『Phantom Blade Zero』はクリアまで約25〜30時間、ディレクターがプレイ時間を明かす
2026年10月09日 | #ゲーム紹介 | DualShockers
中国のS-Gameが手がける『Phantom Blade Zero』は、明朝に着想を得た架空の世界「武林」を舞台にしたアクションゲームです。ディレクターのSoulframe氏によると、クリアには約25〜30時間かかる見込みで、武器は全30種。2周目以降や高難度モードでは、後半で手に入る武器を生かした新たな遊びも楽しめるといいます。2026年10月29日にPS5とPC向けに発売予定です。
30種類の武器で戦い方が変わる
武器はそれぞれ、アニメーションだけでなく性能や仕組みも異なります。たとえば第2ステージで手に入るDrunken Bladeは、使うほどキャラクターが酔い、剣の動きも変化します。酔いが深まるほど威力も上がるという武器です。
Soulframe氏は、プレイヤーに多くの武器を試してほしいとしつつ、使う武器を1つに絞って最後まで進めても問題ないと説明しています。幼い頃の木剣も挑戦用の武器として用意されており、理論上はそれだけでゲームをクリアできます。武術を極めれば立派な武器は必要ない、という中国武術の考え方を反映したものです。
武器の調整では、すべてを厳密に同じ強さにするより、敵や仕掛けに対する異なる「鍵」として機能させることを重視しています。たとえば斧は盾を壊しやすい一方、盾を破る方法はほかにもあります。敵や状況に合った戦い方を探すことで、遊びに変化を持たせる狙いです。対人戦やマルチプレイのない作品だからこそ、武器ごとの個性を優先できるとしています。
モバイルゲームから大規模な作品へ
S-Gameにとって、本作はUnreal Engine 5を使った初の大規模な3D作品であり、コンソールとPC向けタイトルへの初挑戦です。一方、作品の世界や物語の構想は、Soulframe氏が学生だった頃から20年以上続いています。
中国国内には、この種のゲームを作った経験を持つ開発者が多くなかったため、チームは制作体制を一から築きました。アニメーションや3Dモデル、コンセプトアートを長年手がけてきた中国の外部制作会社の力も借りています。また、卒業したばかりで大規模開発の経験がない若手に、ラスボスやゲーム冒頭の演出といった重要な仕事を任せることもあるそうです。
予算や規模からはインディーゲームとは呼べないものの、常識にとらわれず挑戦する姿勢にはインディーの精神があるとSoulframe氏は語ります。
中国文化を生かしながら、物語は普遍的に
物語の中心は、所属組織から追われる凄腕の暗殺者です。Soulframe氏は「ドニー・イェンが演じるジョン・ウィックのようなもの」と説明しており、筋立ては理解しやすく、友情や愛、復讐、憎しみといった感情を軸にしています。
一方で、武術の動きや武器、中国の風景には文化的な背景を色濃く反映しています。文化要素が理解の壁にならないようにしながら、作品に独自の味わいを加えることを目指したといいます。ブルース・リーの「水のようになれ」や「水に映る月」のように、中国哲学に根ざした表現も含まれていますが、知らなくても物語を楽しめる構成です。
映画のカンフーを操作できる戦闘へ
過去4年間の開発で、最も苦労した課題の約80%は戦闘づくりだったとSoulframe氏は振り返ります。目指したのは「操作できるカンフー映画」ですが、映画の連続した動きを、そのままゲームに移すことはできません。動きを区切り、プレイヤーが操作する間や動作のつなぎ目を設計しながら、映像としての流れも保つ必要があります。
社内の武術チームが、ドニー・イェンや獅子舞のチーム、剣術の達人などから得た知識をゲーム向けの動きに翻訳しています。動作の始まりや止めどころを細かく組み立て、攻撃の間に視覚効果も加えます。Flower Bride戦で巨大な皿の上に繰り出される花の攻撃も、その一例です。
物語と探索を備えた独自のジャンル
公開済みの映像や体験版では戦闘が中心だったため、敵を倒しながら一本道を進む作品だと思われることもあったとSoulframe氏は話します。しかし実際には、物語や探索、隠された秘密にも重点を置いています。
作品の土台には、サイドクエストやマップ、アイコンによる案内を備えたRPGの仕組みがあります。マップに目印を大量に並べるのではなく、登場人物との会話から秘密の手がかりを得て、探索につなげる設計です。その上にソウルライク作品を参考にした複雑なレベル構成があり、ボス戦ではハックアンドスラッシュに着想を得た高速のコンボ戦闘が展開します。
Soulframe氏は、特定の既存ジャンルに当てはめるなら「武侠アドベンチャー」、あるいは「Phantom Blade独自のジャンル」と表現しています。
