『Clive Barker's Hellraiser: Revival』は抜群の雰囲気を粗末な戦闘が損なっています
2026年10月08日 | #レビュー | DualShockers
『Clive Barker's Hellraiser: Revival』は、Hellraiserの世界を見事に描いた物語と雰囲気が魅力のホラーゲームです。Saber Interactiveが手がけた本作は、原作シリーズのゲーム化を待った甲斐があると思わせる一方、粗末な戦闘と、試行錯誤を繰り返す長い逃走場面が足を引っ張っています。物語の続きや次の場所を見たい気持ちは強くかき立てられますが、遊びそのものの面白さには大きな不満が残ります。
救出劇を通して問われる愛情と欲望
長い歴史を持つHellraiserをゲームにするうえで、物語がシリーズの魅力を受け継げるかは大きな懸念でした。その点で、本作は期待に応えています。映画の最初の2作品に着想を得ながら、それらを作り直すのではなく、独自の物語で世界を広げていることも好印象です。脚本はよく練られており、物語は本作で最も優れた部分になっています。
主人公のAidenは、謎めいた迷宮Labyrinthに囚われた恋人Sunnyを救うために旅に出ます。その鍵となるのが、特殊な力を秘めたパズルボックスConfigurationです。Aidenはその力を使い、迷宮を攻略しながらCenobitesやPinheadに立ち向かいます。
あらすじだけを見ると単純な救出劇ですが、その奥には、人間の欲望と、それを満たすためにどこまで踏み込むのかという問いがあります。薬物依存、共依存の関係、不健全な性的欲望、そして自分だけでなく周囲も傷つける行動を扱っており、善と悪の対立だけで片づけられる物語ではありません。
とりわけ印象的なのが、AidenとSunnyの関係です。表面上は愛し合う恋人同士に見えても、物語が進むにつれて、その間に本当の愛情があるのか疑わしくなります。2人を結びつけているのは、過激で痛みを伴う性的体験への欲求なのかもしれません。その欲求に目を奪われ、心のつながりを築けず、より危険な自傷行為に満足を求め続けているようにも映ります。
だからこそ、Aidenの旅には単なる恋人の救出以上の引力があります。Sunnyを助けたいのは愛しているからなのか、それとも歪んだ性的幻想を満たしてくれる存在だからなのか。彼にとって彼女は、別の形の薬物にすぎないのではないか。むしろ離れたほうがよいのではないか。プレイ中は、こうした疑問が絶えずつきまといます。声優陣の演技もそれぞれの役に説得力を与え、物語を支えています。
足を止めて見入るほどの悪夢の世界
本作の雰囲気づくりは、ホラーゲームでも屈指の出来です。稲妻が走るLabyrinthの空から、薄暗い建物の廊下まで、舞台の空気は一貫して素晴らしく、先へ進むほど映像表現も見応えを増していきます。体験版の時点で感じられた完成度の高さを、製品版はさらに上回っています。
壁に掛かった絵、机に置かれた小物、読むことのできるメモ。その1つ1つが組み合わさり、世界に確かな実在感を与えています。こうした細部によって、本作は単なるホラーゲームを超え、Hellraiserらしい病的でねじれた、性的倒錯に満ちた悪夢になっています。
不規則に光が明滅する性行為のためのクラブ、実験用に切り開かれた遺体が並ぶ研究所、Cenobitesが捨てた死体の浮かぶ汚水まみれの下水道など、訪れる場所も強烈です。もう十分に見たと思ったところで、次の章ではさらに異様で、心をざわつかせる光景が現れます。
あまりに周囲の描写に引き込まれるため、何度も足を止めて見回し、物語を進めるために意識して探索を切り上げるほどでした。ホラー作品の雰囲気を重視する立場から見ても、この部分に不足はありません。
恐怖よりも面倒さが勝る逃走場面
これほど優れた舞台を作り上げながら、プレイヤーを怖がらせる方法はありきたりです。特に問題なのが、試行錯誤に頼った逃走場面の繰り返しです。追われる展開そのものは悪くありませんが、何度も続くと新鮮さがなくなり、本作が早い段階でアイデアを使い果たしてしまったように感じられます。
さらに、一部の逃走場面は長すぎます。進む道を選び、それが安全な場所につながっていることを祈るしかありません。間違えれば敵に出くわしてゲームオーバーになり、正しい道を覚えてやり直すことになります。短い場面ならまだ許容できても、長く続くことで、緊迫した脱出が退屈な経路の暗記作業に変わってしまいます。
繰り返される逃走、苛立たしいステルス、突然押し寄せる敵の群れは、恐怖よりも煩わしさを残します。今年のResident Evil: RequiemやSilent Hill: Townfallが見事に恐怖を演出していたことを踏まえると、本作の怖がらせ方には物足りなさがあります。じわじわと不安を高めるには理想的な雰囲気を備えているのに、その強みを生かす場面は少なすぎます。
特殊能力の快感を生かしきれない戦闘
サバイバルホラーで戦闘が最も重要だとは限りません。ただ、本作では恐怖演出の弱さを補う面白さが必要でした。残念ながら、戦闘も期待に応えられていません。Configurationで火や物体を操る仕組みには光るものがありますが、その可能性を十分に引き出せていないのです。
近くのたいまつから火の玉を取り出して敵の群れに放ち、一斉に燃やす瞬間は非常に爽快です。しかし、利用できる火は特定の戦闘にしか配置されておらず、今回のプレイでも武器として使えたのは数回にとどまりました。最も面白い攻撃がときどきしか使えないため、決められた場面だけの仕掛けに感じられるのは残念です。
一方、念動力はゲームを通して利用できます。周囲の鋭利な物体を持ち上げ、敵の群れに投げ込んで体を切り裂き、手足を切断する感触は良好です。能力の使用に必要なSufferingゲージが十分にたまっているときは、近接武器や銃よりも優先して使いたくなります。
その近接攻撃と銃撃は、戦闘の弱点が最も目立つ部分です。Dying Lightを思わせる感触はあるものの、安っぽい出来に感じられます。近接武器を当てても重みがほとんどなく、銃撃も淡白で、全体の操作感がぎこちないのです。戦闘そのものに苛立ちを覚えるほどで、遊び続けるうちに退屈さが増していきます。
物語に引かれても、遊びの弱さは残ります
『Clive Barker's Hellraiser: Revival』の物語と雰囲気は、Hellraiserの名にふさわしい出来です。欲望や依存を重ね合わせた筋書きと、細部まで作り込まれた舞台には、ゲーム化された意義を十分に感じられます。次に何が待っているのかを確かめたくなる力があり、途中でやめにくい作品でもあります。
ただし、その魅力で粗末な戦闘や過剰な逃走場面が帳消しになるわけではありません。Hellraiserの世界や物語に強く引かれる人には見どころがありますが、ゲームを遊ぶ楽しさを最優先する人にとっては、これらの欠点がプレイを断念する理由になり得ます。