『Dune: Awakening』は自由度の高い戦闘が過酷なアラキスでの冒険を支えます
2026年10月02日 | #レビュー | Game Informer
『Dune: Awakening』は、過酷な惑星アラキスで生き抜く手応えと、状況に合わせて戦い方を変えられる戦闘が魅力の作品です。周囲のほぼすべてが命を狙い、そうでなければ誰かの思惑のために利用される。そんな世界の厳しさを感じさせながら、困難を乗り越えて強くなる楽しさを生み出しています。今回評価する本編では、探索や物語も充実している一方、勢力への加担や裏切りに実質的な代償がない点は惜しまれます。
生き延びるための学びが探索の楽しさにつながります
本作は、映画や小説とは異なる独自の歴史をたどります。ポール・アトレイデスの母が、本来求められていたとおりに娘を産んだことで、アトレイデス家は滅亡を免れました。その後、ハルコンネン家とアトレイデス家の間で暗殺戦争が始まり、フレメンはほぼ死に絶えています。
ゲームは時間をかけて、生き抜くための仕組みを教えてくれます。灼熱の惑星だけに、日差しも常に警戒すべき脅威です。しかし、生存方法を学ぶ過程は退屈な作業には感じられません。必要な知識を身につけている実感があり、ひととおり学び終えるころには、先へ進むための準備が整ったと感じられます。
マップの探索も楽しいものです。遠くに墜落した船や小さな野営地が見えれば、採掘する価値のある鉱物や、攻略できるダンジョンが期待できます。決められた道を外れても、時間を無駄にしたと感じることはありませんでした。砂漠の奥に何が待っているのかを確かめたくなる、寄り道にしっかりと報いてくれる作りです。
裏切りを誘う勢力争いは、代償の乏しさが惜しいところです
探索中に出会う要素のなかでも、ハルコンネン家とアトレイデス家の対立は特に興味を引きます。ここでは、本作が描く「誰も信用できない」という感覚がいっそう強まります。どちらかの家に加わった後も、味方を裏切って敵対する家を助ける選択肢が繰り返し提示されるからです。
ただし、物語全体で大きな位置を占める対立でありながら、その選択は主人公個人の旅にほとんど影響しません。両家の拠点を訪問できることを考えると、実質的な結果が伴わないのは機会を逃していると感じられます。
実際、アトレイデス家に加わってからハルコンネン家の領地を訪れても、危険はありませんでした。敵意として受けたのは、いくつかの無礼な言葉と、一部商品の値上げ程度です。裏切りをめぐる緊張感を生かしきれていない点は、明確な不満として残ります。
クラスの能力で、目の前の脅威への対処を変えられます
一方、戦闘は期待を裏切りません。その大きな理由は、クラスごとの能力によって、戦い方を自分で選べることにあります。
今回のプレイでは、好きな場所にタレットを設置できるMentatと、グラップリングフックや手榴弾を使えるTrooperを中心に育てました。複数の敵が押し寄せてきたら手榴弾を投げ、タレットを設置する。遠くに狙撃手がいれば、フックで距離を詰める。目の前の脅威に応じて異なる手段を使える自由さが、戦闘を楽しいものにしています。
ひとつの戦い方に飽きたら、別のスキルに投資して新しい方法を試せます。各クラスにはそれぞれの強みや恩恵があり、戦闘の新鮮さを保ってくれます。こうした対応力は、メインクエストを進めるうえでも欠かせません。
フレメンへの憧れから、人間性を問う物語へ
メインストーリーの前半は、長めのチュートリアルとして機能しながら、フレメンの重要性を見事に伝えます。彼らを憧れの対象として描く語り口は、アラキスの厳しい暮らしのなかで清涼剤になっています。序盤の物語を終えるころには、戦争が始まる前の世界がどのようなものだったのか、多くを学んだと感じられます。
後半では、その印象が大きく変わります。人々が日々耐えている恐怖を突きつけられ、自分の人間性や、周囲で起きる出来事に自分の意思を反映できるのかを考えさせられます。本編の結末は、次々に提示される展開と、独自の着想をここまで押し広げたことへの驚きが残るものでした。
1人でも物語を進めやすい作りです
ソロで遊びやすい点も、物語を楽しむうえで好印象です。シングルプレイの選択肢もありますが、今回のレビューではマルチプレイサーバーを選び、ゲームの大部分を1人で進めました。
それでも、人手が足りないために行き詰まったと感じる場面はありませんでした。苦戦するときは、人数よりも立ち回りに問題がありました。誰かと一緒に遊んだ機会は多くなかったものの、協力したときには楽しさがさらに増しています。
クリア後も砂漠の探索と勢力争いが続きます
クリア後の要素はまだ十分に探索できていませんが、Deep Desertで過ごした時間は期待に応えるものでした。この地域へ行くには、終盤に解放されるOrentogetherが必要で、PvEとPvPのどちらでも楽しめます。
Deep Desertはどこまでも続くように感じられるほど広く、週に1度リセットされます。そのため、全域を探索するだけでも大仕事です。一方で、本作でも特に優れた戦利品やダンジョンが用意されており、足を運ぶ価値があります。
さらに勢力争いへ踏み込むなら、Landsraadもあります。両家が特定の目標の達成を競い、勝った側にはDeep Desertで得られるものに匹敵する戦利品が与えられます。物語への貢献は大きくありませんが、続く抗争の一員として行動している感覚を支える仕組みです。
原作を知らなくても、アラキスの厳しさに入り込めます
Duneの知識がなくても、各家がなぜ重要なのか、周囲の出来事になぜ関心を持つべきなのかを、ゲームが丁寧に説明してくれます。果てしない砂漠、各地で繰り広げられる戦争と諜報活動、そして巨大なサンドワーム。原作らしさを保つための要素がそろっています。
勢力を選ぶ行為に十分な重みがない点は惜しいものの、『Dune: Awakening』は大胆な独自解釈を加えながら、原作の重要な要素をしっかり押さえています。探索と戦闘の楽しさ、強い印象を残す物語を通して、アラキスで生きることの苛酷さを実感させる作品です。