『Guild Wars 3』が移動の勢いを戦闘と協力プレイに結びつけるMMOへ
2026年09月03日 | #その他 | Eurogamer
従来のMMORPGでは当たり前だった、止まっては動く操作や定型的な戦闘からの脱却が、本作の大きなテーマになっています。ArenaNetはGamescomで公開したアルファ版のデモを通じて、壁走りや滑空の勢いを戦闘へ持ち込む新システム「モメンタム」を披露しました。広大な3D空間を移動しながら、地形や仲間との連携を活用して戦うMMOを目指しているようです。
移動を途切れさせない「モメンタム」
スタジオリードのColin Johanson氏とコンバットリードのKevin Stocker氏が紹介したデモでは、プレイヤーキャラクターが草原に囲まれた岩場を駆け抜け、壁を走り、段差をよじ登る場面から始まりました。複数の移動アクションを連続して繰り出せるため、従来のMMORPGのように移動操作が一つずつ区切られる印象は薄く、壁を使って高所へ到達したあと、そのまま飛び降りてグライダーで地上へ向かう流れが自然につながります。
Johanson氏によると、開発当初から「モメンタム」を計画していたわけではないとのことです。Guild Wars 2でグライダーやマウントを追加した結果、プレイヤーから移動体験をさらに求める声が寄せられたことを受け、シリーズの次の段階として移動システムを発展させていったとしています。
ArenaNetが特に問題視したのは、MMORPGのフィールドが細い谷のような、ほぼ2Dの直線的な構造になりがちな点でした。本作では、プレイヤーが空間を上下左右に活用できる、より立体的なオープンワールドを設計しているといいます。チームは開発中の試行錯誤を通じて、単独の移動アクションよりも、アクション同士をつなぐ「接続部分」が移動を面白くすると判断し、そこから勢いを維持する仕組みが生まれました。
たとえば岩場から飛び降りた勢いは、グライダーを展開したあとも失われません。通常のMMOでは、マウントから降りた瞬間や戦闘スキルを使った瞬間にキャラクターが停止しがちですが、本作では走る、跳ぶ、滑空する、攻撃するといった行動の間を滑らかにつなぐことが狙われています。Johanson氏は、こうした「止まってから始める」動きではなく、キャラクターの勢いを利用した完全な移行型の移動システムを構築していると説明しました。
コントローラー操作を前提にした戦闘
デモ時点のインターフェースはGuild Wars 2より大幅に簡略化され、画面右側にはコントローラーのトリガーやバンパーに割り当てられたアビリティが表示されていました。画面下部中央には体力とスタミナのゲージが置かれており、一般的なPC向けMMORPGで見られる多数のホットキーは存在しません。
コントローラー中心の設計では操作できるボタン数に制約がありますが、Stocker氏は、操作を簡単にするため戦闘内容を薄めたわけではないとしています。キャラクターが取っている行動に応じて使用できる攻撃やスキルが変化する、状況依存型の仕組みによって、限られた入力から多くの選択肢を生み出す考えです。
戦闘では、移動中の勢いが攻撃の威力や効果範囲に影響します。デモに登場したウォリアーには、高所から攻撃した距離に応じてダメージが増える固有アビリティがあり、平地で立ち止まってジャンプ攻撃を行うより、壁を走ってから地面へ叩きつけるほうが大きなダメージと広い攻撃範囲を得られました。Stocker氏は、壁走りからの叩きつけや滑空中の攻撃を作り込む中で、移動システムが戦闘をより直接的で手応えのあるものにしたと説明しています。
勢いは敵を押し動かす力にもなります。敵を壁へ叩きつけて気絶させることができる一方、大型の敵もプレイヤーを地形へ吹き飛ばす可能性があるため、戦う場所そのものが重要になります。勢いが大きいほど敵を遠くへ押し出せますが、大型の敵を動かすには相応の勢いを消費しなければなりません。単に攻撃ボタンを連打するのではなく、壁や段差を含めた周囲の環境を利用する戦闘が想定されています。
過去作に登場したエリートスキルも復活します。デモでウォリアーが使用した「Rampage」は戦闘中にチャージされ、攻撃速度とダメージを高めるだけでなく、ジャンプの高さと敵を押す距離も強化していました。移動と攻撃を個別の要素として扱うのではなく、一つのリソースや行動として組み合わせる設計が示されています。
