『Resident Evil』は95分でゲームの緊張感を映画化
2026年09月17日 | #レビュー | GamesRadar+
ザック・クレッガー監督の『Resident Evil』は、シリーズ映画としては異例なほどゲームプレイの緊張感を正面から再現した作品です。原文筆者は、ホラーとコメディ、凄惨なクリーチャー描写を95分に凝縮した本作を、これまでの実写映画を大きく上回るシリーズ最高の1本であり、史上最高のゲーム映画候補だと評価しています。一方で、物語や登場人物の掘り下げを大胆に切り捨てた構成は、ゲームの設定を重視するファンには不満を残す可能性があります。
ゲームらしさを取り戻したラクーンシティの物語
本作の舞台は、『バイオハザード2』と同じ時期に起きているラクーンシティの事件です。ただし、ゲームの登場人物であるレオン・S・ケネディやクレア・レッドフィールドとの合流はなく、映画独自の主人公と出来事を描く、別個のラクーンシティの物語として考えるべき作品になっています。ゲーム本編の出来事が街の別の場所で進行している一方、その周辺で主人公が事件に巻き込まれていく構成です。
主人公のブライアンを演じるのはオースティン・エイブラムズです。彼は仕事を終えようとしていた医療品の配送員で、郊外からラクーンシティ総合病院まで、正体不明の生物兵器関連の荷物を運ぶ仕事を引き受けます。しかし、その夜はアンブレラ社のDNA改変ウイルス「t-ウイルス」によって住民が次々と生ける屍へ変わる、ラクーンシティ事件の発生当日でした。ブライアンは目的地へ向かう途中でゾンビや、さらに異形のB.O.W.(生物有機兵器)と遭遇し、十分な準備もないまま生き延びなければなりません。
原文筆者が本作で特に評価しているのは、過去の映画版にあった派手な銃撃アクションではなく、ゲーム本来の慎重なサバイバルホラーへ回帰している点です。弾薬の残数を気にし、必要な物資を探し、暗い場所の向こうに何が潜んでいるか分からないまま進む。ブライアンは銃器の扱いに長けた戦士ではなく、実際に銃を撃った経験といえばゲームの中だけという人物なので、敵との遭遇は常に命懸けの出来事になります。
映像面でも、ゲームの文法がさりげなく取り入れられています。カメラはブライアンの肩越しに浮かぶ三人称視点のような位置を頻繁に取り、物語の途中では銃器が強化されます。南京錠のかかった門、足場の悪い崖、横向きになって慎重に通り抜ける必要がある場所など、ゲームでおなじみの障害も、露骨な再現ではなく映画の流れに組み込まれています。原文筆者は、ゲームをそのまま映像化するのではなく、プレイヤーが操作している感覚を映画の演出へ置き換えた点を本作の大きな成果としています。
95分を止めない恐怖とブラックコメディ
上映時間は95分で、展開は非常に引き締まっています。説明のために立ち止まる時間さえ短く、ブライアンがラクーンシティを進みながら、次々と環境や怪物を切り抜けていく構成です。原文筆者は、荒野を疾走する作品のような勢いがあると評し、場面や惨劇が連続するテンポを本作の長所に挙げています。中盤には設定を説明する場面もありますが、それすら移動中に短く処理され、物語が完全に止まることはありません。
本作は恐ろしいだけでなく、宣伝で十分に伝えられていなかったほど笑えるホラーコメディでもあります。試写で観客の反応が悪かったため、いくつかのジョークは削られたとのことですが、残されたユーモアは状況そのものの異常さから生まれています。どう考えても逃げ場のない場面でブライアンが叫び、混乱し、現実から意識を切り離すような反応を見せるため、観客は恐怖と緊張した笑いを同時に味わうことになります。
ブライアンの人物像は、過去の映画やゲームに登場した歴戦の主人公とは大きく異なります。彼は優柔不断で、責任を引き受けることにも迷いがあり、危機に対して適切に行動できるタイプではありません。原文筆者は、エイブラムズの演技を、間の抜けた一般人と、何をしても不運に見舞われる人物の組み合わせとして評価しています。ブライアンが恐怖に耐えながら進む姿は、華麗な英雄の活躍とは正反対だからこそ、敵との遭遇に現実味を与えています。
