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『Order of the Sinking Star』、Steam初週販売本数が『The Witness』を45%上回る。ジョナサン・ブロー氏が語る開発と今後

2026年10月30日 | #ゲーム紹介 | DualShockers

『Order of the Sinking Star』、Steam初週販売本数が『The Witness』を45%上回る。ジョナサン・ブロー氏が語る開発と今後

2026年10月8日に発売されたパズルゲーム『Order of the Sinking Star』について、開発者のジョナサン・ブロー氏が2度目のインタビューに応じました。レビューへの向き合い方、10年に及んだ開発、物語の作り方、価格設定の考え方、そして発売後の展開まで、幅広く語っています。注目は、今後の追加コンテンツに含みを持たせた発言です。ただし、実施されるとしても2027年中頃以降で、確約ではないとのことです。

本作の開発元はThekla Inc.、パブリッシャーはArc Gamesです。

レビューは読まず、プレイヤーの評価を重視

本作は海外メディアのレビューで10点、9点、8点といった高評価が並んでいます。しかしブロー氏は、レビューを1本も読んでいないそうです。長い時間をかけて作ったゲームへの評価は、たとえ好意的でも身構えてしまい、読む気持ちになれないとのことです。レビューを否定しているわけではなく、ゲームの存在を広め、購入の判断材料になるものだと理解しています。ただ、その読者はプレイヤーであって自分ではない、という考えです。

気にしているのは、各プラットフォームのプレイヤー評価です。無料の先行コピーで遊ぶ人と、お金を払って買った人とでは立場が違います。後者に対して良いものを届けられたのか、期待を裏切ったのかが重要で、現状では良いものを届けられたと受け止めているそうです。

また、シングルプレイのパズルゲームは、ゲームファン全体の半数にも届かない層に向けたものだと説明しています。『Call of Duty』のように幅広い層を狙う大型作品と違い、レビュアーが本作の想定する読者層に入らない可能性も高いという見方です。

発売後も続くパッチ対応

発売から約1週間半の間に、パッチはすでに少なくとも4回配信されています。PlayStationとPCの両方で素早く修正を出せている点を、ブロー氏は良い状況だと話しています。

対応しているのは、パズルが解けない状態に陥る問題などです。本作は無制限にアンドゥできるため深刻さは抑えられているものの、良い体験ではないため修正を進めているとのことです。

デモ版からレビュー版、さらに最終版へと、品質は大きく向上したといいます。開発に10年かけたにもかかわらず、最後の数か月で多くのことが一気に進み、レビュー版を出した約5週間前から製品版までの間にも、ゲームは大きく良くなったそうです。

『The Witness』を超えた初週の販売

Steamでの初週販売本数は、『The Witness』より45%多かったとされています。これについてブロー氏は、人が作品を好む理由は分からないものだと慎重です。『The Witness』は2016年にSteamとPS4で同時発売された作品で、数字が手元にある唯一の比較対象だから挙げたにすぎない、と説明しています。

当時は一人称視点というだけで、一般的なインディーゲームより価値が高く見られた面があったと振り返ります。一方、2026年には、Unityで作られた手軽な一人称視点のゲームも多く、特別なことをしていない限り、プレイヤーはそれほど気にしなくなったという認識です。

ブロー氏は、新作が出るたびに売れ行きは見えないと語っています。大ヒットを出したインディー開発者が、続けて出した新作で失敗する例も何度も見てきたそうです。本作も、パズルの形式も視点も違い、前作から10年が経っています。それでも毎回プレイヤーが集まってくれていることに、感謝を示しました。

4つの世界が組み合わさる設計

本作の出発点は、『The Witness』にありました。同作は、小さな記号が持つルールを個別に学び、後半でそれらを組み合わせて複雑なパズルにしていく構成でした。ブロー氏はこの発想をさらに進め、「記号ではなく、ゲームそのものを組み合わせたらどうなるか」と考えたそうです。

そのため本作には、それぞれ異なるオブジェクトとルールを持つ4つの世界があります。単なる設定上の仕掛けではなく、世界同士が出会うことで新しいことができるようになります。

ルールを組み合わせる設計は、プレイヤーが想定外の動きをすると破綻しかねません。ブロー氏も強く懸念しており、特に多数のオブジェクトが置かれた広大なオーバーワールドで、問題を探す作業に力を入れたそうです。それでもすべては見つけられず、工夫を凝らしたプレイヤーが新たな不具合を見つけた例もあるといいます。

ただ、シングルプレイであること、いつでもアンドゥで戻せることから、影響は限定的だと考えています。マルチプレイ作品のように、他のプレイヤーの体験を壊す心配はありません。パズルの意図が分からないまま遊ぶ人が想定外の行動を取り、レベルが壊れてしまう場合は、悪い体験につながるため優先して直すそうです。ゲームには998を超えるレベルがあり、そのうち1、2か所で起きた問題なら全体への影響は小さい、という見方です。