役割分担とマルチプレイヤーコンボ
Guild Wars 2では、タンク、ヒーラー、DPSという典型的なMMORPGの役割分担から距離を置き、武器を基準にしたスキル構成を採用していました。本作では方針が変わり、タンク、DPS、ヒーラーとしての役割をより明確に設定する方向です。Johanson氏は、盾で防御するウォリアーと、ミニオンに敵を引き受けさせるネクロマンサーでは、同じタンクでも異なる方法で役割を果たせるようにしたいと話しています。
ただし、モメンタムの重要度は職業だけでなくビルドによっても変わります。ウォリアーの場合、ジャンプや叩きつけを積極的に使う構成では勢いを最大限に活用する一方、敵の前に立って攻撃を受け止めることを重視したタンク構成では、モメンタムへの依存度が低くなる可能性があります。レンジャーは空中で滞空しながら攻撃する手段や、弓を使った遠距離攻撃を特徴とするなど、同じ移行型アクションでも職業ごとに使い方が異なるとされています。
協力プレイでは、複数の職業が動作を組み合わせる「マルチプレイヤーコンボ」が登場します。倒壊したDhuumの神殿を舞台にしたデモでは、盾を持つウォリアーが身をかがめて足場となり、鎌を持ったネクロマンサーがそこから跳び上がって空中から戦闘へ加わりました。Stocker氏は、スキル、武器、職業の設計を味方との連携を前提に進めていると説明しています。ソロプレイにも対応しつつ、仲間がいることで新たな攻撃機会が生まれる構造を目指しているとのことです。
フィールド上にはVaelwardenのキャンプも存在します。ここはオープンワールド内でプレイヤーが集まり、交流したり、パーティーを編成したり、出発前にビルドを調整したりする小規模な拠点として機能します。公開トレーラーに登場した巨大な精霊のようなマウントにはRoot Runnerという名前が付けられていますが、今回のデモでは詳しい操作や役割までは紹介されませんでした。
地形と敵の弱点を利用する遭遇設計
本作の敵との戦いでは、位置取りと地形、勢いを使って到達する弱点、スキルによる敵の弱点への対処という3つの要素が大きな柱になります。小型の敵はそのうち1つだけを利用し、大型の敵やボス、ダンジョンでは複数の要素を組み合わせる方針です。Johanson氏は、立ってはいけない場所を避け続けるだけの戦闘から、より多様な判断を求める戦闘へ変えていきたいとしています。
デモに登場したMavenburnerは、精霊の力で動く火炎放射器を持つ大型の敵でした。背中の燃料タンクが弱点になっており、そこへ十分な攻撃を加えると即死させられ、爆発も発生します。大型の敵に設定された明確な弱点へ、移動や位置取りを組み合わせて攻撃する例として紹介されました。
戦闘の最後には巨大なクモも登場しました。クモが放つ糸はプレイヤーの移動速度を落とし、モメンタムの利用を妨げますが、火属性のスキルで焼き払えます。敵の攻撃をただ回避するのではなく、相手の能力に対抗できるビルドやスキルを準備することが重要になります。
この考え方は、初代Guild Warsのスキルシステムにも通じるものです。Johanson氏によれば、本作では敵ごとに有効な対抗手段があり、適切なビルドを見つけることで戦い方が変化します。特にダンジョンのような高難度のコンテンツでは、自分と仲間の構成を調整し、敵の弱点へ対応しなければならないとしています。
Guild Wars 2で知られるジャンピングパズルについても、環境アーティストたちは引き続き意欲を見せているようです。Johanson氏は、過去のイベント「Mad King's Clock Tower」を開発チームがプレイした際、制作者がプレイヤーの苦戦を楽しそうに見ていたエピソードを紹介し、本作でどのようなパズルに発展させられるかを楽しみにしていると語りました。
今回のデモでは、プレイヤーの成長システム、ビルド作成、精霊の詳細などは明かされていません。ArenaNetは、2027年秋に予定するベータ版の時期が近づいた段階で、これらの情報を改めて説明する方針です。原文筆者は、MMORPGが持つ交流性や広大な世界は現在も魅力的である一方、遊び方には長年変わらない部分があると指摘し、そこへ本作が正面から変化を持ち込もうとしている点に注目しています。