BioWare閉鎖を受けて始まった「#SaveMassEffect」署名運動、20万人超が賛同し『The Expanse』復活の前例に重ねる声も
EAは10月21日、設立から30年を迎えたRPG開発会社BioWareの閉鎖を正式に発表しました。これにより『Mass Effect』シリーズの新作は行き場を失った状態ですが、ファンの間ではゲームの存続を求める「#SaveMassEffect」運動が広がっています。Polygonは、成功の可能性は低いとしながらも、過去に似た経緯で復活した作品があると伝えています。
署名は20万人超、声優や開発元も支持
運動は週末にかけて大きな関心を集めました。主人公シェパード司令官の女性版と男性版をそれぞれ演じるジェニファー・ヘイル氏とマーク・ミーア氏が、署名への参加を呼びかけています。『The Expanse』が過去にファンの声で救われたことに触れたOwlcat Gamesも、同様に署名を呼びかけました。Kotakuによると、タイムズスクエアにはこの運動に関する広告看板も掲出されています。Polygonの執筆時点で、署名は20万人を超えています。
閉鎖後にリークされた新作『Mass Effect: Universe』
『Mass Effect』は、この10年で波乱の道をたどってきました。2010年代初頭のオリジナル3部作は、作り込まれたSF世界、魅力的なキャラクター、プレイヤーの選択を重視した作りにより、宇宙オペラRPGの傑作の一つとして評価されています。2017年のスピンオフ『Mass Effect: Andromeda』は評価が割れ、アクションは好評だったものの、物語やキャラクターは本編ほど受け入れられませんでした。その後まもなく、EAはシリーズを事実上凍結しています。
BioWareは2020年に新作の開発を明らかにし、その後も断続的に情報を出していました。初期の宣伝素材には、『Andromeda』と3部作をつなぐ内容を示唆するものもあったとのことです。BioWare閉鎖の直後には、次回作『Mass Effect: Universe』のトレーラーがオンラインにリークされました。本編3部作の600年後を舞台とし、シリーズからの大きな転換が示されていたとされます。制作を知る複数の関係者は、「宇宙版のジェームズ・ボンドとジョン・ウィックを合わせたような作品」と表現したそうです。リークされた映像が出回ったことで、ファンにとっては中止の痛みがいっそう強まったと記事は述べています。
前例として挙げられる『The Expanse』
記事の筆者は、この状況が早すぎる打ち切りからファンの声で復活したSF作品『The Expanse』と重なると指摘しています。ジェームズ・S・A・コーリィ氏の小説を原作とする同作は、人類が太陽系に進出した近未来を舞台にしています。ファンタジーに近いSF設定や生物よりも、惑星間国家の政治的緊張を軸にした地に足のついた宇宙オペラとして支持を集めました。
SyFyは2018年、3シーズンで同作のテレビドラマ化を打ち切りました。ファンはすぐに「#SaveTheExpanse」運動を展開し、実際の宇宙飛行士やジョージ・R・R・マーティン氏もSNSで復活を訴えました。数か月後にAmazonが番組を引き継ぎ、Prime Videoでさらに3シーズンが配信されています。復活は創設者のジェフ・ベゾス氏が自ら発表し、同氏がファンだったと報じられています。2023年にはTelltale Gamesが前日譚のゲームを発売しました。Owlcat Gamesは来年発売予定の三人称視点アクションRPG『The Expanse: Osiris Reborn』を開発中です。
SaveTheExpanseの署名数は、最終的に13万8420件でした。
必要な費用の試算と、最大の障壁
筆者は、ゲームとテレビドラマという違いはあるとしたうえで、『Mass Effect: Universe』を完成させるための費用を概算しています。Glassdoorの数字では、BioWareの拠点だったカナダ・アルバータ州エドモントンのゲーム開発者の平均年収は約7万カナダドル(約4万9857米ドル)です。Bloombergは閉鎖時の従業員数を約50人と報じています。未確認の報道では、BioWareは2028年の発売を目標にしていたとされ、あと2年の開発期間が必要になります。
これらを合わせると人件費などの固定費は約500万ドルとなり、出演者の一人によれば、SyFy時代の『The Expanse』1話あたりの制作費に近い額です。Amazonがシーズン4から6の制作費を公表したことはありませんが、SyFy時代とPrime Video時代では制作の質が目に見えて上がったと筆者は書いています。
ただし、この概算には計画を止めかねない大きな要素が含まれていません。#SaveTheExpanseの署名でも指摘されていたように、Amazonは番組を引き継いだ時点で、すでに米国での配信権を持っていました。一方、『Mass Effect: Universe』の権利はEAが握っています。EAがライセンスも売却も望まなければ、外部にできることはほとんどありません。
もっとも、『Mass Effect』の知的財産がライセンスと無縁というわけではありません。BioWareが閉鎖されても、『Mass Effect』を原作とするドラマは引き続き制作が進む見込みで、その制作会社はAmazonだと記事は伝えています。