『バルダーズ・ゲート3』の物語は本当に最高? 往年のRPGファンから見たストーリーとキャラクター描写への疑問、その多様性がもたらす影響を考察
2023年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞した『バルダーズ・ゲート3』について、「ストーリーテリングやキャラクターがゲームプレイを凌駕している」という意見があります。しかし、この見方には異論もあるようです。特に、ゲームプレイは評価できるものの、Larian StudiosのRPGにおける物語や文章にはそこまで感銘を受けていないという意見も存在します。往年のRPG作品に慣れ親しんだゲーマーからすると、プレイヤーの選択が物語に影響を与えることは重要ですが、それ以上に開発者が語りたいストーリーが明確であるべき、という考えが根底にあるようです。
物語の多様性と深掘りの課題
『バルダーズ・ゲート3』はプレイヤーに高い自由度を提供していることで評価されていますが、この自由度が物語の深さに影響を与えている可能性も指摘されています。開発者が「17,000通りのエンディング」があると公言しているものの、これは小さな分岐の積み重ねであり、物語自体の意味やインパクトを希薄にしているのではないかという見方です。例えば、ゲーム終盤でマインド・フレイヤーに変身する選択をしても、パーティメンバーやロマンスの相手からの反応が薄く、その「自己犠牲」が物語上で十分に報われないと感じるケースがあるとのことです。
ロマンスシステムの評価と過去作との比較
本作のロマンスシステムは、プレイヤーがほぼすべてのパーティNPCと関係を築ける点が宣伝されていますが、これを「征服」と表現する声もあります。特定の行動やセリフ、個人クエストをこなすことで相手が「自分のものになる」という感覚が強く、キャラクターの成長や深掘りが十分に描かれていないという意見です。この「好感度システム」は過去のBioWare作品(『バルダーズ・ゲート1』『2』、『マスエフェクト』シリーズなど)にも見られましたが、過去作ではロマンスがより意義深く感じられたといいます。特に『バルダーズ・ゲート2』のヴィコニアとのロマンスは、困難ながらも最終的に深い感動をもたらすものでした。一方、『バルダーズ・ゲート3』のロマンスは、単にプレイヤーの「願望成就」に寄りすぎているきらいがあり、例えばカールラッハやレイゼルとの結末は、物語上の必然性よりもプレイヤーの望みが反映されたものだと指摘されています。
敵キャラクターの描写不足と物語の焦点
ロマンス以外にも、分岐する物語の中で一部のキャラクターやプロットが未発達に感じられることがあります。例えば、主要な敵役の一人であるエンヴァー・ゴータッシュは、プレイヤーに恐怖や共感を抱かせるほどの深みがなく、彼について知る機会も限られているとのこと。彼の過去に関する情報も、見落としやすいオブジェクトや会話の中に隠されており、物語全体に大きな影響を与えていません。これに対し、『マスエフェクト』のサレンや『バルダーズ・ゲート2』のイレーニカス、『ファイナルファンタジー6』のケフカといった過去の偉大なRPGの悪役と比較すると、『バルダーズ・ゲート3』の悪役たちは全体的に印象が薄いとされています。数千ものエンディングを用意する代わりに、主要キャラクターやストーリーラインにもっと焦点を当てていれば、物語全体がより記憶に残るものになったのではないかという見解です。