『Order of the Sinking Star』レビュー、英雄の能力の組み合わせが生む独創的なパズル体験
2026年10月07日 | #レビュー | DualShockers
『Order of the Sinking Star』は、英雄ごとの能力と多彩な仕掛けを組み合わせ、学ぶ楽しさが途切れない1人用パズルゲームです。長すぎるボリュームと物語の伝え方には難があるものの、パズルの独創性は抜きん出ています。筆者にとって、これまで遊んだなかでも屈指のパズルゲームであり、序盤から長時間にわたって夢中になれる作品でした。
行き詰まったら別の場所へ向かえる世界
本作は、奇妙な次元に点在する部屋を巡り、さまざまな英雄を使って道を阻むパズルを解く、歯応えのあるゲームです。発見したときの驚きが大きな魅力なので、ここでは基本的な仕組みを中心に紹介します。
開始地点から東西南北にエリアが広がっており、どこから探索するかは自由です。それぞれに異なる仕掛けがあり、たとえばMirror Islesでは、キャラクターや特定の物体を転送する鏡が中心になります。あるパズルで行き詰まったら、オープンワールドのゲームのように別の場所へ向かえるため、取り組む順番にも自由があります。
ゲームの舞台は、大きく2つに分かれています。筆者が「探索世界」と呼ぶ場所では、エリア間を移動しながらさまざまなものを発見します。一方、小さな星が置かれた地点から入れる「パズル世界」では、そのエリアに応じて指定された英雄を使い、問題を解いていきます。
やがて両者が交わり、異なるエリアの英雄を組み合わせたパズルにも挑むことになります。奇妙な次元の謎を追いながら、1つ解くたびに次のパズルへ進んでいく構成です。
能力の組み合わせが、知っている仕掛けを新鮮にする
本作で特に優れているのは、覚える仕組みと、その相互作用の豊富さです。英雄ごとに専用のパズルがあるだけでも十分に印象的ですが、複数の英雄と能力を組み合わせることで、解き方の幅はさらに広がります。ほぼすべてのパズルに少しずつ違いがあり、慣れ親しんだ要素を使いながらも新鮮に感じられます。しかも、複雑さに圧倒されて投げ出したくなるほどではありません。
パズルは、見方を変えたり、別の方法を試したりするよう促してきます。あれこれ考えた末に解けてみると、想像していたよりずっと単純で、もっと早く気づけなかったことがばかばかしく感じられる場面もありました。
筆者が特に気に入ったのは、鏡を特定の方法で使うと、キャラクターや物体の複製を作れる仕組みです。キャラクターの複製は本体と連動して動くため、それを利用したさらなる工夫が可能になります。こうした意外な相互作用はほかにも数多くあり、探索を進めるほど増えていきます。
新しい問題から得た気づきが、別のパズルを解く手がかりになることもあります。仕組みを理解して次々と解けるようになったところで、また見たことのない問題に出会う。この学びの連続が、本作の大きな魅力です。
膨大な問題数が、達成感を薄めることも
大きな難点は、あまりにも長いことです。筆者にとっては、これまで遊んだ1人用パズルゲームのなかでも、おそらく最長の作品でした。難しい問題で足が止まる時間も含め、完璧に進めて一度も行き詰まらないのでなければ、40時間未満で終えるのは難しいだろうと見ています。
本作は、4つのパズルゲームを1本に詰め込んだような規模で、それぞれに大量の問題があります。このボリュームを歓迎する人も多いでしょう。ただ、遊び続けるうちに疲れが出てきます。どれだけ先へ進んでも、パズルから次のパズルへ移っているだけで、十分に前進している実感が得られない場面がありました。
パズル世界の問題の多くは、新しい道を開いたり、次の区画へ進むための何かを手に入れたりすることにつながります。ただし、すべてがそうではありません。全問を解く必要はないものの、大きなパズルに挑む機会を得るだけでも、かなりの数をこなすことになります。
探索世界のパズルに必要なものを解放するため、小さなパズルを解き続ける。その流れは、次第に作業のように感じられました。問題を解いた報酬が、また別の問題でしかないように思えるのです。パズル自体の質が高くても、その数の多さが負担になる点は見過ごせません。
物語の断片を振り返る手段が足りない
物語については、何の話なのかを正確に説明するのが難しいと筆者は感じています。情報の伝え方にまとまりがなく、全体像をつかみにくいためです。
プレイ中には、物語上の大きな見せ場やカットシーンなど、強く印象に残る展開がありません。情報はすべて、パズル中の会話や、探索世界で見つかる記録から得る形です。
英雄や世界について知る楽しさはあります。しかし、登場人物もパズルも多く、それらに向き合いながら出来事を整理しようとすると、頭が追いつかなくなります。情報を把握し続けるのは、ほとんど不可能に感じられました。
さらに、集めた情報を保存する設定資料集や日記のような機能もありません。要約だけでも簡単に確認できれば、物語のつながりは大幅に分かりやすくなったはずです。
パズル好きに強く勧めたい、尽きない学びの楽しさ
Jonathan Blowによれば、本作の制作には10年がかかったといいます。膨大な数のパズルと、それぞれに盛り込まれた工夫を見ると、なぜそれほどの時間が必要だったのかが伝わってきます。
パズルゲームには、中心となる仕掛けを習得すると新鮮さが薄れていく作品もあります。しかし『Order of the Sinking Star』では、学びと理解が絶えず続きます。新しい道や問題に出会うたび、遊びは単に発展するだけでなく、根本から違うものへと広がっていきます。筆者にとって、このジャンルでもめったに味わえない体験でした。
難易度には幅があり、難しく感じた問題ほど、答えそのものは簡単な場合もあります。念入りに手順を考えて長い時間を費やしたのに、答えは最初から目の前にあった。その落差が笑えてしまうほど、本作は考え方を揺さぶってきます。
長さゆえに息切れする人はいるでしょう。物語の伝え方にも改善の余地があります。それでも、何時間も続くプレイのなかで独特の面白さを保ち、次にどんな仕掛けが待っているのかを知りたくさせる力があります。筆者にとって、これほど独創的なパズルゲームはほかにありません。大量の問題にじっくり向き合いたいパズル好きには、強く勧められる1本です。