『GTA 5』流出データから未実現の大型リバティーシティDLC案が浮上
『GTA 5』のソースコードとみられるデータが新たに公開され、実現しなかった大型ストーリーDLCの計画があらためて注目されています。なかでも、GTA 4に登場したリバティーシティを大幅に拡張したDLC案や、トレバーが秘密捜査官として活動する「Agent Trevor」の痕跡が見つかったと報じられています。GTA Onlineの成功によって、こうした計画が見送られた経緯も元関係者の証言から浮かび上がっています。
約200GBの流出データから拡張版リバティーシティの痕跡
オンライン上で広がっている報告によると、2023年に流出した約200GB規模の本作のソースコードが、今回あらためて一般に公開され、複数の関係者やデータ解析者が内容を調べています。データには、完成には至らなかったとみられるリバティーシティDLCの痕跡が含まれているとのことです。
解析結果をもとに作成された地図では、DLC版のリバティーシティはGTA 4の同都市よりも大幅に広い規模で描かれています。公開された図は完成済みのゲームマップそのものではなく、ファイル内の海岸線や音声エリアに関する情報から範囲を推定したものです。解析者は、海岸線の位置をもとに地図の輪郭を作成し、線は海岸付近の環境音が再生される区域を示していると説明しています。
この内容を受け、拡張されたリバティーシティが将来的にGTA 6へ流用されるのではないかという推測も出ています。ただし、Rockstar Gamesがそのような計画を進めていることを示す証拠は確認されていません。現時点では、あくまで過去に検討された可能性のあるDLCの資料として扱うべき情報です。
今回のデータからは、リバティーシティ以外にも、Agent Trevorに関連するミッション名、採用されなかった車両やセリフ、カットシーンなどが見つかったとされています。さらに、GTA 6に関する非常に初期段階の作業とみられるデータも含まれているようですが、具体的な内容は明らかになっていません。
トレバー主演のストーリーDLCはどこまで進んでいたのか
トレバーが連邦捜査局の協力者、あるいは潜入捜査官として活動するストーリーDLCについては、以前からファンの間で存在が知られていました。2024年にはトレバー役のSteven Ogg、マイケル役のNed Luke、フランクリン役のShawn Fontenoが参加した質疑応答で、この計画について説明されています。
Luke氏によると、Rockstarは当初、マイケル、フランクリン、トレバーそれぞれの物語を継続する構想を持っていました。Ogg氏は、トレバーが政府機関のために潜入捜査を行う内容の撮影にも参加したと説明しており、「ジェームズ・ボンドのようなトレバー」でありながら、相変わらず問題を起こしつつ任務をこなそうとする人物として描かれていたとしています。しかし、撮影した一部の素材はその後使われることなく、計画も続かなかったとのことです。
Rockstarのニューヨーク拠点で2010年から2016年までシニアカメラアーティスト兼バーチャル撮影監督を務めたJoe Robino氏も、2024年にこのDLCについて語っています。同氏によれば、チームはGTA Online向けの作業と、トレバーを中心にした単独DLCの作業に分かれていました。Robino氏はそのDLCを「とても素晴らしい内容だった」と評価し、自身は編集やカメラ演出、ステージ上での撮影作業に深く関わっていたとしています。
一方で、チームの一部は早い段階からRed Dead Redemption 2の開発に移り、最終的にDLCは棚上げされました。Robino氏は、GTA Onlineが非常に大きな収益を生み、多くのプレイヤーから支持されていたため、単独のストーリーDLCがそれを上回ると社内で説明するのは難しかったと証言しています。同氏はこの判断に当時不満を感じていたものの、DLC向けに作られた要素の一部は後のGTA Onlineへ組み込まれた可能性があるとも話しています。
実際、データ解析ではトレバーとジェットパックを結びつける記述が見つかっており、ストーリーDLC向けのアイデアがオンラインモードへ転用された可能性を示す材料とされています。2018年に追加されたGTA Onlineの「Doomsday Heist」では、Thrusterジェットパックが登場しました。ただし、これらがDLCの内容をそのまま移植したものなのか、共通するアイデアだけが再利用されたのかは確定していません。
開発中止を認めた元幹部と流出対策
Rockstar Gamesの共同創業者で元リードライターのDan Houser氏も、昨年、未発売DLCについて初めて公に説明しました。Houser氏によると、トレバーが秘密捜査官として登場するDLCは開発が約半分まで進んでいたものの、完成には至らず中止されています。かわいらしい、面白い内容ではあったものの、最終的にはまとまりきらなかったと同氏は振り返っています。
Houser氏は、もしDLCを完成させて発売していれば、2018年のRed Dead Redemption 2を制作できなかった可能性が高いとも説明しています。開発リソースには限りがあり、すべての計画を同時に実現することはできないという判断です。結果として、本作では大型ストーリーDLCではなく、長期的な運営を前提としたGTA Onlineのアップデートが優先されました。
RockstarがGTA 6で同じ方針を取るのか、それとも再びストーリーDLCに力を入れるのかは分かっていません。複数の都市を追加し、その中にリバティーシティを含める構想や、次世代のGTA Onlineに相当するマルチプレイ要素を予想する声もありますが、これらはファンの推測にとどまります。今回の流出データが示すのは、あくまで本作で実現しなかった計画の規模です。
一連の流出は、Rockstarが現在も極めて厳しい情報管理を敷いている背景とも重なります。GTA 6の開発者31人の解雇をめぐる雇用審判では、同社がゲームのデザインや未公開情報を守る姿勢について説明し、独自のゲーム内容を守ることはAppleがiPhoneを、Coca-Colaが製法を守ることに近く、ウォール街の銀行のようなセキュリティ体制を採用しているとしています。
それでも同社では、過去に複数の情報流出が起きています。2025年4月には、英国リンカーンの従業員がGTA 6の機密情報を第三者に伝え、その第三者がSNSへ公開したとして解雇されました。米国の従業員は2023年11月、インドの従業員は2025年11月に、それぞれ別の情報漏えいを理由に解雇されたとRockstarは説明しています。
さらに、ファンが従業員のコーヒーショップへの立ち寄りやRockstarのオフィスへのピザの配達を監視し、勤務先周辺の交通量まで追跡してGTA 6の発売時期を推測しようとした事例もあるとのことです。最近では「CyberLeek」と呼ばれる流出事件で、ゲームプレイ映像がNetflix向け特別番組の公開前にインターネットへ出回ったとされています。今回のソースコード公開は、過去の開発計画を知る手がかりである一方、同社が長年にわたって抱えてきた情報管理上の課題も改めて浮き彫りにしています。