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『ARC Raiders』開発元Embark Studios、生成AI音声は「役者が気が狂ってしまう」量の収録を避けるために必要だったと説明

2026年11月04日 | #その他 | Eurogamer

『ARC Raiders』開発元Embark Studios、生成AI音声は「役者が気が狂ってしまう」量の収録を避けるために必要だったと説明

『ARC Raiders』を手がけるEmbark Studiosの開発陣が、同作での生成AIによるボイス演技の利用について説明しました。サウンドと音楽をテーマにした動画のなかで、オーディオディレクターのBence Pajor氏らが、当初は生成AIによるセリフを使っていた理由と、人間の演技への置き換えを進めていることを語っています。

生成AIを使った理由

Pajor氏はまず、過去のスタジオで経験した苦労を振り返りました。ボイスがすでに確定しているために、ゲームプレイ上の決定を変えられないことがあったといいます。同氏はこれを「真の苦痛」と表現し、ライティングチームやダイアログチーム、スケジュールが重なりかねない声優にも負担がかかると述べました。ストックホルムで連絡の取りやすい声優を起用し、利用可能なツールを使うことで、全員にとって作業が楽になったとのことです。

動画の後半でPajor氏は、学習データが声優の演技から作られたと説明しました。新機能やアイテム、武器が追加されるたびにボイスが必要になるため、セリフのあらゆるパターンを収録するのは現実的でないという主張です。「それをすべて読まされたら、役者は気が狂ってしまう」と話しました。

さらに、2025年10月のリリース以降に多数のアップデートや変更があったことにも触れ、セリフを変更するたびに声優を呼んで収録するのは非現実的だと述べています。

声優の受け止め

動画にはShani役のJo Rideout氏と、Celeste役のDiana Gardner氏も登場しました。Gardner氏は、ほかの撮影や仕事のキャンセルを気にせず別の仕事を受けられることが「解放感がある」と語っています。

一方でGardner氏は、Celesteの数多くのセリフに対する自身の権利意識についても言及しました。「契約はとても公平に思えたので、その意味では迷う余地がありませんでした。でも、実際に声が出てくるのを聞くまでは、どうなるか分かりませんでした。『この演技を自分のものと言えるだろうか』と思いました。(中略)何時間もかけて取り組んだ仕事ですが、最終的な成果物を自分のものと言えるか。言えません」と述べています。

AI音声の置き換えを進める方針

こうした利点が挙げられる一方で、AIによるセリフは置き換えが進められています。EmbarkのCCOであるStefan Strandberg氏は「私たちは声優を置き換える業界にいるわけではない」と述べました。また、プレイヤーの多くが同作でこれらの演技を聞いて没入感を損なわれたことも認識しているとのことです。Strandberg氏とPajor氏は、AIへの批判を理解していると認め、置き換えられるものから対応を進めていると説明しています。

Strandberg氏は「私たちは役者を置き換える業界にいるわけではありません。むしろ逆だと思います。演技をたたえ、役者にもっと活躍の場を与えるべきです。今後数年かけて、それをプレイヤーに届けたいと考えています」と語りました。

批判と業界での位置づけ

生成AIの利用をめぐる批判は、Eurogamerを含む同作のレビューでも見られました。Embark Studiosは、前作『The Finals』でも生成AIによるボイスで同様の反発を受けています。ただし、『ARC Raiders』が同技術を使いながら人気を得たことから、Nexonはこれを小規模チームのゲーム開発における生成AI活用の「トロイの木馬」と表現したとされています。