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『ドンキーコング』1983年のUniversal訴訟資料が公開、宮本茂氏の証言も収録

2026年08月30日 | #ゲーム紹介 | Polygon

『ドンキーコング』1983年のUniversal訴訟資料が公開、宮本茂氏の証言も収録

任天堂が『ドンキーコング』の使用をめぐってUniversalと争った1983年の訴訟について、法廷で交わされた証言や提出資料を含む記録一式が公開されました。資料には、宮本茂氏がゲームの名称候補について尋ねられる場面や、横井軍平氏が初期の企画会議を説明する証言などが含まれています。ゲーム史上の有名な争いを、当時の関係者が実際に何を語ったのかという視点から確認できる点が注目されます。

Gaming Historianが裁判資料をまとめて公開

今回の資料を紹介したのは、レトロゲームを題材にした調査型ドキュメンタリーで知られるYouTuberのGaming Historianです。同氏は4月上旬、燃え尽き症候群を理由に、レトロゲームの教育動画を今後は制作しないと発表しました。その際、ファンへの置き土産として、Universal対任天堂裁判に関する文書をまとめて公開したとのことです。

公開されたアーカイブには、裁判で提示された証拠だけでなく、証人尋問の記録や関連するやり取りも収録されています。1983年当時、Universalはキングコングの権利を持つ企業として、任天堂のゲームに登場するゴリラの名称が自社の作品と関係していると主張しました。これに対して任天堂は、ゲームのゴリラはキングコングから影響を受けたものではなく、そもそもの企画はポパイを題材にしたライセンス作品として始まったと説明しています。

初期デザイン資料や名称候補も収録

記録の中には、本作の初期デザイン資料や、後にスーパーマリオブラザーズとして知られるシリーズについて任天堂が検討していた名称の手書きリストも含まれています。さらに、横井軍平氏が、任天堂社内で梯子を使うゲームのアイデアが生まれた最初の会議について説明する証言も残されています。単なる判決文ではなく、企画の発端や社内での検討過程に触れられる点が、このアーカイブの特徴です。

証言記録には、ジョン・カービィ氏の発言も登場します。資料中では同氏が「Mr. Kirby」と呼ばれており、後にピンク色のキャラクターの名前の由来になった人物です。尋問では、ゴリラに代名詞を使えるかどうかをめぐって、「ゴリラに代名詞を使うことはできない」といった趣旨の奇妙なやり取りも交わされていました。

宮本茂氏の証言で繰り返された「覚えていない」

宮本氏の証言録では、特定のアイデアがいつ、誰によって考え出されたのかを問われるたびに、本人が記憶していないと答える場面が目立ちます。宮本氏は個別の経緯について横井氏を詳しい人物として挙げましたが、横井氏も自身の証言で宮本氏に判断を委ねる場面があり、尋問は互いに責任の所在を送り合うような展開になっています。通訳を介したやり取りも重なり、記録には長く回りくどい応酬が残りました。

Universal側は、名称やキャラクターの発想がキングコングと結びついている可能性を追及しました。しかし宮本氏は、ゲーム内にゴリラが存在すること以外については明確な情報をほとんど示さず、訴訟が始まるまでキングコングとの比較を考えたことはなかったと説明しています。名称候補を尋ねられた際にも、宮本氏は「頭の中にあった名前です」と答えたとのことです。

Gaming Historianは、宮本氏の証言全文と、Universal対任天堂裁判に関するより大規模な文書アーカイブをそれぞれ閲覧できる形で案内しています。広く知られた訴訟の結論だけでなく、ゲームのデザイン資料、社内の名称検討、関係者の曖昧な記憶まで確認できる記録として、ゲーム史を振り返る資料になっています。