青沼英二氏、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』リメイクは若手開発者に「新たな気づき」を促すためだったと語る
『ゼルダの伝説』シリーズのプロデューサーを務める青沼英二氏が、『時のオカリナ』のリメイクを望んだ理由について、開発チームの若手メンバーに「新たな気づき」のきっかけを与えたかったためだと語りました。任天堂公式サイトの「開発者に聞きました」で明かされたものです。
若手に原点の構造を学んでほしかった
青沼氏にとって『時のオカリナ』は、初めて開発に携わった『ゼルダ』作品です。以来シリーズに関わり続け、現在はシリーズプロデューサーを務めています。
同氏によると、リメイクを決めた背景には、任天堂EPDの開発メンバーの多くがN64版の開発に参加できる年齢ではなく、作品自体をあまり知らない人もいるという事情がありました。そこで、『ゼルダの伝説』の初作から40周年となる今年に、チームへリメイクを任せることで、N64版に関わっていないメンバーが当時の開発から学んだことを今後のシリーズ作品に生かせるのではないかと考えたとのことです。
青沼氏は、40周年を迎えるにあたりシリーズのプロデューサーとして何を作るべきかを考えていたと説明しています。現在一緒に働くメンバーの多くは、比較的最近のタイトルの開発しか経験していません。そのため「『時のオカリナ』がシリーズ全体にとってどれほど大きな意味を持つのかを、本当に理解しているだろうか」と疑問に感じたそうです。
また、この作品をおぼろげに知るメンバーや、子どもの頃に遊んだメンバーはいるものの、今後の『ゼルダ』を開発するなかで『時のオカリナ』をどう解釈するのかが気になったと述べています。オリジナル版のゲーム構造や開発の進め方を学び、完全なリメイクとして作り直すことで、将来の開発に持ち帰れる新たな気づきが得られるかもしれず、それが実現できれば非常に価値があると考えたといいます。こうして、今が『時のオカリナ』に再び向き合う good なタイミングだと結論づけたとのことです。
変更はチームの判断に任せた
青沼氏は、プロデューサーとして「こうあるべきだ」と押しつけるのではなく、リメイクで残す要素と変える要素の判断を開発チームに委ねたと説明しています。プロデューサーが方針を示せば、チームは自然とそれに従う義務を感じてしまうためです。そのため、開発者が本当に必要だと感じた変更を自由に加えられるようにしたそうです。
同氏は、チームに『時のオカリナ』を自分たちのものにして、ゲームのあるべき姿について自らのアイデアを貫いてほしかったと述べています。一方で、「それでも、私なりにお説教はそれなりにしました」とも話しています。若手メンバーが自分たちで得た気づきや答えをもとに『時のオカリナ』をどう描き直すのかを、一歩引いて見守っていたとのことです。
変更の少なさに驚き、原作への思いを実感
青沼氏は、自由に変更できる状況だったにもかかわらず、実際の変更が思いのほか少なかったことに驚いたと明かしました。
完成したものについては、28年前に発売されたゲームから、これほど豊かな体験を作り上げたことに感銘を受けたと語っています。開発の初期には「もっと変えてもいいのに」と思っていたものの、プロジェクトが進むにつれ、開発チームが原作に対して想像以上に深い思い入れを持っていることが強く伝わってきたそうです。