AppleのApp Store責任者カーソン・オリバー氏、インディーゲーム支援を強調し「Indie Games Week」で『No Man's Sky』モバイル版など7作を紹介
Appleは今週、App Storeのイベント「Indie Games Week」を開催しました。8月にフィル・シラー氏が突然退任したあとを受けてApp Storeの世界責任者に就いたカーソン・オリバー氏は、就任後初のインタビューでPolygonに対し、ゲーム分野でのAppleの現在地と方針を語っています。2019年のApple Arcade登場時には長続きしないとの見方が強かったものの、7年が経った今もAppleはゲーム事業への取り組みを続けています。
Indie Games Weekで7作がiOSに登場
Indie Games Weekは月曜日に始まった1週間のイベントで、App Store上のインディーゲームを紹介する企画です。期間中には『Vampire Crawlers』『Sifu』『Little Kitty, Big City』など7作品がiOSに登場しました。Hello Gamesは『No Man's Sky』をiPhoneとiPadに今月中に投入すると発表しています。10年分のアップデートをすべて含みながら容量は5GBで、iPhone 11でも動作するとのことです。Hello Gamesの創設者ショーン・マーレー氏は、ここ数年でAppleのデバイスの性能が大きく向上したことを理由に挙げたと、Polygonの筆者は伝えています。
オリバー氏は、AppleがゲームをApp Storeの中心的な存在と位置づけてきたとしたうえで、近年の動きが活発に見えるのは技術の進歩によるものだと説明しました。具体例として、ハードウェアアクセラレーション対応のレイトレーシングを備えるA20 Proや、iPhone 18 Proの次世代ベイパーチャンバー、Game Porting Toolkit 4、Metal、オープンソースのUnityプラグインを挙げています。これらにより、PCやコンソールのゲームをApple製品に移植する際の時間や手間、費用が大きく減るとも述べました。
発見性の支援と市場の手応え
オリバー氏によると、SteamやNintendo Switchのeショップのようにタイトルが多すぎる市場では、1本のゲームが埋もれやすくなります。Appleはその対策として、世界各地の編集チームによる「人の手によるキュレーション」を行っているといいます。さらに新機能「Creative Assets」を公開し、インディー開発者が検索結果や商品ページのヘッダーに好みのアートワークを表示できるようにしたとのことです。
利用状況についてAppleは詳細なデータを公開しておらず、成果は測りにくい状況です。GamesIndustry.bizは7月、2025年の有料モバイルゲームの売上が77%増加したと報じました。オリバー氏はこの数字がApple側のデータと一致するかは明言しなかったものの、今年は昨年より多くの有料ゲームがApp Storeでリリースされており、成長しているとしています。インディー作品に加え、コンソールやPC向けのシリーズがモバイルに来る例も増えているそうです。
人気の傾向については、コージーゲーム、経営シミュレーション、ローグライクが好調だと説明しました。成功例として『Balatro』『Stardew Valley』『Slay the Spire』『Bloons TD 6』を挙げています。また、有料ゲームに人が集まる背景として世代交代にも触れ、「最初に触れたゲーム機がコンソールやPCではなく、タッチ画面のiPhoneだった世代」が増えていると述べました。
Apple Arcadeの位置づけと残る課題
Polygonの筆者は、Appleのゲーム戦略に疑問点が残るとも指摘しています。Vision Proは販売不振で生産を縮小したと報じられており、複合現実向けゲームへの投資が続くか不透明だといいます。また2023年にAppleのゲームの存在感を高めたCapcomやUbisoftなど大手の全面的な支援は、2026年には見られないとしています。
Apple Arcadeについては、『Vampire Crawlers』がサブスクリプションに加わらずApp Storeに直接登場したことから、Arcade型からの移行の準備ではないかという見方も出ています。これに対しオリバー氏は変更はないとし、Appleは異なる客層に向けた2つの別個の商品を持っているだけだと説明しました。同氏は「『Balatro』のような画期的な作品は、有料ダウンロードとしても、Apple Arcadeの一部としても成り立ちます」と述べ、開発者が作品ごとに最適な形を選べることが重要だとしています。
筆者は、コンソール価格がAI需要によるRAM不足で上昇している状況から、すでに持っているiPhoneやiPadでゲームを遊ぶ人が増える可能性があるとみています。そのうえで、この動きを広く認知させるには勢いを保ち、より多くの開発者を呼び込む必要があり、今後はIndie Games Weekのような盛り上がりを毎週続けられるかが課題になると結んでいます。