『EA Sports FC 27』レビュー、試合のテンポを落とした調整が手動守備の手応えを高めています
2026年10月09日 | #レビュー | Eurogamer
『EA Sports FC 27』は、試合のテンポと操作感に意味のある改善を加え、シリーズを着実に前進させた作品です。今回のレビューで選んだAuthentic Gameplayでは、手動で守る重要性が増し、中盤の攻防にも重みが生まれています。新モードには物足りなさがあり、Ultimate Teamの倫理的な問題も残りますが、ピッチ上のサッカーは非常に優れています。
自分で守り切る楽しさが増した試合
本作では、スピードと反応のよさ、安定した結果を重視するCompetitive Gameplayと、ゆったりした展開を目指すAuthentic Gameplayを選べます。後者でプレイすると、試合の一つひとつの動きに重みが感じられました。
特に変化が大きいのは守備です。AIの味方に任せられる部分が減り、プレイヤー自身の判断が重要になっています。味方に相手を抑えさせるTeammate Containでも、AIの守備選手は相手をマークしながら、以前より距離を取ります。その間に適切な選手へ操作を切り替え、自分で対応する仕組みです。
狙った守備選手への切り替えは直感的で、巧みな位置取りによって攻撃を止める感触も良好です。かつて守備ラインを簡単に切り裂けたスルーパスは通しにくくなり、現時点のオンラインでは浮かせるタイプが好まれています。中盤での攻防には心地よい厚みがあり、ゴールネットが揺れ、スタジアムが歓声に包まれる瞬間には強い興奮があります。
ただし、毎年のように語られる「調整され、遅くなったサッカー」が、今後も続くとは限りません。発売後のパッチだけでなく、プレイヤーが仕組みの隙を見つけて利用することで、試合は再び速く、極端なものになりがちです。
EA Sports FC 25では、細かくボールを扱うドリブルが相手のプレスを大きく崩せました。本作で同じような懸念を抱かせるのが、体勢を崩しても進み続けるドリブルです。一部の攻撃選手は、守備側に激しく接触されてもよろめきながら抜け出します。動きの表現は見事ですが、何度も相手に使われれば、守る側のストレスも相当なものになりそうです。
セットプレーの駆け引きは充実、味方の動きにはむらも
コーナーキックは以前よりゆっくり進み、判断を求める場面が増えました。ボールを蹴るとカメラがペナルティーエリア内に寄り、選手を走らせたり、ボールを守るために体を使ったりできます。
大きな追加要素がAvoidanceです。ショルダーボタンを押すと、操作中の選手が密集をすり抜けやすくなります。Assassin's Creedのアルタイルが人混みを進むように、相手をかわして隙間へ入り込む動きが加わり、セットプレーの駆け引きが豊かになっています。
一方、クロスは狙った選手へ正確に届くというより、ある範囲へ送り込む性格が強まりました。そのため、狙いを定めるだけでなく、ボールの速さや選手が使える空間を見極める必要があります。
味方の攻撃時の動きを改善するAttacking Spatial Awarenessについては、評価が分かれます。開発側の説明では、選手が密集へ飛び込まず、攻撃に適した場所へ走るようになる機能ですが、今回のプレイでは効果にむらがありました。
中盤でパスを回していると、味方がボールのある場所から離れるように曲線を描いて走り、意図を理解する前に機会が過ぎてしまうことがあります。ただし、筆者がその狙いを読み切れていなかった可能性もあります。ブルーノ・フェルナンデスのほうが、パスを出すべき場所をよく理解しているのかもしれません。
チームらしさを感じる一方、演出は大げさ
各チームには、現実のチームを思わせる個性があります。スペイン対アルゼンチンのエキシビションでは、2枚のイエローカードにユニフォームを引っ張る行為、激しい突き飛ばしが重なり、洗練されたバレエ団と荒々しい集団がぶつかるような試合になりました。
それに比べると、試合を彩る演出には説得力がありません。ミドルズブラ対ニューカッスルでは、宇宙から見た地球の映像からセント・ジェームズ・パークへ一気にカメラが降りていきます。サッカーの試合というより、Call of Dutyでプライス大尉たちが次の任務へ向かうような見せ方です。
巨大なパブリッシャーが毎年送り出し、周辺モードが次第に中心を占めていく点でも、両シリーズには似たところがあります。Call of Dutyでキャンペーンに対してWarzoneの存在が大きくなったように、EA Sports FCでもエキシビションやキャリアを押しのけ、Ultimate Teamが主役になっています。
The Groundsは見た目に郷愁があるものの、遊びは長続きしにくい
新モードのThe Groundsは、自作アバターで歩き回り、ほかのプレイヤーと交流できるオンラインの拠点です。英国、パリ、アルゼンチンをそれぞれイメージした3つのエリアがあり、清潔な街路をNPCが行き交い、白いドーム型の売店が並んでいます。
その景色には、かつてのPlayStation Homeを思わせるものがあります。購入した服を着て不思議な街を歩き、ほかのプレイヤーとミニゲームを遊ぶ感覚だけでなく、いつかサービスが終了してしまいそうな心もとなさまで似ています。
