『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』は、シリーズ屈指の物語を最も扱いにくい操作で語った作品だった
『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』は、シリーズでも指折りの映画的で胸に残る物語を持つ一方、操作の面倒さも最も目立つ作品だと評されています。約40時間のプレイで繰り返されるのは、コントローラーを構えてセンターを合わせ、剣を振っても思い通りに動かないやり取りです。そこへ相棒のFiが、プレイヤーがとっくに理解したことを長々と説明してきます。物語は素晴らしいのに、その代償としてストレスの大きい操作がついてくる、というのが評価の核心です。
物語を支える個性的なキャラクターと演出
本作には記憶に残る物語の要素がそろっています。リーゼント頭のいじめっ子はやがて愛すべき味方になります。琥珀に封じられた姫の姿を見て、タイムループの仕組みに思いをはせる場面もあります。ダンジョンへ降りるリンクが、ため息をついて気持ちを引き締める姿も印象的です。ゼルダがリンクに背を向け、師匠のインパについていく場面では、彼女の心が砕ける様子が伝わってきます。悪役ギラヒムの正体が分かる瞬間には、思わず息をのみます。
本作はシリーズの時系列で最初の物語にあたります。若きリンクは、空に浮かぶ平和な島スカイロフトの騎士学校を卒業しようとしていました。ところが親友のゼルダが、スカイロフトと地上の間にある雲の障壁「スカイバリア」から落ちてしまいます。リンクはゼルダを探してダンジョンを巡り、恐ろしい「沈黙の領域」の試練にも挑みます。終盤では、リンクはゼルダのもとに間に合うのか、それとも敵が先に着くのか、という問いが突きつけられます。
敵の評価には幅があります。砂上船の「リヴァイアサン」はぬいぐるみのようで、あまり怖くありません。一方、ギラヒムが古代の貯水池で目覚めさせる多腕の兵器コロクトスは、シリーズ屈指の敵と評されています。最終的な敵はデモンで、憎しみそのものの化身であり、のちにガノンとなる復讐の霊です。デモンを補佐するギラヒムは、あらゆる戦いを芝居がかった見せ場にする派手な剣士です。ギラヒムは勝つことに飽きた興行師のように戦い、コロクトスは水没した神殿にそびえ、デモンは空の上の嵐のような空間で雷を放ちます。その雷には、完璧なタイミングのスカイウォードストライクで応じなければならず、この場面は「素晴らしい」と書かれています。壮大なオーケストラの音楽も、こうした遭遇戦をしっかり支えています。
音楽には仕掛けもあります。メインテーマ「女神の詩」は、「ゼルダの子守歌」を逆再生したものです。作曲の若井淑が自分の発想で入れたもので、アオヌマはこれを女神とゼルダをつなぐ意図的な結び付きだと語りました。シリーズが受け継ぎ、形を変えながら語り直してきた旋律と、同じ物語に生まれ変わる勇者と姫の姿が、この一曲に凝縮されているとされています。
物語面の弱点としては、シリーズ全体の設定に食い違いを生む要素があります。藤林秀麿が基本のあらすじを1日で書いたと伝えられており、空に浮かぶ島という舞台も、リンクに高い場所から飛び降りさせたかったことが理由の一つだったかもしれません。それでも筆者は、ほかの多くの面で優れた物語であれば、多少の矛盾は許せると述べています。
モーションコントロールの問題とHD版での改善
本作は、藤林秀麿が監督、青沼英二がプロデューサーを務め、2011年11月にWiiで発売されました。そのちょうど10年後にSwitch向けのリマスター『スカイウォードソード HD』が登場しています。HD版では、オートセーブ、プレイヤーが操作できるカメラ、スキップ可能なムービーが加わり、モーションコントロールをボタン操作に置き換えることもできます。これらにより、不評だった要素の一部が改善されました。
操作の問題は、ゲームの前提そのものに組み込まれていました。マスターソードの起源を描くにあたり、モーションコントロールという仕掛けが土台に据えられたのです。「社長が訊く」シリーズで青沼は、本作の本当のテーマは「Wiiモーションプラスを活かした剣」だったと語り、この周辺機器を軸に剣戟を作るようチームに求めたと伝えられています。その結果、操作面の問題が生まれたとされています。
発売直後、青沼は公式誌のインタビューで「今となっては、ボタン操作には戻れないと本気で思っています」と話していました。ところが10年後、任天堂はボタン操作に戻りました。Switch版は、Wii版の累計販売本数にわずか77日でほぼ並んだとされています。物語を正当化していた仕掛けは選択式になり、残ったのは物語そのものだったと筆者は見ています。
『スカイウォードソード』の夢はその後の作品へ
藤林は、本作のリンクが空から飛び降りて、そのまま進み続ける体験を望んでいました。この夢は、のちに『ティアーズ オブ ザ キングダム』で実現します。同作では、空に浮かぶ島から地下の深層まで、地上に降り立つことなく一気に飛び込めます。
結論:最高の物語に払う代償
その夢が始まったのはスカイロフトであり、この作品には取引がついていました。ゼルダ作品で最も記憶に残る物語を得る代わりに、ストレスの大きい操作と、何でも2回説明する相棒を受け入れなければなりません。さらに、クジラのような巨大な魔物とは3回も戦う必要があります。筆者は、構えて、センターを合わせて、また繰り返すと皮肉っぽく締めくくっています。
物語を重視する人には強くおすすめできる一方、モーションコントロールには覚悟が必要です。HD版ならボタン操作で遊べるため、操作面の不安は軽くなります。本作はSwitchで遊べます。