさせない風変わりなアクションです。物語は極めて薄いものの、トイレに潜って怪物と戦い、モールに戻って強化を重ねるという繰り返しが成立しています。筆者は本作が「素晴らしい」とは言わない一方、「遊んでみるべきか」には「そう思う」と答え、GPTRACK50の次回作が発表されたら注目すると述べています。2009年に出ていれば、「遊ばれなかったPS3のカルトクラシック10選」に名前が挙がっていただろう、というのが筆者の見立てです。