長さは削れなかった理由

本作は、パズルゲームとしては非常に長い作品です。短くできなかったのかという問いに、ブロー氏は、開発チーム内からも縮小を求める声があったと明かしています。単に楽しいパズルを遊ばせるだけなら大幅に削れたものの、隠し要素を入れることや、パズルを極めたい人に歯ごたえのある内容を用意することも目標だったと話します。

さらに、4つの世界という構造に合わせて、オーバーワールドの地図も物理的に配置されています。その空間を埋め、上級者向けの内容も入れた結果、大規模なゲームになりました。削れば作品としては劣るものになると考えています。

ブロー氏は、本作が単に大きいのではなく、ルールの組み合わせという野心的な設計目標を実現していると強調します。その構造を理解したプレイヤーにとっては、歴代の優れたパズルゲームに並ぶ作品になりうるとも述べました。

物語はパズル的な感覚で作った

物語がわかりにくいという声については、これまで手がけたすべての作品で、観客の一部が物語に不満を述べてきたと振り返っています。誰もが満足する形はない、という捉え方です。

本作はメカニクス優先で設計されたゲームです。『アンチャーテッド』のような物語中心の作品では、操作に慣れた後は物語が前面に出ます。しかしパズルゲームでは、パズル自体がプレイヤーに語りかけるため、物語が前に出るほどパズルの表現する余地が奪われます。これが根本的な難しさだとしています。

さらにブロー氏は、ゲームの物語は単なる埋め草になりがちだとも感じており、そうではないものを目指したそうです。そのため、断片的に語られる情報を自分で組み立てて理解する、パズル的な物語になっています。多くのゲームより複雑なので、好みが分かれることも承知の上だといいます。

物語に関心がない人のために、最終版ではメニューから物語をオフにできるようになりました。この機能はレビュー版には入っていませんでした。

ブロー氏は、インディーの意義は主流の大作が取らないリスクを取ることだと考えています。物語の構造もそのリスクの1つだという位置づけです。ただし、プレイヤーに理解や深読みを求めているわけではなく、「物語が高度すぎて分からない」という意味でもないと念を押しました。単に自分の好みの形であり、合わない人がいても全く問題ないという考えです。

また、「これはあなたには向いていない」と突き放すような、一部のインディー開発者の態度には共感できないとも述べています。お金の問題を抜きにしても、苦労して作ったものは、できるだけ多くの人に遊んで楽しんでほしいからです。

価格を抑えた理由

本作は、遊べる時間の長さに対して価格が抑えられており、1時間あたりのコストは非常に低くなっています。ブロー氏は、パブリッシャーのArc Gamesも裏で検討していたため、自身は会議に参加しておらず、同社の考えを代弁するものではないと断った上で、個人の見解を語りました。

2026年はインディー開発者による高品質なゲームが大ヒットしており、本作もその価格帯を参考にしたといいます。ブロー氏は例として、Mewgenics、Slay the Spire 2、Subnautica 2、Hollow Knight 2などを挙げ、これらは似た価格帯で、価格はそれほど高くないと話しています。今のプレイヤーが反応している価格帯だと判断したそうです。

『The Witness』をSteamで発売した際は40ドルで、当時は高いとされ、インディーがその価格を付けたことが小さな議論にもなりました。ブロー氏は、線を引くだけの奇妙なパズルゲームで、コアなパズルファン以外に買う人がいるか分からなかったため、そのファンから収益を得ようと高めに設定したそうです。しかし結果は、予想以上に多くの人に遊ばれました。30ドルにしていれば収益は同じくらいで、より多くの人が遊んだかもしれないと振り返っています。創作者として、より多くの人に遊んでほしいという思いも、今回の価格の理由の1つです。ただし、もっと高くしていたらどうなったかは分からないとも述べています。

追加コンテンツの可能性と模倣作品への思い

追加の秘密要素などのコンテンツについて、ブロー氏は、可能性は漠然とあるとしつつ、実現するとしても2027年中頃以降になると話しました。何も約束はできないものの、検討はしているそうです。

『The Witness』には、パロディの『The Looker』や、ファミコン風にデメイクしたWit.nesなど、多くのファン作品が生まれました。本作でも同様のことが起きるかとの質問には、予測はできないとしながらも、毎回意外なことが起きてきたので、今回も違う形で驚かされるかもしれないと答えています。

ブロー氏自身は、こうした作品を遊んでいません。長く取り組んだゲームの後は心の状態が繊細で、エネルギーを温存し次の作品づくりに向けたいからで、レビューを読まないのと同じ理由だそうです。承認しているわけでも否認しているわけでもなく、遊んだ人が楽しんでいるなら良いことだという立場です。

また、『The Witness』はウィットネス系とも呼べるジャンルの形成に貢献したと述べました。ほかのデザイナーが作品に刺激を受けて自分なりの形を作るのは、ゲームデザインという営みが生きている証だと捉えています。

最後に、2026年に19歳でゲームデザイナーを志す人はどうやって作品を注目してもらうのか、という話題にも触れました。ゲームの数が非常に多い現在、目を引く作品を作るしかないというのは昔から変わらない答えだとしています。ただ、何が人の関心を引くかは毎年変わるため、それを見つけること自体がパズルなのだと語りました。