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『GTA』のビジュアルを築いたStephen Bliss氏、シリーズへの思いと現在の活動を語る

2026年10月30日 | #ゲーム紹介 | IGN

『GTA』のビジュアルを築いたStephen Bliss氏、シリーズへの思いと現在の活動を語る

Rockstar Gamesで2001年から2016年までシニアアーティストを務めたStephen Bliss氏は、『GTA』シリーズ特有のポップアートやコミック風のビジュアルを形づくった人物です。IGNは、イタリアのLucca Comics and Gamesで同氏に取材しました。『GTA』での仕事への思い、退社後の活動、そして自身の名前を確立したい気持ちと、作品が与えた影響が今も続くことへの思いを聞いています。

「GTAの人」と呼ばれることへの複雑な思い

Bliss氏は、Rockstar退社後はファインアートや自身のIP、アニメーションで名を上げたいと考えてきたそうです。その試みはある程度うまくいっており、キャリアも着実に強まっているといいます。一方で、Rockstarでの経験が今の自分を支えていることは無視できず、長く働けたことに感謝していると話しました。

ただし、「あなたの作品が好きだ」と言われても、素直に喜びきれない面があるとのことです。『GTA 3』『Vice City』『The Warriors』のあとにAnthony Macbain氏(Rockstarのイラストレーション部門ディレクターを13年間務めた人物)とSteven Olds氏(元ビジュアライゼーションディレクター)がチームに加わり、どちらも素晴らしいアーティストだからです。自分だけの手柄だと思われたくないという意味で、「GTAの人と呼ばれたくない」と語ったと説明しています。

イベントでは『GTA 5』のカバーにサインを求められることもあるそうです。Bliss氏はその作品には関わっていないため、謝って事実を伝えるとのこと。相手が残念そうな顔をするのも分かっているそうです。自分のブースに並ぶ個人作品、『Fear City』関連の作品、バンドのギグポスター、コミックよりも、『GTA』のサインや『GTA』に着想を得たLucca向けポスターのほうが関心を集める場面もあります。それでも、自分が良い仕事をしたからこそだと受け止めているそうです。

『GTA 6』のカバーに見つけた自分の痕跡

『GTA 6』のカバーについて、Bliss氏は制作に関わっていないと断っています。それでも、ボックス状のグリッド構成や、左上にヘリコプターを置く配置が使われている点には、自分が築いた流れが続いていると感じ、うれしいと話しました。カバー自体は独自の表現であり、自分が大きく貢献したとは言わない一方で、小さな参照点を見つけると素直に喜べるそうです。

感情的なつながりという課題

退社後の作品に足りないものとして、Bliss氏は感情的なつながりを挙げました。『GTA』のアートには、見て育った人々との間に深い結びつきがあります。最近になって、人体のデッサンが多少崩れていても、細部の正確さにこだわりすぎても、相手の感情に届かなければ意味がないと気づいたそうです。今後の作品では感情的なつながりをつくりたいと考えていますが、具体的な方法はまだ分からないと明かしました。

退社後の10年間、その模索を続けてきたといいます。兄弟で立ち上げたTシャツ会社Steroidの再始動も目指しています。さらに、Ethereumブロックチェーン上のNFTシリーズ『Fear City』と、アートに特化した暗号資産『Looby』を持っており、これらをまとめて「Stephen Bliss」ブランドにしたい考えです。足りないのは資金提供者とマーケティングの担当者の2点だとのこと。過去には資金を持って現れた人もいましたが、中身のない人たちだったと振り返り、いつか誠実な出資者が現れることを願っていると話しました。

9.11後の非暴力カバーは2晩で完成

IGNが過去にDan Hauser氏へ取材した際、同時多発テロ後のカバー差し替えの話題でBliss氏の名前が挙がっていました。これについてBliss氏は、非暴力の『GTA』カバーを作るのは難しい依頼だったと述べています。当時は、今後のエンターテインメントはミュージカルやコメディ、ディズニー作品ばかりになるのではないか、暴力表現を含む作品をどう売ればよいのか、と考えていたそうです。誰にも答えは分からず、自身もミュージカルばかりになると信じていたといいます。

白い背景の『GTA 3』カバーの絵に半年かけた一方で、頭の中には常にグリッドの構成があったそうです。暴力的でない画像だけを切り出してグリッドに配置するという発想は、MarvelやDCのコミックで育った経験に由来します。最近、10歳のころに描いた、このカバーを思い出させる絵を見つけたとも話しました。作業は一晩徹夜というほどではなく、実際には2晩で仕上げたとのことです。金融や投資は得意でないかもしれないが、抽象的なアイデアを素早く思いつくのは得意で、このカバーはその代表例だと語っています。

子どものころから持っているコミックのコレクションで特に印象深いのは、スパイダーマンとハルクだそうです。今も両者が好きで、映画に登場すると胸が躍ると話しました。

『Vice City』から『San Andreas』、『The Warriors』へ

『Vice City』のあと、Bliss氏は『The Warriors』を1人で担当しました。『GTA 3』とは全く違うスタイルでありながら似ている必要があり、非常に難しかったといいます。最初は自分の自然な画風である『GTA 3』風で描き始めましたが、そこから枠を外れ、写真のような絵画調に挑む必要がありました。何とかして方法を見つけるのが常だったそうです。この姿勢は今のフリーランスの仕事でも同じで、できないと思って代理人に断りたいと伝えても、説得されて引き受け、できたときに「自分にもできた」と満足感を得ているといいます。

『San Andreas』では、チームとして「似ているが違う」見た目をどう作るかが課題でした。カリフォルニアの色を考えて、霧がかった色味を方向性の基礎にしたそうです。この差別化には数週間かかる場合もありました。黒の輪郭線のスタイルも、同じでありながら違うものにする必要がありました。

そこでSteven Olds氏が、顔の片側に日差しをなじませ、反対側には鋭く抽象的な稲妻のような色の反射光を置く手法を考案しました。Bliss氏はその手法を教わり、今も使っていて、作品が格段に良くなったと話しています。Olds氏を素晴らしい教師だと称え、チームには実験を許される贅沢があったものの、常に非常に難しい挑戦だったと振り返りました。