中心となるRushは5人制のサッカーで、VoltaやFIFA Streetの面影があります。1対1、2対2、3対3でも遊べ、マッチングは速いものの、ときどきラグに邪魔されます。11人制のClubhouse Matchesもありますが、単にオンラインで試合をしたいなら、通常のエキシビションのほうが手早く始められます。
ほかにもBalloon Ball、Bocce Ball、Bucket Ballといったミニゲームがあります。Bucket Ballは、山なりのシュートを輪へ入れるバスケットボール風の遊びです。短時間の楽しさはあるものの、どれも長く遊び続けたいと思わせるほどの充実感はありません。The Groundsが定着するかどうかは疑問が残ります。
Ultimate Teamは便利になっても、問題を抱えたまま
Ultimate Teamは、相変わらず倫理的に不透明で、気力をすり減らすモードです。ランダムなカードパックをゲーム内で得たFC Coinsや現金で購入し、チームを組み、目標を達成してオンラインで対戦する基本構造は、大きく変わっていません。
これが賭博に当たるかどうかについては、国によって判断が異なります。英国の賭博委員会は、仮想アイテムを現金に換える仕組みがないため、賭博には当たらないとしています。一方、PEGIはルートボックスを理由に、本作をシリーズ初の16歳以上対象に分類しました。EAを相手に訴訟を起こしたパリの弁護士Victor Zaguryが、Ultimate Teamにのめり込む人について「カジノの論理が家庭に入り込んだ」と語った理由も理解できます。
今年の主な変更はGalleryと、チーム編成チャレンジのSBCです。Galleryでは、クラブに所属した選手やアイテムをステッカー帳のように並べ、クラブや国などのまとまりでコレクションを作れます。それらの評価に応じてGallery Tokensを獲得し、ユニフォームやバッジなどと交換できます。
思い出の記録とカード収集を組み合わせた仕組みですが、Ultimate Teamの収集欲をさらに強めるための余分な付け足しに感じられます。
より意味のある改善はSBCです。従来のようにチーム全体の相性や総合レートを細かく考えず、アイテムのレア度やレートに基づいて提出できます。Galleryと同じ評価の仕組みを使い、チャレンジの全条件を一度に満たさなくても、部分的に進めやすくなりました。
これは賢い調整です。達成感を得るまでの時間が短くなり、報酬もよりこまめに受け取れます。このモードを愛する人にとっては、いら立ちながらもやめられず、神経を強く刺激する、ニコチンのような魅力が健在です。
キャリアでは選手の調子がシーズンを動かす
Ultimate Teamから距離を置きたい人には、監督キャリアと選手キャリアの改善がうれしいところです。中でもDynamic OVRは、今年の優れた変更の1つです。
選手の総合レートがシーズン中に変動し、負傷、出場時間、チームメイトとの競争などが影響します。選手の基礎的な能力が失われるわけではありませんが、試合を重ねるなかで調子が上がったり下がったりするため、シーズンの流れがより自然に感じられます。
複数の選手が好調なら、チームは普段の実力以上の結果を出せます。逆に不調が成功を妨げることもあり、状況に合わせた戦略の変更が必要になります。
移籍交渉は手間と駆け引きの両方が増加
移籍は以前より時間をかけて進めるものになりました。まず相手クラブに取引の可能性を確認し、その後に移籍金、選手交換、ボーナスなどを交渉します。途中でほかのクラブが参入し、獲得競争になることもあります。
交渉そのものは、専用の軽快なメニューで行えます。画面は分かりやすく、交渉の緊張度を示すメーターによって、決裂の危険や話の進みやすさを把握できます。クラブとも選手とも直接交渉でき、分割払いも選べるため、予算が厳しくても有力選手を補強しやすくなっています。
契約金や代理人への手数料も加わり、条件は複雑です。最初の提示額を抑えつつ、チャンピオンズリーグへの出場や一定の出場数に応じたボーナスを付け、相手にとって魅力のある提案にできます。
こうした条件を調整し、巧みな取引や強引な駆け引きでクラブの財政を整える作業には、独特の楽しさがあります。選手が自分のクラブを望んでいることや、競合クラブへの関心の薄さを利用して、緊張度が上がるのを承知で給与や代理人手数料を削ると、冷徹な実業家になったような気分を味わえます。
その一方で、センターフォワードが自宅で料理中に手を負傷したというメールが届くなど、笑える偶発的な出来事もあります。チームを脅かすのはライバルの監督や借金だけでなく、選手の不用意な料理でもあるわけです。
優れたサッカーを支える、着実な改善
The Groundsは飾りのように感じられ、Ultimate Teamは問題を抱えたまま続いています。それでも本作は、試合の流れと速度に意味のある変化をもたらしました。キャリアにも、シーズンや移籍交渉を面白くする改善があります。
サッカーゲーム市場で事実上の独占状態がほとんど揺らいでいない以上、EAはもっと少ない変更で済ませることもできたはずです。実際、過去にはそうした年もありました。FIFAや2Kなどが対抗作を送り出し、競争が動き出すまでは、このシリーズが中心であり続けるでしょう。
『EA Sports FC 27』には、冷めた見方をしたくなる商売の仕組みと、賢い改善、論争、そして思わず喜びがこみ上げる瞬間が同居しています。その中心にあるピッチ上の体験は、非常に優れています。サッカーそのものにも似た、複雑な魅力を持つ作品です。
本レビューでは、EA Sportsから提供されたゲームを使用しています。