『The Blood of Dawnwalker』最もつらい任意ミッションが主人公の罪悪感を描く
2026年09月20日 | #レビュー | GamesRadar+
『The Blood of Dawnwalker』に登場する任意ミッション「Home Sweet Home」は、原文筆者が「二度とプレイしたくない」と感じるほど過酷でありながら、主人公Coenの過去と心の傷を最も深く描く内容になっているとのことです。夢の中で家族を救う戦いを繰り返す構成は、単なる悪夢演出にとどまらず、彼が弟Alinの死をめぐって抱え続けてきた罪悪感と、他者を救おうとする性格の根源をゲームプレイそのもので表現しています。原文筆者は、物語とレベルデザインがこれほど密接に結び付いた例は珍しいと評価しています。
錬金術師の塔から始まる異常な寄り道
このミッションは、都市Svartrauを苦しめる粘土製ガーゴイルを調べる過程で、錬金術師の塔に入った際に発生します。本来の次の目的は、錬金術師のメモをMaratに見せることでした。しかし原文筆者は、塔の螺旋階段をさらに上り、閉ざされた扉を調べることを選択します。扉の向こうには錬金術師本人がいるとCoenが反応するため、通常ならボス戦が始まる場面だと考えられますが、実際に起きるのは予想外の展開です。
扉を通り抜けたCoenがたどり着くのは、錬金術師の工房ではなく、自分の家族が暮らしていた家でした。短いカットシーンの後、Coenは朝食の席で目を覚まし、母Esmeや家族と再会します。現実ではすでに失われているはずの母の声を聞いたことで、彼はこの光景が現実ではないと理解しながらも、一瞬言葉を失います。
原文筆者は、この時点でCoenの父Pieterに関する過去を一部知っており、母Esmeが本編開始より何年も前に精神的な危機を経験していたことにも気付いていたと説明しています。Esmeに何が起きたのか、弟Alinがどのように亡くなったのかは、最初から詳細に語られるわけではありません。ただし、家族にとってその出来事が現在も触れにくい傷として残っていることは、会話やCoenの反応から徐々に示されます。
やがて怪物が家を襲い、家族は恐怖の中で散り散りになります。Coenは彼らを助けるため外へ飛び出しますが、そこで原文筆者は、夢の世界が単なる舞台の変更ではないことを思い知らされます。高レベルの防具、武器、ポーション、強力なヴァンパイア能力、トリンケットはすべて失われ、手元に残るのは1回の攻撃で40ダメージを与える一般的な品質の剣だけです。装備もほとんどなく、通常の戦闘とはまったく異なる不利な状態で家族を追うことになります。
装備を奪われた悪夢の戦闘
最初に立ちはだかるのは、母Esmeに群がる5体の亡霊です。現実のVale Sangoraであれば簡単に倒せる敵でも、夢の中では攻撃がほとんど通りません。一方で、まともな防具を持たないCoenは、敵の攻撃1回で体力の約3分の1を失います。原文筆者はこの戦闘で何度も敗北し、最終的には戦闘時の音を消して集中するという、タイミング重視のゲームで使ってきた対策に頼ったと振り返っています。
亡霊を倒すと、EsmeはCoenに礼を言い、安全のため教会へ向かうよう促します。この場面では、家族のもとへ行くよう勧める選択肢に加えて、Esmeを本物の母親であるかのように扱い、夢の中で会話を続ける選択肢も提示されます。後者を選べばCoenの家族についてさらに掘り下げられますが、原文筆者は夢に深く引き込まれることを避け、先へ進むことを選びました。その結果、Esmeは息子から突き放された理由が分からず、混乱と悲しみに取り残されます。
次に訪れる町の広場では、黒いローブをまとったレイスが大量に出現します。レイスは非常に素早く、画面に攻撃方向の警告が表示されても反応する時間がほとんどありません。さらに敵の中には赤いオーラをまとった個体が紛れており、これを見落とすと戦闘が大幅に難しくなります。
この赤い個体は、現実のゲーム内で呪われた場所に現れるレイスと同じく、周囲の敵から体力を吸収し、新たな手下を生み出します。そのため、通常のレイスを先に倒し続けるだけでは戦闘を終えられません。原文筆者は6回目の敗北を迎えたところで仕組みに気付き、赤いレイスを最優先で狙うことで戦況を立て直します。この戦闘を切り抜けると、Coenはきょうだいを救出し、教会で父親と対峙します。そこではガーゴイルとの戦いも発生しますが、敵が1体だけであるため、大群を相手にする場面よりは対処しやすかったとされています。