高難度では敵の行動パターンも変化
難易度選択は、武術や刀剣の魅力を楽しみたい人から、手ごたえを求める熟練者まで幅広く遊べるように設けました。高難度では敵の体力や攻撃力を上げるだけでなく、AIや行動パターンも変わり、新たな危険な技を使うようになります。ボスも攻撃性が増し、攻撃の組み立てが変化するため、対処法を考え直す必要があります。
「66 Days」モードでは、再挑戦できる回数が66回に制限されます。開発者にとっても厳しい難度の「Hellwalker」など、腕を試したいプレイヤー向けの挑戦も用意されています。高難度向けの戦闘には多くの追加作業が必要ですが、挑戦を楽しむ人がいるなら価値があるとSoulframe氏は語ります。
「Kungfupunk」で築く独自の世界観
Soulframe氏は、本作の美学を「Kungfupunk」と名付けています。中国武術の伝統を土台に、ハリウッド映画や日本の漫画・アニメ、自身の武侠文化から影響を受けた要素を組み合わせ、新しい大衆文化として広げることが目標です。
顔がくぼんだ人物、赤い糸が張り巡らされた巨大な機械構造、身体に付けた鈴で導く演出などが、この世界の特徴です。竜や骸骨、ネクロマンサーといった分かりやすい幻想表現に頼らず、文化に根ざした独自のルールを持つ幻想世界を描いています。Soulframe氏は、今後の作品も通じて「Kungfupunk」を広く知られる言葉にしたいと話しました。
PS5 Pro向けの映像強化も予定
PS5 Pro向けには、専用に最適化したレイトレーシング機能のほか、キャラクターや風景のモデル品質、細かなライティングの改善を準備しています。詳細は今後PlayStation Storeで公開する予定で、State of Playのトレーラー終盤にも一部の映像表現が含まれているとのことです。
ボス戦は演出を含めた「ショー」
ボスの着想は、花や小道具、感情、音楽など、さまざまなところから得るそうです。武器、物語、見た目、音楽を組み合わせ、登場の演出や舞台、場面転換、戦闘の振り付けまで含めて、ボス戦全体をショーとして作り上げます。
実在する武器を参考にしながらボスの個性を加え、倒した後にその武器を手に入れれば、ボスの持つ雰囲気を自分の戦い方に取り込める設計です。
2周目では後半の武器が新たな遊びにつながる
ストーリーの内容を高難度や2周目以降のプレイに限定する予定はありません。探索や戦闘、仕組みの習得に時間をかければ、難易度を問わず1周でプラチナトロフィーを獲得できる想定です。追加の難易度や2周目以降のモードは、武器を使いこなす達成感や、さらなる挑戦を求める人に向けたものです。
2周目以降に隠されたストーリーはありませんが、後半やラスボスから入手する強力な武器を使うことで、遊び方が変わります。通常の1周では、手に入れても十分に使う機会がない武器もあります。Soulframe氏によると、終盤に手に入る少なくとも10種の武器は、2周目や「66 Days」で試すことで新鮮な体験につながるそうです。
クリア時間は約25〜30時間
クリア時間の目安は、ボス戦で大きく詰まらないプレイヤーで約25〜30時間です。ボスで行き詰まれば、さらに時間がかかる可能性があります。Soulframe氏は、総プレイ時間よりも体験の密度を重視し、作業の繰り返しや資源集めのための単調な周回、意味のない空きマップを避けたいと語っています。
サイドクエストも武侠の世界観に沿っており、武術や殺し、血と鋼を軸に展開します。「トイレの詰まりを直したり、おばあさんの迷い猫を探したりする依頼ではありません」とSoulframe氏は説明しました。ボス戦で苦戦したときは、RPGの仕組みを生かしてビルドや武器セット、アクセサリーを変え、同じ装備のまま何度も挑み続けずに済むようにしています。
発表後も広がった期待
Soulframe氏は、2023年のPlayStation Showcaseや2024年のSummer Game Festに登場した当時、S-Gameも作品も業界やプレイヤーにはほとんど知られていなかったと振り返ります。最初のSummer Game Festの体験版は、探索なしでボス3体と戦う内容でした。「この形式でボスを12体作れば十分なゲームになる」と言われたこともありましたが、現在はそこから大きく発展しています。
Soulframe氏によると、ウィッシュリスト登録は300万件を超えたとみられます。新しい映像や体験版を出すたびに、チーム自身が誇れるものを届けることを大切にしてきたといいます。カンフーやゲームへの情熱、独自の世界観、若手を含む開発チームの仕事を本作を通じて伝えたいと話しました。