彼に起きる災難は、ほぼ一貫して最悪の方向へ進みます。監督は主人公を容赦なく追い詰め、変異した子どもや赤ん坊をめぐる凄惨な場面まで描きます。残酷描写はかなり極端で、頭部がさまざまな形で破裂し、膨れ上がった腹部からネズミが飛び出すなど、クリーチャーや人体の変異を強烈に見せます。それでも原文筆者は、単なる悪趣味な消費にはなっておらず、何でも起こり得る悪夢のような世界を形作る要素として機能していると見ています。
原作設定との距離が生む長所と弱点
クレッガー監督は自身を熱心なファンだと称しており、過去作『Barbarian』や『Weapons』で見せた独創性を、既存シリーズの枠内でも失っていません。見覚えのある世界を舞台にしながら、新しい物語を作り上げ、ゲームの精神や遊び心を映画へ移し替えています。原文筆者は、既存IPを使った映画として近年でも特に刺激的で、ゲームをプレイしている没入感を正確に翻訳した最初の作品だと評価しています。
ただし、ゲームの設定に忠実な作品を求める場合は注意が必要です。本作は『バイオハザード2』と並行して進むものの、ゲームとのクロスオーバーはありません。登場する一部のB.O.W.には、『バイオハザード4』で初めて登場するラス・プラガスを思わせる特徴があり、t-ウイルスが研究施設から流出する経緯も、既存の設定と一致しないと原文筆者は指摘しています。ラクーンシティに存在するはずの有名なクリーチャーをすべて登場させることも選ばれていません。
それでも、原文筆者はこれらの相違点を本作の致命的な問題とは見ていません。監督が目指しているのは設定資料を映像で再現することではなく、ゲームの世界で危険な場所を進む感覚を独自の形で再構築することだからです。『The Last of Us』のように原作を忠実に映像化する方法が適さない作品では、既知の要素を並べるより、監督自身の解釈を加えるほうが賢明だという見方です。
一方で、物語は極めて単純です。ブライアンは物語の開始前、恋人から妊娠の可能性を告げる電話を受け、その返答をためらいます。この後悔が事件の最中も彼の行動に影を落としますが、原文筆者は、同じような人物の動機が別のゲーム映画Exit 8でより効果的に使われていたと批判しています。作品のテーマを読み解こうとしても、深い主題を提示する構成にはなっていません。
脇役とストーリーを削った代償
ポール・ウォルター・ハウザー、カリ・リース、ザック・チェリーらも脇役として登場します。しかし、彼らの出番は非常に短く、ブライアンがラクーンシティを逃げ続ける展開の中では、人物像を印象づける前に通り過ぎてしまいます。複数の手足を持つ怪物が執拗にブライアンを追跡するため、脇役との会話や関係性を描く余裕もほとんどありません。
この疾走感は、テンポの良さと引き換えにキャラクター描写を失わせています。ブライアンが抱える後悔以外の人物背景はほとんど掘り下げられず、物語の因果関係も必要最低限です。原文筆者は、キャラクターの成長とプロットが骨組みだけの状態で、ほとんど存在しないに等しいと厳しく評しています。ストーリーの厚みや複雑なテーマを期待する観客には、物足りなさが残るでしょう。
それでも、ゲーム映画としての体験性を最優先した判断は一貫しています。原文筆者は、過去のシリーズ映画が持っていた軽薄な銃撃アクションを退け、弾薬、探索、暗闇、閉ざされた通路、予測不能な怪物という要素を組み合わせた点を高く評価しています。『Barbarian』や『Weapons』ほど形式面で革新的ではなく、後世まで記憶に残る作品になるかは分からないともしていますが、凄惨なホラーを受け入れられる観客なら、強烈な娯楽として楽しめる可能性が高いとの結論です。
本作は9月18日に劇場公開され、監督はザック・クレッガー、上映時間は95分です。ゲームの設定を一字一句守ることよりも、暗い街を手探りで進み、次に何が現れるか分からない恐怖を映画館で体験させることを選んだ作品と言えます。原文筆者は、24年にわたる実写映画の歩みを経て、ようやくゲームの遺産に見合う本作がスクリーンに登場したと評価しています。