ループする夢が明かすCoenの過去
教会に到着したことで悪夢が終わると思わせておきながら、Coenは意識を取り戻しません。教会に入った彼は再び家族の家へ戻され、夢は最初の朝食の場面からループします。ただし、村の広場にある井戸の映像が一瞬だけ画面に映り、悪夢から抜け出す手掛かりとして示されます。
2回目の朝食では、原文筆者は会話を詳しく確認するため、家族とのやり取りをより長く選びます。ここでCoenが母をどのように見ているのかが明確になります。彼は母に会えなかったことを悲しみ、声を聞けたことを喜ぶ一方で、母が自分の内面に閉じこもり、家族を置き去りにしたことを恨んでいました。Coenは母に対して、愛情と怒りを同時に抱えていたのです。
さらに彼は、弟Alinについて母に問いかけます。母はAlinに起きたことをCoenのせいだと考えているのか。なぜ自分を許せないのか。会話はそこで中断され、再び怪物が現れますが、家族を救うために戦い続けるCoenの姿から、彼が過去の出来事を現在も自分への責任として背負っていることが伝わります。
町の広場でレイスを退けた後、Coenは先ほど見た井戸へ向かいます。井戸の中に現れるのは、彼自身の怒りに満ちた顔です。そこに映るCoenは、自分を臆病者だと責め、弟に起きたことを受け入れられず、自分が死に関わったことも許せないと認めます。悪夢を壊すために必要なのは、敵を倒すことではありません。Coenは弟の名前を何度も叫び、Alinの存在を正面から認めることで、ようやく夢の構造に亀裂を入れます。
井戸を無視した場合、Coenは悪夢のループから抜け出せず、本作に用意された秘密のエンディングの1つへつながるとのことです。原文筆者はその展開を避け、井戸を調べて先へ進みます。するとヴァンパイアの力が戻り、氷に覆われた崖を移動できるようになります。その先では、Coenの記憶をたどるような迷路が待っています。
Alinとの別れが示す「救う者」の原点
記憶の中で明かされるのは、Coenが幼い頃、凍った湖で遊んでいた最中にAlinを失ったという事実です。Alinは一瞬前までそこにいたのに、次の瞬間には姿を消していました。Coenは事故だったと理解しながらも、自分なら何かできたはずだという思いを捨てられず、その責任を抱え続けています。
この場面では、Coenがなぜ他人を救うことに執着するのか、その根本が少しずつ明らかになります。家族を守るため、ほとんど何も持たない状態で怪物の群れへ飛び込む夢の中の行動は、単なる英雄的な演出ではありません。弟を救えなかったという記憶に対して、今度こそ誰かを救わなければならないという強迫観念の表れです。
やがてAlin本人がCoenの前に現れます。Alinは兄に自分を許すよう告げ、Coenが犯した最も悪いことは、弟が亡くなった場所を訪れなかったことだと伝えます。Alinは長い間、兄が来るのを待っていたのです。Coenが泣き崩れると、Alinは兄を抱きしめ、最後の別れを告げます。そして彼を夢の外へ押し出し、Coenは現実で意識を取り戻します。
原文筆者は、この一連の流れについて、家族を救うために装備を奪われたまま地獄のような戦いを続けるプレッシャーと、Alinが亡くなった当時にCoenが自分へ課したプレッシャーが重なっていると説明しています。Rebel Wolvesは、Coenの羞恥や罪悪感を説明文だけで済ませず、装備を失わせ、戦闘をループさせ、最後には記憶の迷路を進ませることで描き出しています。
「Home Sweet Home」は、錬金術師を倒した後にミッションログを確認すると、すでに死亡しているBoyaress Xantheの分岐型サイドクエストだったことが分かります。XantheはBrencisの部下の1人で、原文筆者が本編で最初に倒した人物でもあります。つまり、このミッションは本筋を進めるだけなら必ずしも体験する必要はありません。
原文筆者は、Coenが長年の苦しみから解放される結末に強く心を動かされた一方、再びプレイすることには消極的です。何度も同じ悪夢へ戻され、弱い装備で強敵と戦い、最後には主人公の最も痛ましい記憶と向き合う構成は、物語としては優れていても、体験としては極めて重いからです。それでもこの任意ミッションは、主人公の性格を説明するだけでなく、プレイヤー自身に「救う」とは何かを体験させる、本作でも特に印象的なエピソードになっています。